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(第二章を始めました)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。   作者: 水無月 あん
第一章

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視線が痛い

不定期な更新ですみません!

動悸が激しくて、王太子様のご挨拶は、何も聞き取れなかった。


そして、音楽がなりはじめ、会場はざわざわし始める。

皆、思い思いに動きはじめたよう。


飲み物を配る人が通りかかった。


そう言えば、のどが、からっから…。


思わず、

「あ、飲み物…」

と、つぶやいたら、すぐにラルフが察してくれたよう。


やっと、私の手を離し、私の分とアイシャの分の飲み物を受け取り、手渡してくれた。

すぐさま飲む。

フルーツジュースが、甘みと酸味が疲れた心と体にしみわたるわ!


「くーっ! 美味しいー。しみるー!」


「その見た目で、しゃべった時のギャップがすごいわねー」

私を眺めながら、アイシャが楽しそうに笑った。


あ、そうか。前世なら、今の私って、お風呂上りにビールを飲むおじさんみたいな感じよね…。


「よほど、のどがかわいてたんだな」

ラルフが、ちょっとあきれた顔で言った。


「うん。おなかは、もっとすいてるけどね!」

と、開き直る私。


「わかった。食べに行くか」

と、ラルフは言い、またもや、私の手をにぎった。


「え? ちょっと、手をつかまなくても歩けるよ?」


「ダメだ。短い距離でも危ないからな」

ラルフが、真顔で言いきった。


「危ない? いやいや、ここは、王宮のパーティー会場だよ? 危険な動物たちがいるジャングルじゃないけど?」

そう言いながら、私が手をふりほどこうとすると、ラルフは、さらに強く、私の手をぎゅっとにぎってきた。


そして、ラルフは、少しかがむようにして、私の顔を横からのぞき込む。

エメラルド色の瞳は真剣だ。


「ここは、危険な奴らがごちゃついているジャングルみたいなもんだ。視線もうっとうしいし…。こんなところで、リリーを一人で歩かせられるわけないだろ」


ラルフの過保護が、ますます悪化してるんだけど…。


「仕方ないわね。…まあ、確かに、今はラルフといたほうがいいかも。あの王女の視線は、不快だわ! リリーに何かするつもりなら、あの王族ごと沈める方法を考えないとね」  

と、アイシャが美しい顔で、おそろしいことをさらっと言った。


アイシャ…。それは、やめてあげて!


ということで、ここは、おとなしく、ラルフに手をつながれて、料理の並ぶテーブルの方へと歩いていく。


歩くたびに、あたりが静まり、注目されているのがわかる。

颯爽と歩くラルフに手をひかれ、連行される私。その後ろから、女王のように、優雅にアイシャが歩いてくるのだから、目立ちまくりだよね。


視線が痛すぎる…。

お願いですから、みなさん、こちらを見ずに、ざわざわっとしていてください!


このなんとも言えない空気の中、

「おっ、ラルフ! 久しぶり」

声をかけてきた勇者がいた。


茶色でくせのある髪に、くりっとした目。親しみやすそうな男の人だ。


「あ、アイシャさんも久しぶり」

と、アイシャにも声をかけた。


「お久しぶりね。ルークさん」

アイシャが微笑みながら、挨拶を返す。


「おまえ、目立ってんぞ! なんてたって、美女二人もひきつれてるからな?!

ちょっと紹介しろよ。その手をにぎってる、きれいな…」

そこまで言った瞬間、黙った。


ラルフが、氷のような視線で威圧しているからだ。


ルークさんとやらは、おびえた顔でつぶやいた。

「ラルフ、こわいよっ…。殺気立ってる…? こわっ…」


心配になって、私が、

「あの、どなた?」

と、ラルフに聞くと、ラルフは私のほうを見て言った。


「リリーは永遠に知らなくていい」


その人は、あわてたように言った。

「俺はラルフの同級生です! ラングーン伯爵家のルークです。よろしく!」


ラルフが、冷たすぎる視線をルークさんに投げた。

「ルーク。誰が、リリーに自己紹介していいって言った? リリー、今のは忘れろ。必要ないからな」


え?! ちょっと、失礼でしょ?

かわいそうに、ルークさんが涙目になってるよ。 


読んでくださっている方、ありがとうございます!

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