外伝3 アブラ=ド・ロン2
あー、行った、行った。
「ふへぇ」
ひえー、マジで脂汗かいた。……まさかケルベロスが倒されるたぁ……ぶっちゃけリグリア砦から速報入れられた時ぁ冗談かと思ったぜ。
「それにしても、俺様の完璧なプランがああああ……」
ケルベロスを差し向けてミナちゃん以外全滅させて、そこを俺様の豚族軍団が助ける、そうすればアブラ様素敵ッ!!
強引に攫うよりはるかに紳士的な、最高のプランだと思わんかね、ハハハハハハ!!ハァ……
それにしても、塔野……あいやグラッシーの野郎、俺様の保持マナ量で操れる最高戦力を持ってきたって念話で言ってたのに、なんだあのザマぁ!!
奴は来る王位継承戦争において、我がオ・ドロン公爵家の最大戦力となるはずだった、そのテストも兼ねた戦いだったというに……!!
「ねえ、アブラ様ぁ……そんな女の事は忘れてベッド行こ、ね?」
「うー……」
アリーシャが諫めてくれるが、とても、とても忘れられる訳がない。
ち、畜生ーッ!!
◇
こと此処に至った以上連中に俺様の仕業だと悟らせる訳にはいかん。
連中は仮にもグラッシーが最高戦力と言っていた化け物を倒した、化け物以上のパーティだ。
敵に回せば豚族の兵士を全て投入しても勝てない可能性もある。なれば……
「何とか、何とか奴らを味方につなぎ止めるのだ」
官吏共に出させたプラン……つまり、奴らに適当な長期に渡る依頼を出して、その間敵対しないようにする策を実行に移したが、どうにも安心できない。
挙句例の洞窟のはぐれ豚族だ。これも官吏共にどう処置するか、奴らに対する人質としての価値はあるかと問いただしてみたが、人質としての価値はないので放置すべきとの事だった。
うーむむむむ!!兎に角、『白刃の煌めき』とは今の緩い主従とも言えない関係を続けるしかあるまい。
「……しかし、いくら奴らが強いと言っても、グラッシーやルリアーナやカインを倒せるわけではない」
なれば、なれば俺様としてはこのままグラッシーとの友好関係を維持するしかなかろう。奴が求めてるのは玉座だけの筈。その確証を俺様が求めているのは確かだから、連中に与えた依頼は実際重要なものだ。
「……奴にはラティア姫をあてがうとして、ドミニアはあくまで俺様が頂くんだ」
なぁに、奴に渡すときラティア姫が処女である必要はないわけで、ゲヘヘ……
どーせ奴にまともな政治は出来ないから、その内ボロを出す。それまでに俺が奴を倒して王位を奪取できる算段を組めばいい。
あるいはのらりくらりと粛清の手を躱して、このまま公爵として好き勝手するのも別に悪くない。
兎に角!!最低でも今の地位を維持する!そしてドミニアとユーデリッハ公領をその手に入れる!その為には俺様に思いつくどんな手でも取らなきゃならんッ!!
でも、あーせめてミナちゃんが手に入ればなぁ……
◇
頭がパンクしそうだぜ……真面目に勉強しときゃもう少しマシだったのかもなぁ……
かんこーん★
と言ってるうちに念話が入ってきた。……ルリアーナからかよ、しかも画像通話できるかだと……!?
仕方ねぇな、受けてやるか。
「よぉ、神奈、今日もクッソブッ細工だなぁ」
ルリアーナの見た目は超ブサイクだ。しわしわのゾンビがそのまんま生きているような見た目で、さしもの俺も愛人にしようなんてことは思わない。
「お久しぶりですね、ホント、倉井君はいつ見てもイケメンだわ」
……今の俺様にお世辞じゃなくて本心でそう言ってくれるのは、アリーシャとルリアーナだけになっちまったな。ま、それでもルリアーナを嫁にするのは勘弁願うがな!!
「で、突然なんだよ」
「ここ一年、皆で直接会ってないじゃない。また同窓会したいなって思って」
そんな用事かよ、直接通話じゃなくていいだろ。
「俺様と塔野は兎も角、朱鷺色の奴は所領に引きこもっちまってるだろう。引っ張り出す自信があるのか?」
「あるわよ、なんせ澄香ちゃんとは女同志の話し合いが出来るからね。あっちは超ブサイクだけど」
……カイン=ナ=マッタラは美男子だ。そして朱鷺色澄香も美人だ、彼女にしたいくらい美人だった。はぁ……転生って無常だなぁ。
「んじゃ日取りは神奈が決めてくれ。俺様はスケジュールを合わせられるが、他の二人にはキチンとアポ取れよ」
「了解。所であの子、まだ落とせないの?」
「……ドミニアからはまだ返事が来ない」
もー、待ちきれないのに!!!
「そっか、それじゃあんたも頑張って」
「お、おう」
……同窓会か。言っとくが、魔王に対する軍団としての人間側の勝利に一番貢献した『昇竜の血』のメンバーは俺様だからな!!
ホントに、俺様だからなッ!!




