打ち合わせ
今日、3回目の更新です。よろしくお願いします。
応接間にとおされて、ラルフと明日のパーティーについて打ち合わせする。
と言っても、婚約者でもないから、お互いの衣装がちぐはぐにならないことや、迎えにきてくれる時間など、ごく簡単なことだけで終了。
別に伝言でもすむ内容だけれど、エルザおばさまに本も渡したかったしね。
「じゃあ、明日よろしく~。エルザおばさまのところに寄ってくわね!」
すぐに帰ろうとした私に、
「こら、待て」
ラルフが、ひきとめた。
「なに?」
「今、来たのに、もう帰るのか?」
「だって、エルザおばさまが、お菓子を用意してるって言ってたじゃない? きっと、私のだーいすきなルシアンのパウンドケーキでしょ! ムフフ、楽しみ~」
ラルフが、はあーっとため息をついた。
「なに、菓子につられてんだ? 庶民的な店のケーキだし、いつでも買えるだろ」
「いやいや、自分で買うくらいなら作るから」
「あいかわらず、けちくさいな」
「フフ、ほめてくれてありがとう」
「ほめてない。いいか、ちょっと待ってろ」
そう言うと、部屋をでていった。
そして、ラルフが戻ってきたと思ったら、公爵家のできるメイドさんたちによって、あっという間に、お茶の準備が整えられた。
ルシアンのパウンドケーキもたんまりある!
「エルザおばさまが用意してたケーキ?」
「奪ってきたから、ここで食べていけ」
「やったー! ありがとう!」
久々のケーキを堪能しながら、思わず、笑いがこぼれる。
ラルフは、眉間にしわをよせ、
「気持ち悪いな。なんだ?」
「ラルフって、私とお茶がしたかったんだ? ひねくれてはいるけど、かわいいよねえ。そういうところ、小さい頃からかわらないなあ」
私は、にまにましながら言った。
すると、無言のまま、両手をのばしてきたと思ったら、私のほっぺたをつまんで、びよーんとひっぱったのだ!
「なにひゅるのよ! いひゃい、いひゃい!」
ラルフは、無言のまま、両手をぱっとはなした。
「悪い。その顔見てると、無性に腹が立ったわ」
「はあ?! ちょっと、この無邪気な顔のどこがよ?」
「全部?」
なんですって! 言い返さねばと思って、ラルフの顔を見る。
…が、悲しいことに、顔は、ほんとに麗しいんだよね。言い返せない。ずるい…。
漆黒の髪に、すずやかに整った顔立ち。
特に、エメラルドみたいな切れ長の目がきれいなんだよね。
冷たく見える美貌も、私的にはポイントが高い。
これで、寡黙で、ヒロインだけを溺愛していたら…。
まさに、私の好みドンピシャ。
私は、フーッっとため息をついた。
「もったいないよね、ラルフは…。その顔面を生かせば、リアルヒーローになれるのに。そして、私にすごい溺愛を見せてくれたらいいのに。ほんと、いろいろ言動が残念すぎる」
「おい、だれが残念なんだ? 失礼な奴だな。しかし、子どもの頃から、溺愛、溺愛って、よく飽きないよな? 俺も数えきれないくらい聞かされてきたが、いまだに、その良さが理解できん」
「ええ?! あんなに説明したのに、まだ理解できないの? かわいそう!!」
「あ?」
ラルフが、冷え冷えとした声をだした。
あ?じゃないよ。ほんと、もったいない。
その口の悪さじゃ、溺愛ヒーローにはなれないわ。やっぱり残念!
早速、ブックマーク、評価、いいねをくださった方、本当にありがとうございます!
励みになります。
読みづらいところも多いと思いますが、読んでくださった方、ありがとうございます!