新居
あの旅行からしばらく。
今日は3月の末。
私はとあるアパートのの一室にいた。周囲には段ボールがいくつか。
今日から、私の一人暮らしが始まる。
大学がある県は、実家がある県の隣。県境近くとは言え、実家から毎日通うのはきつい。ということで、一人暮らしをすることになった。
そんなわけで見つけたこの物件。
ギリギリで見つけたんだけど、めちゃくちゃお得なんだよね!
まずなんと言っても3LDK!しかもトイレとお風呂が別!洗面所も独立してて広い!バルコニーもある。インターネットが無料なのも嬉しい!それからエアコンや換気扇なんかの空調設備も搭載!二階で鍵もしっかりしてるから安全安心!モニター付きのインターフォンもあるしね!築年数は30年くらいらしいけど、数年前に全体的にリフォームしてるからすごくきれい!最寄り駅も徒歩5分の距離!大学へはなんと2駅の距離!それから、それから…とにかくすごく良い部屋なんだよ!
こんなに良い部屋なら、すごくお高いのでは?きっとほとんどの人が思ったことだろう。フッフッフ。実は毎月の家賃、なんと1万8000円!しかも敷金礼金ゼロで!
ね?すごくお得な部屋でしょ?
実はこの物件見つけたの、3日前なんだよねぇ。4日前に、お母さんにまだアパート決めてないことがバレて怒られちゃって。それで急いで探したんだけど、大学の近くや駅の近くはほとんどおさえられちゃってて。残ってるのは高かったり、安くてもできれば住みたくないような物件ばかり。諦めてある程度は妥協しなきゃダメかなあ、と思っていた私が見つけたのがこの物件。他の部屋は家賃8万円とかするのに、この部屋だけ2万円以下。なんでも、心理的瑕疵?ていうのがあるみたい。よくわからないんだけど、人によってはちょっと嫌に思うことがある、って不動産屋のおじさんが言ってた。お隣さんが怖い人なのかな?まあそういうのは、よほどじゃない限り気にしないしね!
そういうわけで、ここに即決した私はすぐに不動産に連絡。念のため下見をして、満足いったのでその日の内に契約。そして2日かけて荷物をまとめたり色々揃えたりして、ようやく引っ越し完了!
それから段ボールにつめた諸々を、ある程度出して整理できたのがついさっき。まだ段ボールに入ってる物や、出して置いただけの物もあるけど、とりあえず最低限はできたはず。
だから残りは後日にして、休憩しようと思います!
そうして私が取り出したのは、そうリンフォンです!
買ってからは、暇を見つけてはずっといじってたんだよねぇ。睡眠時間だけは削らなかったけど、新生活の準備を後回しにしちゃってお母さんに怒られたんだよねぇ。
でも、このリンフォンがおもしろすぎるのがいけないと思うんだ。5000円払った価値はある。というか1万円でも安いと思う。
結局、あの骨董屋で何か買ったのは私だけだった。
ほとんど冷やかしだったのに、むしろおじいさんの方が申し訳なさそうにしてたぐらい。「こんな店じゃ、君たちみたいな若い子を楽しませられないだろうから。」て言ってた。
おじいさん優しかったなあ。お店を出るときも、見えなくなるまで見送ってくれてたし。
ただ、私のことを小学生だと勘違いしてたことだけは、一言もの申したかったけどね!
本当にリンフォンを半額で売って良かったのか、帰り際に聞いたら「小学生からあんまりお金取るのもね~。だからまあ、遅めのお年玉みたいなものだと思ってくれればいいよ。」って!
友華が、「勘違いさせとけばいいんだよ」って耳元で囁いてなかったら、おもいっきり『高校生です!』て叫んでたところだったよ。
私だって、背のびしたら140センチあるんだよ!?
ふてくされた私は、しばらく友華に抱きついて、頭を撫でられてた。…そんな子供みたいなことしてるから、余計に勘違いされるってことはわかってる。それでも、友華の撫でテクは最高なんだよ!すごく優しいし、気持ちいいし。しかも友華、私が撫でてほしい時を察して撫でてくれるんだよ!
骨董屋の後に行った、テーマパークのジェットコースターの後とかも撫でてくれたんだ。
移動中のバスの中とか、温泉とかでもいっぱい。旅行中、撫でられてばっかだな私。まあ、大学は違うところに行くから、しばらく会えない埋め合わせしとかないとだしね!私悪くないもんね!
旅行といえば、ちょっと気になることあるんだよねぇ。
旅行最終日、お土産物屋が並ぶ一角に、占いの店を見つけたんだ。何か占ってもらおうと入ったんだけど、占い師のお姉さんにすぐ追い出されちゃったんだよねえ。私達を見た瞬間、半泣きになりながら「帰ってください!」て。なんかすごく怖がってるみたいだった。みんな唖然としながら店を出たんだよ。ほんとなんだったんだろ。