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4話 何かイベントが起きた

 結局、何の問題もなく隣街へ到着した私達だが、そもそもここにギルドの支部があれば、そこに報告をすれば良いんだった。何でそれを忘れていたのかな……このままこの街を素通りするところだったよ。


 それを思い出した私は、後ろからトボトボと歩いているルヴォイルにその事を話した。


「あ~あるにはありますが、無駄なんだ」


『無駄? 何で? 支部があるならそこから報告して貰えばーー』


「百聞は一見にしかずだな。とりあえず見て貰ったら分かる」


 何だかふくんだ言い方をされたな。それなら、その支部とやらの様子を見に行こうか。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 少し広めの、白と赤のレンガで作られた家が建ち並ぶこの街は、清潔感もあって、活気もそこそこあった。だから、支部もちゃんと機能していると思っていたよ。


 ついさっきまでね。


「あ、どうも~冒険者ギルド、アルルカン支部です~ご用があるんですかぁ? と言っても、仕事なんて回せませんよ~なぁ~んにも無いんですから~」


 事務椅子みたいな簡素な椅子に腰掛けながら、目の前の長机に足を放り投げ、鼻をほじりながら対応されてしまった。いや、若い女性だと言うのに、何ですか? その態度は。


 すると、ルヴォイルが私に耳打ちをしてきた。


「あそこの掲示板見て下さい。小さいメモくらいで、仕事の依頼の様なものはないでしょう?」


『あぁ、確かに。いや、それにしても……野盗とかは居たから、そういう奴等の退治とかあるんじゃないの?』


「そういうのは、その国々の騎士様や自警団で何とかなるんですよね」


 なるほど。冒険者となると、ダンジョンの探索や、新たに見つかった遺跡とかの調査になるんだ。そこにはモンスターが居るから、学者だけじゃ危険なんだ。ただーー


『私が消しちゃったから?』


「そうです」


 私のせいで、この世界からモンスターが居なくなったものだから、遺跡とかも学者だけでも平気だったりする。冒険者は不要となったのか。

 あぁ、ダンジョンも新たに出現したりしないね。あれってだいたい、魔物とか魔族と言われる者達が作り出しているからね。


 それも私が消した。


『……仕事がないから、ギルドの受け付け嬢とか不要になって、事務員だけで対応しているんだね。しかも、ろくに仕事しない人達になっちゃったと』


「ご名答」


 こんな所にも、私のせいで被害が出ていたなんて……。


 それなら、私のスキルでまたモンスターとか魔王を出せば良いんだろうけれど、一度変更してしまった世界の状態は、元に戻したり、他のでまた変更したりが出来ないんだ。出来ていたら、とっくに元に戻していたよ。


 そのせいで、まぁ……こんな世界になっちゃったんだね。


「で、罪悪感は?」


『私のこの美貌で、ちょっとはチャラに』


「あんただいぶ前向きって言うか、ポジティブな考えしてるな」


『はい、すいません。罪悪感は感じてます』


 正直、それはちゃんと感じている。ただ、今更どうこう出来ないからさ、ちょっとはこの世界を楽しんでおかないとって思うのに、何だろうな~この脱力感満載のギルド支部は。


「そう言うことだから、本部まで行かないとな」


「あ~本部行くんすかぁ? それならそうして下さい。ふわぁ~」


 大あくびしながら対応されてしまった。私のせいとは言え、これは何とも……う~ん。


 そう言っていると、後ろから誰かがまたこのギルド支部に入ってきた。


「おやおや。何ですか、この体たらくは? 仕事が無いからと言って、そんな態度で良いんですかぁ? この国を切り取れないでしょう」


 何だか物騒な事を言っているぞ。


「うわぁ。そう言われても、なぁ~んにも来ないんだもん。これは、そちらも予想外でしょう?」


「そうだ。予想外だ。だからこそだろう!! だからって怠けられたらな、こっちの予定もおかしくなる一方だ!!」


「ちょ、ちょっと待て。その言い方からして、ここの支部は何かやらかして……」


 うん。いちいちアクション取らないでくれるか? ルヴォイルさん。面倒くさいことになりそうなんだから。


「おや、失礼。人が居たのですか? あまりにも脆弱な気力と魔力だったので、見落としていましたよ」


「こいつ……!! ってちょっと待て、お前はーー!!」


「あなたの悪行は全て知られているし、ここでそのまま寝ておいて下さい」


「えっ? ちょっと待て、それはーー」


「はい? いったい何……ぐがぁぁ」


「見つけたぞ!! ドン=キール! 依頼の不正受理、及び賄賂で捕ーーって、寝てる!?」


 もうドッタンバッタン大騒ぎだけれど、さっきの後ろの怪しい奴は寝転けてダウン。その後に騎士の風貌をした人達が突入したけれど、この展開にビックリしているね。まぁ良いや。


『その男が何かしたのなら、早く連れて行って下さい』


「あ、あぁ……分かった。というか、このギルドにも、こいつとーー」


 あ、そっか。それじゃあーー


「ここのギルドで悪さしている人は、全員自首する」


「「「はい!! 自首します!」」」


 受付の人を含めて3人くらい名乗り出たので、ちょっとビックリしたよ。1人だと思ってた。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 その後、例の街からも出発して、この大陸を越える為に、空を飛ぶ乗り物の発着場がある街へと向かう。


「あのさ。約1章分くらいあるであろうイベントを、お前見事にすっ飛ばしたな」


『なにメタい事言ってんの?』


 不満そうな顔で着いてくるルヴォイルだけれど、こっちはめんどくさいのが嫌だからさ、ついつい片手間に解決させちゃうんだよ。それもあって、両親からは恐がられているんだけどさ。


「くっそ。こいつと居たら、俺の活躍が無くなる!」


『実際空気だからね』


「うぐぐ……よく反転させずに書けるな」


『練習やら特訓しましたから』


 ただ、ビックリしたり焦ったりすると、たまにやらかしてしまうことはある。だから、いつでも冷静にいられるようにもしているんだ。


「さっきの奴も、あそこのギルド本部の人事員の奴だったけれど、その正体は国家転覆を狙う闇の組織『リテイラー』の一員……って訳だけれど、お前全部喋らせたよな?」


『わりと幹部的な立場の奴だったね』


 お陰で、長年足取りが掴めなかった、その組織のボスの居場所まで分かっちゃって、今軍で編成をして攻める算段をしているみたいだ。捕まるのも、時間の問題らしい。


 ということで、その闇の組織編は終了って事で。


『めでたしめでたし』


「いや、なんか纏めているけれど、何にもしてねぇからな!! というか、関わってもいねぇよ! その前段階で終わっちゃったよ!!」


『ズケズケとだけど静かだねぇ、女の癖に』


 あ、後ろでギャンギャン喚くから、書く方ですら間違えて、逆の事を書いちゃったじゃん。だけど、それが本当の事になるのは、言葉で発した時だから。

 確かスキル名にはワードって単語が入っているけれど、効果的には言葉の方で、言霊って感じだからね。


「お前……口に出してなくて助かった。うっかりと俺も女にするなよ!?」


『して欲しいの?』


「するか! ホモカマ野郎!」


『むっ、失敬な。こっちだってこんな体になりたくてなったんじゃないし、ちゃんと女の子の方が好きだしね。男同士とか、吐き気がするよ』


 こんな体でも、受け入れた訳ではない。元に戻れる方法があるなら、それは当然見つけたいし、男に戻りたいさ。


 だからとりあえず……。


「へぶっ!? な、なんでビンタした……」


「次の街に着くまで、自分の胸に手を当てて置いて下さい。そして、しっかりと考える」


「うぉっ!? ちょっ……?!」


 こういう事が出来るのは便利だけれど、本当使いよう何だよなぁ……。

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