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(第二章を始めました)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。   作者: 水無月 あん
第一章

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対面

本日、2回目の更新になります。

近くで見る王女様は、背が高く、華やかで美しい方だった。


燃えるように赤く、腰のあたりまである、まっすぐな髪。

そして、なにより目をひくのは、その瞳だ。

大きくて、少し上にあがった芯の強そうな目に、緑色の瞳が輝いている。


私には、ラルフのエメラルド色の瞳と、まるでおそろいのように思えた。


王女様は、嬉しそうに笑って、

「ラルフ!」

と、声をかけてきた。


続けて、ラルフに何かを言ったけれど、知らない言葉なので、私には理解できない。


でも、明るい喜びをふくんだ声。その声を聞いただけで、王女様がラルフに親しみを感じているのが手に取るようにわかった。


そして、ラルフが、耳慣れない言葉で返事をした。


ロイさんが、私の隣によってきて、

「ルーシェ王女がね、リリーちゃんが誰なのかって聞いたんだ。それで、ラルフが、幼馴染だって答えたんだよ」

と、通訳してくれた。


私は、その場で、カーテンシーをして、簡単にご挨拶をした。

「初めまして、王女様。リリアンヌ・ミラベルと申します。どうぞよろしくお願いいたします」


他国の王族の方にお会いするのは初めてだけど、こんな感じで大丈夫なのかな?

よくわからないので、不安なんだけど…。


王女様は微笑んで、

「わたしは、ルーシェといいます。グランコクのダイサンオウジョです。ヨロシク」

と、この国の言葉で挨拶をしてくれた。


話せないと聞いてたけど、きれいに発音されている。


「この国の言葉、とてもお上手ですね」

私が言うと、王女様は、私の言葉がわからなかったようで首をかしげた。


ラルフが通訳すると、パアッと華やかに笑って何かを言った。


「ラルフ」

という言葉しか、私には聞き取れない。


でも、王女様は、会話の中で、ラルフの名前を何度も言っているので、ラルフのことを言っているんだろうな、と想像がつく。


ラルフを見た。

が、自分のことを言われて訳しにくいのか、少し気まずそうな顔をして、私から目をそらした。


なので、ロイさんが、かわりに訳してくれた。


「ラルフに教えてもらったんだって。ラルフの教え方がいいからだって。ラルフはやさしいんだって。ラルフ、ラルフ、ラルフって、すごいね。王女様、ラルフがよほど気に入ったんだね。どう思う、リリーちゃん?」

楽しそうに目を光らせながら、私に小声で言った。


王女様は笑いながら、ラルフに何か話しかけている。

ラルフもポツポツと答えている。


と、その時、ラルフが王女様のことを

「ルーシェ」と呼んだ。


そこだけは、はっきりと耳に入ってきた。


あ、ダメだ、私。

体の奥がズキズキして、二人を見ていられない。


うん、さっさと失礼しよう。


ふと下を見れば、あれは、アイシャー!!


図書室に入ってきて、私を探しているのか、きょろきょろと見回している。

なんか、ほっとして、泣きそうになった。


とにかく、この場から、即刻、はなれたい。


ということで、手に持っていた本を、もとの位置にさっと戻し、靴がきちんと履けているか、そっと床にうちつけて確認した。よし、準備オーケーだ。


私は、誰の目も見ず、一息に言う。

「では、アイシャが私を探しているようですので、お先に失礼しますね。みなさま、ごゆっくり」


そして、だれかが何か言う前に、素早く、王女様に頭を下げて、横をすりぬけ、全力で階段をおりはじめた。


「リリー!」

ラルフの声がしたが、とまらない。とまりたくない!


失礼だろうが、しょうがない。

貴族令嬢としても、図書館のマナーとしても、全力で走って階段をおりるなんてアウトだけど、でも、あの場にいたくなかった。


二人を見ていたくなかった。


親離れができていないのか、兄離れができていないのか、全く意味はわからないけれど、自分が自分じゃなくなっていくみたいで怖いから。


ほんと、せっかく王宮の図書室に来てるのに、私、どうしたんだろう。


一気に階段をかけおりる。


息が乱れたまま、

「アイシャー!」

と、呼んだ。


アイシャが微笑んで、手をふってこたえてくれる。


親友の顔を見て、ズキズキがとまった。

ああ、良かった。これで、元の私にもどれるんだ。

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