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カラー

う~ん、なかなか書くのは難しいですね

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 俺は今――猛烈に興奮していた。

 なぜなら、国家レベルかもしれないからだ。

 ついさっきまでは、「なんかめんどそうだな〜」なんて思ってた。だが今、考えが180度変わってしまった。

 その理由は2つ。

 まず1つ目。強ければ、元いた世界に帰る方法も見つけやすそうだから。

 そして2つ目――強いって、めっちゃカッコいいからだ。

 めんどくささ<<< カッコよさ。

 俺の中の厨二心が勝利してしまった。

 そんなことを考えていると、応接室のドアがノックされ、ギルドの受付嬢が完璧スマイルで入ってきた。

 そう、ギルドマスターに認められたことによって、冒険者?的な扱いになったのだ。そして監視まではしないが、身体調査ということで、ステータスを調べることになったのだ。

「それでは、リオン様。最初は、魔力測定です。さっそくですが“魔力測定石”に触れてください」

 はい来ました。異世界定番のやつ。触ると魔力量が分かるという謎技術の結晶。

 石は丸くて透明、ほんのり光っている。

 よし、いくぞ。

 俺はそっと、枝の手でその石に触れた――


 ビカーーーーーーーーーッ!!


「お、おい!? 石が光ってるぞ!大丈夫なのかアレ!?」

「いやいや光りすぎだろ!オーラ出てる!煙出てないか!?」

「まさか……測定不能のやつか!?」

 ギルド内がざわつく。

「こ、これはーーーッ!!?」

 こ、これは、ーーー!!

「リオン様⁉これは……」


 ごくり。


「普通です」

 ……え?

「えっと……普通?」

 ウィルタが代わりに聞いてくれた。

「はい、普通です」

 はぁ~~~~ぁ!!

「私のリオンちゃんが“普通”?そんなはずないわよ!もう一回よ!」

 ギルド職員が冷静に切り返す。

「無駄です。リオン様の魔力量は――1万2641です」


 なんでだよぉぉ〜〜。


「お、おい、リオンは国家レベルの戦力になりうるんだぞ!」

 グサッ……

「そ、そうよ!リオンは個人契約型の特例獣魔なのだから!」

 グサッ……

「ウィルタ達が言っていたじゃないか。ジャイアントを一撃で倒したと!」

 グサッ……

「リオンさんの魔力量は“普通”です。冒険者の平均は5000〜15000。高い方ではありますが、普通の範囲内です」

 グサッ……グサッ……グサッ……

 本気で「俺、国家レベルかも」とか思ってた自分を殴りたい。




「では次に、“魔法適性”の測定に移ります」

 受付嬢が淡々と次の準備を始める。

 テーブルの上に並んだのは、いくつかの透明な水晶のような石。それぞれがわずかに異なる雰囲気を放っていた。冷気を帯びた石、ほんのり温かい石、微かに振動している石……。

「これらの“属性石”に順番に触れてください。反応の強さで、各属性の適性がわかります」

 なるほど。属性との相性診断か。

 俺はひとつずつ手を伸ばしていく。

 ……とくに反応なし。……次も……微妙。

 そして――冷たい気配のある石に触れた瞬間。


 ピカァァァ……!


 よっしゃ来た!

「反応強。氷属性の適性が最高レベルですね」

「リオン、やるじゃん!」

「氷魔法使いってだけで、冒険者としてはだいぶ希少だな」

 魔力量は“普通”だったが、魔法の適性は最高らしい。

「おぉ…!やはり最高レベルか!これは冒険者ギルドとしても期待できるな!」

 これで少しは“カッコよさ”を取り戻した気がする。




 氷の石がキラキラ光っている中、受付嬢はメモを取りながら、静かに次の儀式へ。

「では最後に、“カラー”の判定を行います」

 カラー?

 俺が首を傾げると、ウィルタが説明してくれた。

「リオン、カラーってのは“才能”みたいなもんだ。魔法や戦闘だけじゃなく、身体能力や特殊な能力に関係する、生まれつきの資質だな。多くは髪と目の色に表れる」

 なるほど。

「ただな、持ってる人間は千人に一人くらい。まあ、“出たらラッキー”って感じだな」

「ちなみに私は持ってるわよ♪」

 イニアがニコニコしながら手を挙げる。

「私のカラーは【灯火の操華】洋紅色よ!赤い灯火みたいな光で、仲間を強化できるの!」

 うわ、ネーミングが中二心に刺さる。てか洋紅色って何色だ?

「だから私はリオンに“名付け”できたのよ。でもそのとき、紫色の光が出たから……」

 名付けの演出じゃなかったのかよ!

「ええ。だから私は、リオンはカラー持ちじゃないのかと思ったのよ」

 なるほどねぇ。どういうことだ?

「では、測定してみましょう」

 受付嬢が、今度は黒く深い光を宿す石を取り出す。さっきまでの石とは明らかに雰囲気が違う。

「それでは、リオン様。こちらに触れてください」

 よし、いってみよう。


 ――ドッッカァーーーーーン!!!


 え?

 石が、爆発した。

「な、何が起きたんだ!?」

 魔力反応を測るための石が、見事に粉砕されていた。

 受付嬢もさすがに顔を引きつらせている。


「こ、これは……」


 また“普通”とか言われる前フリか……?

「リオン様のカラーは――【碧淵の瞳】瑠璃と……」

 ん?“と”?

「そしてもうひとつ。【流刻の蒼痕】瓶覗き、です……!」

「「二つ持っているだと!?」」

「……はい」

「「……………」」

 ……俺が、カラー二個持ち?

「そんなの……ありえるのか?」

「はぁ〜〜、どうしたものかねぇ、ウィルタ君?」

「なんで俺に振るんすか、ギルドマスター!」

「そうよ!どういうことなの⁉ お兄ちゃん!」

「いや〜、お兄ちゃんにもわかんないよ……」

 いや、こっちはもっと分からんから!

「リオン、おめぇ……やべぇよ」

 え、ガンダがそれいう?さっき握力500あるって言ってたよね。その方がやばいだろ。

「確かに、確率で言うと100万分の1だわよ?」

「これは本部に報告せねば……」

「かしこまりました」

 受付嬢が奥の部屋へと走っていく。どうやら本当に緊急事態らしい。


「リオン君。君には伝えねばならないことがある。少し時間をくれ――」

 ドォォォーン!!

 その瞬間、応接室のドアが吹っ飛んだ。

「聞いたぞぉぉぉ!! “カラー二つ持ち”が現れたってなァァ!!」

 現れたのは、白衣を着た明らかにヤバそうな男。目が完全にギラギラしている。

「うわ、オタク来たぞ……」

 オタク?え、誰?

「リオン、あれはギルド所属の研究者・パドだ」

「ギルドマスタァァ!カラー二つ持ちは誰ですか⁉もしかしてイニアが!? 二つ持ちだったんですかぁぁ!?」

「落ち着きたまえ、パド君!」

「落ち着けるかァァァ!! カラー二つ持ちが現れたんでたんだぞ⁉ これは研究の千載一遇のチャ――」

 おいおい、口調が失礼だな。相手はギルドマスターだぞ。

「ウィルタ、逃げよう」

「おう、ガンダ。俺もそう思ってた」

 ウィルタが俺をひょいと担ぎ上げた。

 え?

「おいみんな逃げるぞ!」

「「「了解ッ!」」」

 全員でギルドを全力疾走で脱出した。

「ギルドマスター!ありがとうございましたー!」

 そう叫びながら、俺たちはギルドを後にした。


 ギルドを全力疾走で脱出した俺たちは、その勢いのまま家に帰ってきた。

 ドアをバァンと閉めた瞬間、全員がほぼ同時に床へ崩れ落ちた。

「……命の危機だったな」

「オタクの執念って、あんなに怖ぇのかよ……」

 あそこで爆発した石、弁償とかさせられないよな? ……頼むぞ?

 けど、誰も本気で俺を責める気はなさそうだった。

「それにしてもよ、カラー二つ持ちはやばいだろ!」

「ふふん、私の目に狂いはなかったってだけよ!」

 俺が「ヤバい奴」認定された。

「それにしても、本当にカラーが二つもあるなんてな……」

 ウィルタがソファにどっかり腰掛けて、感心したように呟いた。

「俺も初めて見たよ」

「リオンはやっぱり只者じゃないってことよ! ふふーん♪」

 イニアはティーカップをくるくる回しながらご機嫌だ。さっきまで研究対象として追われてたの、忘れてないよね……?

「イニが、自慢する事じゃないわよ」

「で、そのカラーの名前なんだっけ? “碧淵の瞳”と……“流刻の蒼痕”?」

 いや名前だけはほんとカッコいいんだよな。でも能力が全然わからないな。

「イニアのカラーと違って、名前に威厳があるよな……能力が謎なのがもったいないくらいだ」

「確かに!、ってちょっとそれどういう意味よ!」

 ガンダも俺と同じ意見だな。というかさらっとイニアの悪口言ってる。

「イニア、ごめんって。悪気はないんだよ」

 あるだろ。

「でさ、リオン。今まで何か不思議なこととか感じたことなかったのか?」

 ウィルタが少し真面目な顔で尋ねてくる。

 うーん……あ、そういえばジャイアントを倒した時、景色が妙に“スロー”に見えたような……気のせいかもしれんけど。

 どう説明すればいいんだこれ?

「まあ、試してみるのが一番だな」

「そうね、実戦が一番早いわ」

「ってことは……」

 皆がウィルタの顔を見渡す。


「次のダンジョンで、能力を試そう」

 ダンジョン?

「明後日行く予定の『白光殿』ね」

 名前がやけにカッコいい。

「このダンジョン、実は“特級”なのよ」

 え? ちょっと待って、特級ってやばいんじゃないのか? 確か俺たちのパーティ、A級だったよな。

「それと、ちょうどよかったわ。リシモに戻ったら、リオンにこの世界の仕組みを教えようと思ってたのよね」

 そうゼナがいうと、ウィルタが立ち上がった。

 あー、そういや言ってたな。転生系の小説とかで多少は知識あるけど、ちゃんと聞いておくか。

「俺が説明しよう。まずは魔力量だ。これはそのまんま、“使える魔力の総量”だ」

 ふむふむ。ジャイアントと戦った時に何となく実感したやつか。

「魔法を使うと減っていって、ゼロになると基本的に魔法は使えない。自然回復するけど、回復速度は人によって違うんだ」

 なるほど、持久戦や大きな魔法には重要そうだ。

「次は魔法適性。“その属性の魔法をどれだけ上手く扱えるか”ってやつだ。魔力量が多くても適性が低いと暴発するし、少なくても適性が高ければ効率よく強い魔法が撃てる」

 魔力量よりも、適性の方が重要な場面もあるってことか。

「リオンは氷属性に“最大適性”があるから、魔力量が少なくても十分強いわよ!」

 お、おう……俺の魔力量は“普通”だから!

「で、さっき話に出た“カラー”だけど、正直まだ分かってないことが多いの。でも一つだけはっきりしてるのは、生まれつきのものということと、強力な力を秘めているってことだ」

 今一つじゃなくて二つ言ったよね?

 まあいいや。

「リオンみたいに二つ持ってるやつは、例外中の例外だぜ。」

 なるほど、だからギルドの本部に連絡が行ったのか。

「あと、“冒険者”についても教えとくな。冒険者はギルドから依頼を受けて、モンスター討伐やダンジョン攻略をする存在だ。ランクはE、D、C、B、A、S、そして最上位の“特級”って順だ」

 モンスターやダンジョンもそのランクに応じて強さが設定されてるってことね。

「白光殿が特級って聞いてビビってるかもしれないけど、安心しろ。ダンジョン自体は1000層あるんだが、特級モンスターが出るのは1000層のボスだろう」

「今回、私たちが行くのはせいぜい700層あたりまでだわ。そこまでならA級パーティの私たちでも十分対応できるわ」

 え、700層も十分に深くないか?

「まあ、昔もらった“帰還石”もあるし、最悪逃げられるから安心して」

「しかも今回は“リオンの能力検証”が目的のひとつだからな。慎重に行くぞ」

 ……うん、正直不安だけど、やるしかないか。

「そういうわけで、明後日に向けて準備を始めよう」

 ウィルタのその言葉を合図に、俺たちはダンジョン探索の準備へと動き出した――。


 夜、ベッドに横になった俺は、ふと窓の外を見た。

 星空が静かに広がっている。

 ……この世界の仕組みは、まだ全然わからない。

 けど、一歩ずつなら進めそうな気がする。

 そしてどこかに、俺が“帰る手段”もあるのだろうか。

「まずはダンジョンだな……」

 小さく呟いて、目を閉じた。

 もう寝ないと明日の仕事……あ。フフッ

 ないんだった。ざまぁ上司どもめ!

 今日はぐっすり寝ようとするか。

 あ、睡眠欲が湧かないんだった。

「ねぇ、リオン。渡したいものがあるの」

 そんなことを考えているとイニアが勝手に俺の部屋に入ってきた。

ありがとうございました

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