ペット
2話読んでくださりありがとうございます。まだ読んでないか
もっといろんな人に読んでもらうためもっと頑張っていきたいです。
良くない点がコメントしてくれると嬉しいです。すぐ直します。
はぁあ!? 何言ってんだ?
急に爆弾発言を言われ俺は戸惑った。
また驚いているのは俺だけではなかった。
「おいおい、何言ってんだイニア! そいつはA級モンスターをたった一撃で倒した化け物だぞ!」
「そうだ! もしこいつも俺たちを襲うモンスターだったらどうすんだよ!」
「イニ、落ち着いて。この子がかわいいのはよく分かるわ。そして、あなたが優秀なテイマーなのも知っている。でも、自分より強い生き物をペットにするのはどうなのかしら?」
「だって、この子、かわいいし……あのモンスターを倒した力を持ってるんだよ?」
イニアはまるで子犬を見るような瞳で無邪気に言い放った。
「うーん、だがなぁ……」
「お願い、ペットにしていいでしょ?」
少女は瞳をきらきらさせ、上目遣いで兄を見つめる。
なんと微笑ましい光景だろうか。
こんな純粋なやりとりを目の当たりにするのは何年ぶりだろう。なんか……心が温まるな。
……って、待てよ?
そもそも、俺の選択肢ってどれくらいあるんだ?
ペットになるのを拒んだら、このまま吹雪の中で生きることになる。それはさすがに無理だ。冒険者の後をついていったとしても、人間ではない以上、異世界の町で生きていくのは難しいかもしれない。
しかし、ペットになれば、異世界の町にもついていけて、安定した生活が手に入る可能性が高い。この子がドSじゃなければ、の話だが……。
「雪だるまちゃん。私のペットになってくれる?」
俺は雪の首がもぎ取れそうなほど勢いよく頷いた。
「ほら! 雪だるまちゃんも頷いてくれてる!」
「でも、イニ……」
「もういい、ゼナ。この雪だるまを受け入れよう。」
「やったー! 雪だるまちゃん、お兄ちゃんが認めてくれたよ!」
イニアは満面の笑みを浮かべると、俺の手を掴み、無邪気に振り回し始めた。
……って、ああああ! 目が回る!
「で、でもウィルタ! こいつはあんなド派手な技を使えるのよ! 街中で暴れたら大変なことになるわ!」
「そうだよ! あんなバケモンが身近にいたら、ビビって夜も眠れねぇよ!」
「確かに、だが……。言動を見る限り、こいつにも俺たちの言葉は聞こえているようだ。ちゃんと言い聞かせれば問題ないだろう。何かあったら俺が責任を取る。リーダーだし、俺の妹が始めたことだからな。」
おいおい、俺ってそんなに危険視されてるのか? こんな愛らしい雪だるまなのに。……中身は23歳だけど。
「ねえ、お兄ちゃん! 名づけしていい?」
「いいけど、気をつけろ。そいつは強大な魔力を持っている。名づけで魔力を取られすぎるなよ。」
「大丈夫! 私はテイマーよ。名づけには慣れてるわ!」
そう言うと、イニアは俺の額にそっと手をかざした。
お、おい! ちょっと待て! 勝手に名前を変えないでくれ! 俺、「氷華」って名前、両親からつけてくれた名前があるんですけど!
俺が抗議する間もなく、イニアの手が青白く光り始めた。
「神よ、ここに新たなる名を……『リオン』!」
その瞬間、イニアの体から赤い光が俺へと流れ込み、俺の体が紫色に輝き出した。
これが名づけ……なのか?
なんか、かっこいいな。異世界っぽくていいじゃないか。
でも、お父さんとお母さんがくれた名前がなくなるのは、ちょっと寂しいな……。
「……あれ? なんか、おかしい?」
イニアが首を傾げた。
「な、なんだこの色は⁉」
ガタイのいい男が叫ぶ。
「もしかして……こいつ、カラーなのかもしれないな。」
「そういうことか! だからこんな色に……!」
カラー? 色?
俺にはさっぱり理解できないな。
「なるほどねぇ。こんな現象、名づけについて調べていたけど、一度も見たことがないわ。」
ゼナが興味深げに俺を観察する。
「この雪だるま、いや……リオンは知らないみたいね。この話はおいおい説明するとしよう。」
「雪だるまじゃなくて、リ・オ・ン!」
「ごめんな、イニア。」
そういえば、俺の名前はリオンになったんだったな。
……まあ、悪くない。ちょっと女性っぽい名前だけど。
「よし、リシモに戻ろう!」
ガンダの掛け声で、一行は町へと歩き出した。
こうして俺の異世界生活は、新たな名前とともに幕を開けたのだった——。
「俺の名前はウィルタ・グレスチャーだ。俺はこのパーティーのリーダーをやっている。そして、イニアの兄だ。基本的に俺は前衛で戦う。よろしくな!」
まず最初に自己紹介を始めたのは、金髪でガタイのいい男だった。
まるで彫刻のような整った顔立ちに、鋭い眼光。見た目だけなら完全に主人公サイドだが、表情にはどこか柔らかさがあった。
イケメンだな。
俺は基本的にイケメンは敵対視することにしているが、ウィルタは優しそうだから許してやろう。
「次は俺だな!」
威勢のいい声が響くと、大柄な男が一歩前に出た。筋骨隆々で、全身からゴリラのようなパワーを感じる。
「俺の名前はガンダ・ゴリダンだ!よろしくな!自慢じゃねぇが、俺の握力は500kgあるぞ!俺もウィルタと同じく前衛で、武器はハンマーだ!まかせとけ!」
……ゴリラだ。
どう考えてもゴリラだ。いや、名前からしてゴリラ要素満載じゃないか。
この世界では、握力が500kgもあるやつが普通にいるのか? さすが異世界だ。
いや~それにしてもハンマーかぁ。
ファンタジー感満載だな。なんか脳筋っぽいし、たぶんこいつバカだろうな。
そんな失礼なことを考えていると、ガンダが一歩下がり、次に前に出てきたのは――長い耳を持つ女性。
「私の名前はゼナ・ユピテルよ。よろしくね。見ての通り、私はエルフよ。今124歳? ……だったかしら?」
「ゼナ、ゼナは今272歳だよ。」
「あら? そうだったかしら? ……あっ、思い出したわ! 124歳はヘラと出会った日だったわ!」
……待て待て待て。
そんな100年以上間違えることあるか?
まあ、エルフは長寿とは聞いたことがあるけど、それにしてもこの人、大丈夫か?
ゼナの清々しい銀髪と蒼い瞳が、エルフの美しさというルールを証明していた。彼女の背中には弓が背負われている。
つまり、こいつはアーチャーか。
そんなことを考えていると、絶賛テンション爆上がり中のイニアが前に出てきた。
「私の名前はイニア! イニア・グレスチャーよ! よろしくね、リオン! えっと私は……何歳だっけ? まあいいや! 私は、治癒担当そしてテイマーだわ!」
「15歳でしょう、イニは。」
……このパーティー、年齢を正しく言えない決まりでもあるのか?
15歳とか、普通は忘れないだろ。
「私ね、今までドラゴンとかワイバーンとかも手懐けてきたわ!」
なるほど、意外とすごい。
少女だからってナメていたが、やるじゃん。
まあ、俺が言える立場じゃないけど。
「リオン。こんなバカばかりのパーティーだが、入ってくれるか?」
ウィルタがそう言った。
当然、答えはYESだ。
俺は勢いよく頷いた。
「ありがとな、リオン。こんなヤツらばかりだが、冒険者A級だ。……って言っても、わかんないよな。この世界のルールや原則の説明は、町についてからしよう。」
「おう、もうそろそろ着くぞ。」
ガンダがそう言うと、大きな塀が見えてきた。
ここまで来ると、さっきまでの雪もだいぶ減っている。
歩き続けてどれくらい経っただろうか? 体感では2時間くらい。
結構な距離を歩いたんだな。
あのジジィ、やってくれたなぁ!
あんな町から遠い場所に飛ばしやがって!
まあ、町に着いたことだしいいとするか。
いざ、リシモへ!!
2話をよんでくださりありがとうございます。