#10 永遠の道
春人と桜の絆は深まる一方、秋悟の執拗なアプローチが続いていた。彼は最後の手段として、春人と桜を試すような仕掛けをしてきた。それでも、二人の気持ちは揺るがない。ついに迎えた、運命の決戦。
秋悟の最後の挑戦
放課後、春人は桜と一緒に校舎の外で待ち合わせをしていた。だが、待っているうちに、秋悟が現れた。彼は無言で二人を見つめ、その後、少しだけ笑った。
「春人、桜、最後に一つ試させてもらう。」秋悟の声には、どこか冷徹な響きがあった。「君たちが本気で互いを守りたいというなら、この勝負に勝つしかない。」
春人はその言葉に驚いたが、すぐに冷静に返答した。「勝負だって?何を言ってるんだ、秋悟。」
秋悟は少し笑みを浮かべながら、背後から一枚の封筒を取り出し、桜に渡した。「これが俺からの最後のプレゼントだ。もし、お前がこれを開けるなら、俺の気持ちを受け入れるということだ。」
桜はその封筒を手に取ったが、すぐにその内容に気づき、少し不安げに顔を曇らせた。「これって…?」
「開けてみろ。」秋悟は冷静に言った。
桜は深呼吸をし、封筒を開けた。その中には、見覚えのある写真が入っていた。それは、春人と桜が一緒に歩いている写真だった。しかし、その写真には何か不穏な注釈がつけられていた。そこには「桜、彼を信じていいのか?」というメッセージが書かれていた。
桜はそのメッセージを読んで、一瞬立ち止まった。秋悟はすかさず言葉を続けた。「お前が選ぶべきなのは、俺だろう?春人はどうせ、そんなにお前を幸せにできない。俺はお前を守ることができる。」
春人はその言葉を聞き、我慢できずに秋悟に向かって歩み寄った。「秋悟、もうやめろ。桜を揺さぶっても意味がない。俺たちの関係はお前には関係ないだろ。」
秋悟は冷ややかに笑った。「桜が選ぶなら、それが答えだろう?」
桜はその言葉を聞きながらも、春人を見つめた。彼女の心は迷いを捨てきれずにいたが、すぐに思い出したのは春人との時間だった。彼の真摯な言葉、優しさ、そして何より自分が感じる安心感。それが何よりも大切だった。
「秋悟くん、ありがとう。でも…」桜は静かに言葉を切り、春人を見つめた。「私は春人くんと一緒にいることを選びます。」
春人はその言葉を聞いて、ようやく安心したように微笑んだ。「桜、ありがとう。」
秋悟はその場で静かに笑った。「ふん、分かったよ。でも覚えておけ。お前たちの絆がどれほど強くても、現実はそんなに甘くないってことを。」
言い残すと、秋悟はその場を去った。
桜と春人の未来
その後、桜と春人はしばらく黙って歩き続けた。秋悟の言葉が二人に残ることはなかった。桜は春人の手をしっかりと握りながら言った。
「春人くん、私、すごく迷ってしまった。だけど、最終的に気づいたんだ。私が本当に守りたいのは、春人くんだって。」
春人はその言葉を聞いて、嬉しそうに笑いながら返答した。「俺もだよ、桜。お前とずっと一緒にいたいって思ってる。」
桜は少し照れたように微笑みながら言った。「これからも、ずっと一緒にいられる?」
春人はその問いに真剣な顔で答えた。「もちろんだよ。どんな困難があっても、桜を守り抜くから。」
二人はそのまま手をつなぎ、夕陽に照らされた道を歩きながら、未来に向かって一歩踏み出した。
エピローグ
春人と桜は、無事に結ばれた後も、お互いを支え合いながら、楽しい学校生活を送ることができた。秋悟はその後、しばらくしてから転校することになったが、桜と春人にはその後もずっと変わらない絆があった。友達もみんな、二人を温かく見守り、共に笑い合って過ごしていった。
そして、数年後。春人と桜は、桜の木の下で再び出会うこととなった。あの場所で、再び二人はお互いに誓った。
「これからもずっと、一緒に歩んでいこうね。」春人は桜を見つめ、微笑んだ。
桜も笑顔で答えた。「うん、ずっと。」
二人は手をつなぎ、桜の木の下で新たな未来を歩み始めた。これからも、どんな困難が待ち受けていようとも、二人は共に乗り越え、永遠に結ばれていくのだ。
完




