提案
不定期な更新ですみません!
「リリアンヌ嬢。そのドラヤキ、できれば食べてみたいのだが、この世界にある材料で作ることはできるだろうか?」
と、ジョルジュさん。
あ、確かに、食べてみたいよね?!
「前世では、私はどらやきは食べるだけで、あんこも作ったことはないんです…。でも、作ってみたいです! 同じものはできなくても、似たようなものなら、もしかしたらできるかも…?」
私は、そう言いながら、どらやきの作り方を想像しはじめた。
ジョルジュさんが、私の言葉に、またもやうっすらと微笑んだ。
なんだろう、凶器のような微笑だよね…。
隣で、アイシャが、「また、笑った!」と、驚いた声をあげている。
普段、冷静なアイシャとは思えない声の大きさだ。
そして、反対側の隣のラルフからは、
「見るな! 目をとじろ!」
と、声が飛ぶ。
そりゃ、無理だよ…。もう、見てるし…。
そんなまわりのざわめきを気にすることなく、ジョルジュさんは私だけを見て言った。
「では、リリアンヌ嬢、お願いする。この屋敷の調理室に、デザート専門の料理人がいる。その者に指示をしてくれれば、その者が作る。どんな材料であろうと手に入れるし、特別な調理器具がいるようなら買うことはもちろん、オーダーして作らせる。もし、専用の調理室が別にいるなら、即座に建てる。ドラヤキのために必要なことがあれば、遠慮なく言ってくれ」
え、なんかすごいことが聞こえたような…?! 調理室を建てるって…、いりませんがっ?!
「ちょっと、お兄様、何、おかしなことを言ってるの?!」
アイシャが、身をのりだして、声をあげた。
いや、本当にね…。アイシャ、この金銭感覚、ガツンと注意してあげて!
「おかしなこと? なにがだ? 全て私のポケットマネーで払うから、問題ない」
ジョルジュさんが、きっぱりと答えた。
いえ、問題おおありですよ!
「は? だれも、お金のことなんて言ってないでしょ?! 趣味もない、友人もいないお兄様だもの。お金は貯まる一方だろうから、好きに使えばいいわ。そうじゃなくて、リリーは、ここには寮がはじまるまでの3日しかいない。その間は、私がこの町を案内するの。お兄様、リリーとの時間を邪魔しないで!」
え、アイシャ?! 注意するところ、そこ?
「ああ、そのことだが、リリアンヌ嬢は学園の寮に入らず、ここから通えばいい。私もしばらくこの国で仕事をするから、この屋敷に滞在する」
「ダメよ、お兄様! ここからだと学園まで遠いわ。放課後、私は、王子妃教育で王宮に行かないといけないし」
ジョルジュさんが、アイシャを冷え冷えとした目で見た。
「私は、リリアンヌ嬢はここから通えばいいと、言った。アイシャは今までどおり、寮から通え。王宮にいつ呼ばれるかわからないからな。それに、遠くても、私が責任をもって、リリアンヌ嬢の送り迎えをする。私がついていたら、誰にも手出しはさせない。どの護衛よりも安全だ。安心して任せてくれ」
「はああ?! 絶対ダメだ! 安心する要素がまるでない! ジョルジュさんは、絶対ダメだ!」
と、叫んだのは、ラルフ。
ジョルジュさんの目が、冷たく光った。
「ラルフ。おまえには、まるで関係のないことだ。何故、おまえが拒否をする? その権利はない。リリアンヌ嬢が決めることだ」
「いや、そんなことはない! リリーは、俺の大事な…、大事な幼馴染だ! 今日、会ったばかりのジョルジュさんが間に入る権利はない!」
間に入る権利…?
どらやきを作るだけなのに、みんなの会話がどんどん迷走していってるんだけど?
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