馬車の中で
今日、一回目の更新になります。
ひろびろとした立派な公爵家の馬車にゆられ、ラルフと二人、王宮へ向かっている。
気持ちは、すでに溺愛観察準備中。
期待に胸がふくらむわ。うきうき。
なのにだ!
「ちょっと、ラルフ、さっきからしつこい!」
さすがに、温厚な私もきれた。
「だって、おまえ、全然聞いてないだろ? 俺が言ったこと、言えるか?」
と、ラルフ。
「言えるよ! ちゃんと聞いてたから」
「じゃあ、復唱してみろ」
ラルフは、私の先生ですか?!
そう言いそうになったが、言うと更に面倒になりそうなので、とりあえず、言われたとおりにする。
「パーティー会場では一人にならない」
「はい、次」
「知らない人にはついていかない」
「他には?」
「飲み物に注意する」
「知らない人から差し出されたら、絶対飲むなよ」
「わかってるって…」
「じゃあ、他にもいっぱいあるだろ。言ってみろ」
「食べ過ぎない」
「それから?」
「…ええっと…なんだっけ」
「ほらみろ。全然聞いてないじゃないか」
ラルフが、凍りそうな目で私を見る。
そりゃ、あんなにいっぱい言われてもね? すでに、気持ちは、すっかり王宮へ飛んでるからね。
私は、はーっとため息をついて、
「本当、大丈夫だから。ラルフは、心配性なんだよ! そりゃあ、背は小さいけど、もう、私は子どもじゃないよ?」
と、言いきった。
「子どもじゃないから、心配なんだけど?」
ラルフは眉間にしわをよせ、いらだった口調でつぶやいた。
ほんと、どれだけ、心配なんだ?!
私は安心させるように、付けくわえた。
「それに、ラルフには小さい頃から言ってたでしょ。私には、前世の、しかも、今の年よりも、まだ年上の女子高生だった記憶があるんだから。しっかり者のね。だから、大丈夫」
どうだ、これで、安心でしょ?
が、ラルフの鋭い目つきが、一層、鋭くなる。
「いや、全く安心できない。むしろ、不安しかない。その前世の女子高生とやらは、しっかりしてたのは、金の面だけだろ? 子どもの頃から、おまえを見てきた結果、その記憶、節約にしかいかされてない」
「えー?! そんなことないよ。ラルフには伝わってないだけじゃない? 私って、しっかりしてるよ?」
「自分のことを、そんな風にいう、しっかりした奴を俺は見たことがない」
「ほら、ここにいるから!」
私は、自分を指差し、必死にアピール。
「ダメだ。安心する要素が微塵もない…。こうなったら、ずっとそばにいるか…」
などと、恐ろしいことをつぶやいている。
やめてー!
ラルフと一緒にいたら、目立ちすぎて、溺愛観察ができないじゃないのよ!
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