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最終話 タイムアップ

 とても強いダークエルフの番人を倒し、いよいよ私達はヤクシーの下へと辿り着いた。


 見たこともない沢山の花と、むせ返るような濃い匂いが立ち込めていて、軽くフラついてしまいそうだ。

 で、目の前にはグラマラスで大きな人がいたけれど、肌は緑だし、頭が花だからあからさまに人じゃないのは分かった。


 それがヤクシーなのは一目で分かった。そして、ヤクシーが何故シシの縄張りを荒らしたのか、何でシシがいっさい出てこなかったのか、色々と引っ掛かる部分があったけれど、もう一人そこに居た人物と、真っ青になったエデン君の姿を見て分かった。


「…………そうか。お前か、見ないと思ったら、こんな所で悪戯をしていたとはな」


「あ、あぁぁ……」


 ヤクシーよりも更に大きい。


 厳つい顔立ちをしながらも、眼鏡をかけていて、ちよっと柔和な感じも見て取れる。それなのに、今は大地が震えて、空も荒まくっている。つまり、その人が凄く怒っている事が分かった。


 あと、ヤクシーの周りに見たことある八聖神と、別の八聖神も勢揃いしていました。


 何この世界の終わりみたいな状況。


「ふん。こいつらを使って、何とかバレずにと思っていたのか?」


「いでっ!」


『あ、ルリアちゃん。何でこんな所に』


 トドメと言わんばかりに、その人が何もない所からルリアちゃんを放り投げてきました。そんな雑な事はしないで欲しいけれど、こんな事を平気でするレベルって……。


「お、おおお父様……」


 やっぱり。エデン君の父親でしたか。


「くっそ、こいつやべぇ! 俺達がやろうとしていたこと、あっという間にやりやがった! 塔が出来ちまってるんだよ! この世界から、そいつが脱出するための!」


『そっか。すいません、何でいまごろ?』


「ん? おぉ、君か。この世界をぐちゃぐちゃにした張本人は。エデンと共に、少し折檻が必要か。なに、理由は簡単だ。子が思うよりも、親とは言うのは子を気に掛けるものだ。いないことは分かっていた。母親も慌てている様子だったからな。以前から、お前の私への視線も気になっていた」


 そう言うと、今度は八聖神達の頭上に手をかざし、八達の身体を光らせ始めた。


「で、だ。以前作りかけて放置していた世界があったのを思い出してな。俺も悪かったが、まさかそれを作り直そうとするとはな。上手くいかなかっただろ?」


「う、ぐ……」


 エデン君は非常に気まずそうですね。とは言え、恐らく全てを解決出来る、千載一遇のチャンスではありますね。それなら。


「えっと、今は何を……って、あれ?!」


 普通に喋れる! あべこべで引っ掛かる感じがない!


「ふん。こいつら八聖神は、世界のリセット機能というか、クラウドによるバックアップ機能というものだな。こいつら一体一体に世界の情報をセーブさせてある。で、異常があれば上書きセーブはせず、温存させているんだ。つまり、こいつらのバックアップデータがあれば、お前がぐちゃぐちゃにする前の世界に戻せる。つまり、お前が産まれる前にな。というか、なんだこのスキル。お前、どこの神社の産まれだ?」


「え、ちょ……」


 それってつまり、今までの出会いとか、そんな全てのものまでなくなるってこと?! それは流石に……と思っていたら、エデン君と一緒にリーシアさんとルリアちゃんまで変な光に包まれていく。


 というかちょっと待って。


「何で私は狐娘のままなんですか!? 私の元の性別は男ですよ!」


 リセットされるってことは、天恵スキルもって事になる。だから、男に戻るはずなんですが?!


「いや、お前元の世界では女だったろう。しかも、女系の神様だ」


 あれ?


「あ〜どうりで……」


「嘘だろ、お前……いやいや。男でちゃんと社会生活してたって」


 あ、いや……そこは何故かーー


「霞がかかったみたいで、ボンヤリとそうだろうって事しか。いや、よくある転生ものだし、そういうものかと……」


「天然かよ」


「それと、エデンの妻になってくれるのだろう? 女系の神様なので申し分ない。むしろ、我が愚息を宜しくお願いしますといったところだ」


「許可してません」


「フラれた〜!!」


 というわけで、私達は一緒に浮かんで光輝き、この世界から出されてしまった。


 元の世界に戻される事と、これまでの出会いも全て無かったことになる。リーシアさんは泣いていたし、ずっと引っ付いていたけれど、しょうがない……元々私達が異質だったし、関わる予定も無かったものなんだ。


 寂しいけれども……心を鬼にして引き離したよ。


 あんなぐちゃぐちゃの世界よりはマシなはずだよ。きっと、恐らくね。


 あの世界は、エデン君のお父さんがちゃんとまた管理して作ると言っていたからね。


 それに、私もそういう存在だったから、またいつでも遊びに行けるんだよ。それも、ちゃんと伝えておいた。


 だからまた、いつかね。

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