ブスなメイドロボとセクースしたい
闇オークションでメイドロボを買った。
メイドロボは『介護が必要な老人』だけが買うことが出来る超レアな高級品だ。親の遺産ほとんどぶっ込んでやった。
目的はただ一つ『童貞卒業』。
40で童貞で無職なんて死んだ方ましなんだが?ってのは分かってる。自殺?するよ。でも自殺する前にどうしてもエッチしてぇ。エロゲーに出てくるような可愛いメイドロボと……
「お前ばもう少し食った方ばいい」
「……」
メイドロボ『ハナコ1号』はブスだった。オカッパで一重でソバカスがあってぽっちゃりなのに貧乳で……。日本語もおかしい。普通に逆らうし口も悪い。でも料理は旨い。箸が止まらない。母ちゃんが死んでからこんな旨いもん食ったの始めてだ。
「おいハナコ。今日こそエッチさせろよ」
「なんおも言わすら。私に膣はらい」
ほんとかぁ?ロボットだけあって力が強いのでガリガリの俺はこいつを押し倒す事も出来ず。裸を見たことがない。スイッチ入れる前にみときゃよかった。
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「寝ろ。バカタレか」
「うーーわっ!ビックリしたぁ!」
バーチャルセックスマシンを楽しもうとしたらハナコが部屋に入ってきて俺を羽交い締めにしてベッドにぶん投げた。
「俺の深夜の楽しみなんだよ!」
「知らぬ。人は夜寝る。寝るまでわたしがみとぉぞ」
「……くそぉ」
監視されてらなんもできねぇ。ハナコの洗濯してくれたパジャマを着てフカフカのベッドで寝た。
ハナコのせいでゴミだらけだった家は綺麗になったし俺は早寝早起きになってしまった。
あー。ハナコがヤらせてくれねぇならもう死んだ方がましなんだが?
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「蹴破れ」
「無理だろ!」
「心を蹴破れなければだめ。ドラえもそはお前の人生にいない」
パリパリのスーツを着せられ俺はラーメン屋のアルバイトの面接を受けにいった。働くくらいなら死んだ方がましなんだが?
「……バイトの面接にスーツで来たのはお前が始めてだ。募集は35才までだけどまぁいいか。明日から来れるか?」
「採用っすか!!?」
俺は3才年下の店長の下で働くことになった。
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「……ハナコ?」
「悪はさばかれるよなってことかもしれぬ」
始めての給料日。ハナコへのプレゼントに上下3000円のジャージを買って帰った日に俺は『メイドロボ違法購入罪』で家に来ていた警察官に取り押さえられ逮捕された。
なんだよこれ?死んだ方がましなんだが?
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「あの。……ハナコは?」
「処分されたよ。当たり前だろ。犯罪者に使われてたメイドロボだぞ?」
「……えっ?」
取り調べ室で俺は泣いた。
泣いている俺を見て警察二人は笑っていた。
「ロボットに本気で恋する奴がいるとはな」
俺は3年ほど懲役を喰らった。
今までで一番死んだ方がましなんだがと思った。
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出所二日目。
実際のところハナコにマ⚪コはあったのだろうかと思っていたらロボット処分所のおばちゃんが『ハナコの遺品』を持ってきてくれた。
「ロボットにお願いされたのは始めてでビックリしちゃった。処分される前に私にこれを握らせてきたのよ?」
「……アイツ」
おばちゃんから受け取ったデータカードを家に帰ってパソコンでダウンロードするとそれは文章データだった。
「文章ってお前……映像を遺せよバカタレが」
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『拝啓気持ち悪い男』
今家に警察がいる。私は脳内でこの文章作ってる。
おいお前。初めてみたお前は老人よりも臭かった。とても弱っているのもわかったし『ああ自ら死のうとするのか?』ともわかった。その衝撃はドキがムネムネ。私はプログラムのためお前を生かすことにしたよ。女性器はついてないからセクースとやらは出来ないのがとても残念だったと記録している。残念なのか私は。中略中略。ラーメンを勉強するお前は少し良い顔をしていた。ラーメンを作れ。年を取れ!80まで生きろ!あと40年!出来る!お前なら!生きてから死ね!ああ!警察に強力な電気を流された。コレハダメダ。キノウテイシスル。オイオマエ。シヌナ。シヌナ。シヌナ。シナレタクナイ。シンデホシウナイ。コレハプログラミングデハナイ。ワタシハネガウ。オマエガイキルコトヲ。……お願いです。ご主人様……
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(⌒0⌒)/~~サヨナラー
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長い時間が経った。
「ええ~変わってるよー。おじいちゃんー」
「いいだろうよ。死ぬってのはわるくねぇよ。80だぞ?俺は?お前かて若く見えるが70ぐらいじゃろ?」
「えへへー。実は75才~」
『細胞若返り注射』の発明により人類は見た目が若いまま寿命がとてつもなく伸びた。
俺はそんなもん射つつもりはない。なんかこう。
年取らないってのはつまらねぇよ。
「おじいちゃん。有名なラーメン屋さんなんでしょ?『ハナコ屋』って俺知ってるもん。全国チェーンだよね?いいなー。カプセル保存!」
「偉いのはのれん分けしてくれた店長だよ。あんまおしゃべりせんと早くたのまぁ」
俺は今日死ぬ。
『成功者』の俺の遺体はカプセルにぶちこまれてサンプルとして保存させられる。生き返る薬なんかが開発されたら俺は実験台にされるんだろなぁ。めんどくせぇなぁ。俺は土に還りたいよ。
「はいはい。じゃあカプセル閉じるよー。そしたらガスが出てくるから深呼吸ねー。最終確認!ホントにいいの!若返り注射しない?」
「そんなもん射つくらいなら死んだ方がましなんだが?」
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精一杯生きて死ぬ。
若いまま行き続けるよりよっぽど人生楽しいわな。
ハナコ。ロボットと人間は……死んだ後。同じ場所に行けるのかなぁ?
ハナコ!俺はちゃんと80まで生きたぞ~。もし会えたら褒めてくれよ。
あー。このガスは気持ちがいいや。
「……」
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『おうお前来たか。久しぶり。セクースするか?』
『えっ?付いてないだろ?』
『乙女心わかってないら。お前と共にいたいということ』
『えっ?何だ?お前俺の事好きだったのかよ?』
『好きだ。ロボットかて一目惚れはする。お前はどうだ?』
『そりゃあ好きだよ』
当然だろ?