表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(第二章を始めました)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。   作者: 水無月 あん
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/99

ジョッシュさんからジョルジュさんへ

ジョッシュさんの斬新すぎるご挨拶の余韻で、思考が止まったままの私……。


が、言った本人であるジョッシュさんは、まったく余韻をひきずることなく、きりっとした口調でジョルジュさんに言った。


「ジョルジュ様。今から打ち合わせですので、そろそろ出発しませんと」


「ああ、もう、そんな時間か……。そうだ、ジョッシュ。急だが、打ち合わせの後の今晩の夕食会、キャンセルできるだろうか?」


「……え? 一体、どうされたのですか、ジョルジュ様!? もしや、お身体の調子でもお悪いのですか!?」


ジョッシュさんは驚いたような声をあげた。


同時に、すごい勢いでジョルジュさんに近づき、なんの躊躇もなく、ジョルジュさんの額に手をあてた。

目もぐわっと見開かれ、なんだか、すごい迫力よね……。


ジョルジュさんのことを、ものすごく心配している様子が痛いほど伝わってくる。

が、無残にも、冷気を放つジョルジュさんにその手が叩き落とされた。


隣でククッと笑いだしたラルフ。


「ほら、ジョッシュって、過保護な乳母っぽいだろ?」


確かに……。

たくましく、精悍な美丈夫のジョッシュさんが、心配性な乳母にしか見えなくなってきた。


ジョルジュさんが氷のような視線をジョッシュさんにむける。


「やめろ、ジョッシュ。熱などない」


「それなら、何故、夕食会をキャンセルされたいのですか? 責任感の強いジョルジュ様が、急にキャンセルするなんて、今までなかったではないですか!? やはり、ジョルジュ様……どこかお悪いのでは? お優しいジョルジュ様ですから、私に心配をかけまいと隠しているのでは? そうであれば……」


「だから、ちがうと言っている。私の体調は万全だ」


思わず震えてしまうほど冷たい声をだすジョルジュさん。


が、ジョッシュさんはひるむことなく、心配そうな表情でジョルジュさんを見つめたままだ。


なんというか、ジョッシュさんの愛が重い……。

そして、ジョッシュさんからジョルジュさんへ、悲しいくらい一方通行の愛よね……。

でも、これが無償の愛なんだね、ジョッシュさん……。


ジョルジュさんがあきらめたように息をはくと、ジョッシュさんに言った。


「夕食会をキャンセルできるのであれば、リリアンヌ嬢と夕食をとりたい」


「……は? ジョルジュ様? 今、なんと、おっしゃいましたか!?」


「リリアンヌ嬢と一緒に夕食をとりたい、と言った」


「ええっ!? 今まで、ジョルジュ様が、自発的に、だれかと食事をしたいなどとおっしゃるのは初めてなのですがっ!?」


大声をあげるジョッシュさん。


心配そうな表情から一転、今は鬼気迫る表情だ……。


その顔を見ると、ジョルジュさんが私と食事がしたいと言い出したのは、どらやき仲間だからと、説明したくなった。

でも、そうなると、どらやきについて、一から説明しないといけないし……。


「落ち着きなさい、ジョッシュ。まあ、気持ちはわかるけどね……。私も、お兄様がこんなことを言いだすなんて、今日まで想像すらしていなかったわ……。もろもろ説明はあとにして、端的に言うと、リリーに会って、お兄様に人間の心がうまれてきたの。この短時間でね」


アイシャの言葉を聞いて、ジョッシュさんが、はじかれたように私を見た。


目が血走っている。

怖いですよ、ジョッシュさん……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ