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いわくつき

「ここ、事故物件だったんだなあ。」


 帰宅後、なんともなしに家の中を見回してみる。…普通の家にしか見えない。

 まあそうだよね~。事故物件て、結局不幸なことがたまたま起っちゃったってだけなんだし。幽霊がいるとは限らないかあ。実際、変なこととか起こったことないしね。


「あ、そういえば、太縞テル、だっけ」


 二人から教えてもらったんだよね。事故物件検索サイト。

 これに住所を入力するとそこが事故物件かどうかわかるし、地図から事故物件を探すこともできるんだって!しかもそこでどんなことが起こったとかも教えてくれるらしい。

 事故物件てわかったら、何があったかぐらいは知りたいよね。


「えっと、ここに住所を入れて…よし。さてさて何があったのかな~。えっ」


 サイトを開いて、住所を入力。

 そして出された結果に、思わず驚いてしまった。


【201号室 不審死 20○●年✕月○日投稿】

【201号室 自殺 20○△年●月✕日投稿】

【201号室 病死 20✕□年△月●日投稿】

【201号室 不審死 20✕○年○月△日投稿】


 4件。

 4件もある。つまり最低でも、四人の人が死んでいるということになる。それにどの投稿も、五年以内のもの。最後の不審死にいたっては、投稿から半年も経ってない。

 しかも…


「201号室って、ここじゃん。」













 その日の夜、私は事故物件やアパート関連の怪談を、YourTubeで聞いていた。

 え、怖くないのかって?

 正直言うと、あんまり。

 オカルトは好きだけど、ぶっちゃけ私そんなに信じてないしねー。心霊スポットに行ったり怪談を話たりとか、友達とやって怖がることもあった。けど、本気じゃない。多少オーバーにリアクションすることだってあったしね。その方が楽しいから。おもしろいから。

 でも、心の底から怖いと思ったことは…ない。

 それはたぶん、見たことがないから。いくら伝聞だったり、テレビで見聞きしても、直接見なければ信じることはできない。信じなければ、恐怖することもない。


 ここも同じ。というか、なまじそれなりの期間住んでるから、余計に。幽霊どころか、心霊現象のようなものすら見てない。起こってない。それじゃあいくら何でもねえ?

 そんなわけで、私は少しでも気分を味わおうとそれっぽい怪談を手当たり次第に再生することにした。

 なんでそうなったって?そんなわけだからだよ。


 今再生してるのは、夜遅くまでバイトして深夜にアパートに帰ってきた学生の話

 …私もバイト探さないとなあ。て、この話今日茉穂ちゃん達としたな。

 バイトかあ。でもなあ、できればあんまり忙しかったりきついのは嫌だなあ。でも時給低いのもなあ。


「どっかに楽に稼げるバイトとかないかな?できれば近場で。」


 ダメ人間の発想だなあと思いながら、いやいやほんとのダメ人間は働いたら負けみたいな感じだし、働く気持ちはある私はまだまし。と誰にしてるのかわからないいいわけを考えながら、ネットで「楽に稼げるバイト」を調べていた。

 結果…


「えーと、なになに?『勉強こそ最も稼げるバイト!?勉強して生涯年収を上げよう!』いやそういうのは求めてない。『スマホ1つでできます!レビューを書くだけでこんなに!?』ってこれよく見たら出会い系のサクラじゃん。『あなたも始めよう。資産運用』FXとか株はなあ、元手がいるからねえ。『明日からあなたも社長!?起業して目指せ年商1億!』ムリ。」


 …ろくなのがなかった。そりゃそうだよねえ。

 そもそもそんな楽な稼ぎ方がネットで簡単に見つかるなら、みんなやってるもんねえ。

 あとはユアチューバーとかだけど…


「興味持ってもらえそうなことが思いつかない。」


 歌は下手じゃないけど、特別上手くもない。カラオケで平均75点くらい。ゲームも上手くない、というかそもそもゲームをあまりやらない。コミュニケーション能力やプレゼン力が特別高いわけでもないし。奇想天外なアイデアも思い浮かばないし。そもそもあんまり労力使いたくないし。

 というか、私の取り柄ってなんだろ?


「えーと、事故物件に住んでて、文学部で、怪談が好きで、友達がいて…これって取り柄って言えるのかな?」


 んーせっかく事故物件に住んでて文学部なんだし、怖い話でも書いてみる?確かそういうサイトとかあったはずだし。ついでにユアチューブや他のSNSでも宣伝して…


「無理だね。」


 だってこの部屋、まったくそういう心霊現象とかおきないもん。ほんとに事故物件なの?ていうくらい。

 事故物件で検索すると、事故物件に住んでそこで起きた心霊現象を撮影した人とか出てくる。けどそもそもそういうのが起きないんじゃネタにできない。ネタが無いと動画も小説も作れない。一流のユアチューバーなら、無いなら自分で生み出すんだろうけど、私にそんな発想力はないからなあ。

 ほんともったいない。


「幽霊さん、どうにか出てきてくれないかなあ。ん?」


 ふと思い出した。そういえば、幽霊を見つける方法や呼び出す方法がなかったかなと。


「えっと、幽霊、見つける、呼び出す…あった。『降霊術、やってはいけない儀式まとめ』」




 

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