怖いよね?
今日、1回目の更新になります。
さあっと人が割れて、その間を、グラン国の王様子と王女様が、私たちのほうへと歩いてくる。
色々聞いてしまったら、…うーん、なんか、ドキドキする。
もちろん、嫌な方向に…。
まだ結構な距離があるのに、王女はラルフを見て、嬉しそうに「ラルフ!」と呼んだ。
ええ?! ちょっと、どうしよう?
私、ラルフから離れたほうがいいんじゃない?
と思ったら、ラルフに手をがっしりとにぎられた。
まずい…!
どう考えても、この状態で王女様に会うのは怖いよね?! 怖すぎるよね?!
絶対、敵認定されるもん。
ということで、全力でラルフの手をふりほどこうとする。
が、何故か、ラルフは更にギューッとにぎってきた。
しかも、
「だれが離すか」
そう言って、不敵な笑みを浮かべる。
「いやいや、怖いでしょ? どう考えても、怖いよね?! 離れたい!」
あせって私が言う。
「こら、ラルフ! 離しなさい! リリーを巻き込まないで!」
アイシャも加勢してくれた。
ラルフは、真剣に私を見つめて言った。
「悪いが、おおいに巻き込む。それで、あの王女に、俺の気持ちを嫌と言うほど分からせる。入り込む余地などないということを見せつける。リリーは、絶対に俺が守るから。だから、傍にいてくれ」
「きゃー、ラルフくん、私がそばにいる!」
と、ふざけたことを言うロイさん。
思わず、あきれはてた目で見てしまう。だって、今、すぐそこに危機がせまってるのに、そんな場合ではないのでは?!
が、ラルフはそんなロイさんを完全無視で、私から目をそらさない。
いつも冷たいくらい冴えわたるエメラルド色の瞳が、熱を帯びているようで、ドキリとする。
はあー、ほんと、私はラルフのこのエメラルド色の瞳に弱いのよね…。
それにしても、私にこれほど頼むくらい、よほど、王女様が嫌なんだね?
「わかった。そばにいるから、手を離して。この状態は、いくらなんでも恥ずかしい。恥ずかしくて死ねる」
私が断言すると、しぶしぶ、手を離してくれた。
が、何故か、更に私との間を詰めてきた。
「こら、近い!」
私があわてて言ったら、
「手をつなぐか、この距離か、二つに一つだ。どっちか選べ」
と、命令口調のラルフ。
「は?! なに、その二択? …じゃあ、私、アイシャと手をつなぐ!」
私の言葉に、プフッと王太子様が笑った。
「リリーちゃん、おもしろいねえ。じゃあ、リリーちゃん、ぼくと手をつなぐ?」
と、王太子様が微笑みかけてきた。
「はあ? 何、言ってんだ?!」
と、ラルフがすごんだところに、グラン国の王子様と王女様がやって来た。
王子様は初めて見るけれど、王女様と同じように、燃えるように赤い髪の毛だ。
まっすぐな髪の毛を肩のあたりで、切りそろえている。
そして、瞳も、これまた同じような色で、緑色だ。背も高く、目をひくお二人だ。
「楽しそうですね」
まず声をかけてきたのは、グラン国の王子様だ。
あれ、この国の言葉を話せるの?
と、思ったら、王太子様が、
「ルジェ王子はね、この国の言葉が話せるんだよ」
と、説明してくれた。
すると、王子様は、
「簡単なことだけです。急いで勉強したのですが、難しいです」
少しゆっくりだけれど、きちんと話した。
そして、王子様は、ラルフをまっすぐ見ると、
「私の妹が、そちらのラルフ君をとても気に入っておりましてね。一曲、おどってやってください」
と、人当たりの良い笑みを浮かべる。
穏やかな表情とは裏腹に、何か、有無を言わせないものを感じて、ゾワリとした。
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