聞いてはいたけれど
不定期な更新なのに、読んでくださっている方、ありがとうございます!
その後、立派な応接室へ通され、お茶の用意をしていただいた。
そして、今、私の目はテーブルに釘付けだ。
「うわあ! 見たことないようなお菓子や、ケーキばっかりなんだけど?!」
「ロジャン国にしかないお菓子やケーキを用意したの。どれも、美味しいわよ」
と、アイシャ。
「アイシャ、ありがとう! うれしすぎる!」
私が感嘆の声をあげた。
「目をきらきらさせて、そんなに喜んでくれて、嬉しいわ。
ねえ、リリー。ロジャン国には、美味しいお菓子もこんなにあって、本も読む環境も充実してるわ。ほら、ロジャン国に、住みたくなってきたでしょ。リリーは、ロジャン国にぴったり合うと思うの。そう、リリーは、ロジャン国にいるべきなのよ。ずーっと、ずーっとね」
アイシャの声が、すーっと心にしみいってくる。
確かに、そうかも…。
「おい、アイシャ! マインドコントロールするな! それに、リリーも、甘いものくらいでつられるな。簡単すぎるだろ…。ほんとに、留学して大丈夫なのか? 珍しい本や菓子をくれるからって言われても、絶対、ついていくなよ。…って、ケーキばっかり見て、全く聞いてないな。心配しかない…」
ラルフが、はあーっと、ため息をついた。
その時、開いたままのドアのところで、「失礼いたします」と、声がした。
ロバートさんだ。でも、さっきと顔つきが違う。
あわててるのか、早足で入ってきて、アイシャに近づくと、小声で何かを伝えた。
とたんに、アイシャの眉間にしわがよった。
「アイシャ、どうかした…?」
私が聞くと、
「…ええ、そうね。…控えめに言って、最悪かしら?」
と、嫌そうな顔で答えた。
え、最悪?! なになに? なにが起きたの?!
「スケジュールでは、こっちへ来ない予定でしょ? なんで、こんな時に限って来るの?」
アイシャが、ロバートさんに不満げに言った。
「今朝も側近の方に確認しましたが、ご予定に変更はなかったはずですが…」
困惑したような顔で話すロバートさん。
そこに、
「ロバートが珍しくあわてていると思ったら…。アイシャ、いたのか」
恐ろしく冷ややかな声がした。
思わず声のほうを見ると、ドアのところに、すらりとした長身の若い男性がたっていた。
まっすぐな銀髪の髪に、ブルーの瞳。
アイシャに似ているけれど、一切の甘さをぬきさったような美貌。
もしや、この方は…。
「ジョルジュお兄様…。こちらに来られるとは知りませんでした」
アイシャが、冷え冷えとした口調で言う。
「私がいつ別邸を利用しようが自由だ。それより、アイシャ。寮に入らず、何故、この別邸にいる?」
アイシャ以上に、冷たい声で言い返すアイシャのお兄様。
アイシャのお兄様は、貴族社会に疎い私でも、「すごい美貌の氷の貴公子ジョルジュ様」という噂を聞いたことがある。
まさに恋愛小説のヒーローっぽい感じに、ちょっと見たいなー、なんて、アイシャに言ったら、「やめときなさい」と、生気のない目で言われたっけ。
それ以来、お兄様のことを話題にしたことはなかったけれど…。
なるほど…。これは、近寄ってはいけない感じの人だ。
ふと、前世で知っていたことわざが、うかんできた。
触らぬ神にたたりなし…。
アイシャとラルフも冷たい美貌だけれど、雰囲気が全然違う。
なんというか、一気に氷漬けにされそうな冷たさと鋭さだ。
うん、普通に怖い…。
そして、「氷の貴公子」なんて、キャーキャー言う御令嬢たち、すごいな。
そんな甘いもんじゃないと思う。
だって、今、私は、猛烈に、蛇ににらまれたカエルの気持ちに共感している。
本能的に、この場から逃げだしたくてたまらないんだけど…。
新しい登場人物登場しました。癖が強いですが、よろしくお願いします…(-_-;)
読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださっているかた、ありがとうございます!
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