表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(第二章を始めました)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。   作者: 水無月 あん
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/99

落ち着いて

「まあ、私の婚約のことはどうでもいいわ。それより、お兄様。最後の質問をするわよ!」


アイシャがジョルジュさんの方をむいて言った。


え? また、あの面接のような質問に戻るの? なんで? 


疑問に思う私の前で、 

「ああ、なんだ?」

と、冷静に受けて立つジョルジュさん。


いやいや、変ですよね? 

一体、なんのための質問?


「もしも、奇跡的に、万が一にも、人間になったお兄様がリリーに好かれ、リリーと結婚できたなら、自由に、私と会わせるつもりがありますか?」


「アイシャ、何を言ってる!? そんなこと、あってたまるかっ!」


すぐさま、吠えるように声をあげたラルフ。


「ラルフに聞いていないわよ。お兄様に聞いてるの。お兄様、答えて」


「だから、聞いても無駄だ。そんなことありえないからな!」


再び吠える、ラルフ。


もう、ラルフが毛を逆立てているウルフに見える。


部屋のすみで控えているメイドさんたちが息をのんだのが伝わってきた。

このままでは、ラルフが危険人物に思われる! それは嫌だ。  


私は、あわてて、ラルフを小声で注意した。


「ちょっと、落ち着いて! ラルフ」


が、ラルフは、何故か、私の腕をがっしりとつかんで言った。


「リリー、大丈夫だ。リリーは渡さない。俺にまかせろ!」


いやいや、大丈夫じゃないのはラルフだけど? 

ちっとも、まかせられるような顔をしてないけど?


しかし、そんなラルフをジョルジュさんは全く見ることもなく、アイシャにむかって答えた。


「リリアンヌ嬢が会いたければ、もちろん、おまえと会うことは自由だ。もし、わたしと結婚したならば、リリアンヌ嬢はおまえの義理の姉になる。それならば、おまえが王子妃になった後も、会いやすくなるだろう。ロジャン国の王宮に泊まることも可能となるだろうしな。もし、リリアンヌ嬢が望むならば、このロジャン国に私の本邸を構えてもいい。仕事はどちらの国にいようが、できるからな」


アイシャがはっとしたような顔をした。


「なるほどね……。お兄様が人間の心を持っていなかったから、リリーの相手としては、はなから諦めて想像したこともなかったけれど……。お兄様と結婚すれば、リリーと本当の姉妹になれるのよね。それは、夢のよう……。それに、確かに姉妹なら王宮に泊まることは可能だわ。いっそ、王宮内にリリー専用の部屋を作ってもらおうかしら……。そうなると、ジャンには悪いけれど、お兄様のほうが、私にとってはずっと都合がいいわね……」


そうつぶやいたあと、アイシャは悪役令嬢のような笑みをうかべた。


ちょっと、アイシャ、……かなり変だけど大丈夫!?


と思ったら、アイシャが高らかに宣言した。


「お兄様、合格! 私は全面的に協力するから、今、言ったことを絶対に忘れないで!」


は、合格? え、面接だったの……!?


「おい、アイシャ! 寝返ったな!」

と、ラルフが憎々し気に言う。


「寝返るもなにも、私にとったら、もともと、ラルフはないから!」


アイシャの言葉にラルフが冷気を放つ。


なんかよくわからないけれど、殺伐とした空気になってきた!


ラルフが冷たい美貌を怒りで燃えたぎらせて、私に言った。


「やっぱり、リリー。留学は中止だ! すぐに帰るぞ。見知らぬ相手より、最大の敵は身近にいた。ここは敵陣だ! 危険すぎる!」


ラルフ、敵って……。 

アイシャと例えが同じというか、ここは戦場じゃないよ?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ