外伝1 アブラ=ド・ロン
俺様の名は倉井 直弘……あ、こりゃ前世の名前だったか。
パクられた先輩に代わって族のヘッドになっただけどよぅ、先輩を密告したガキをかちまわしたらあの貧弱小僧おっ死にやがって……
俺もパクられちまって、あの糞親ども……大金はたいて、いい弁護士じゃなかったのかよ……バンショで追放刑喰らっちまった!
あー糞、せめて執行猶予ぐれー勝ち取れなかったのかよあのクソ弁!!
まーだけど、楽しませてもらってるぜ、異世界生活。
なんせ、何か知らんけどあのくっせー豚共が俺様に懐くようになったから、魔王軍の連中にスパイを送り込ませてやったんだぜ。へへへ。
奴ら馬鹿だからちょろっと村襲わせて餌やら女やら与えてやりゃ働く働く!あー、あのいう事聞かねえ子分共何ざ全員ミンチにしてコンクリに混ぜてやるべきだったぜ!!
なんせ無敵の18歳未満様だからよ、どっちにしろ俺の最高刑は異世界追放刑だからな、あーはっはっはっは!!
お陰で俺達は魔王を倒した勇者様、後は皆下僕。分かる?サイコーじゃん!
「うーん、公爵様ぁ……」
今日も回転ベッド(わざわざ職人にオーダーしたんだぜ!)で豚共に徴発させた選りすぐりの村のおねーちゃん達と気持ちいい事たーっぷりするんだ!えへへへへへへ!!
今日も俺の海綿体は絶賛沸騰中ッ!ヒャッホーッ!!!
「さー、今日は誰が俺を満足させてくれるんだぁあああ!!」
◇
あースッキリした、ウヘヘヘヘヘヘ。
お、ザコ官吏共がアレな目で俺を見ているぞ。
羨ましいか、羨ましいだろ、へへへ!
まあ仮にも公爵領が回ってるのは連中のお陰だからな、感謝はしてるぜ。奴らはきちんと俺の言う事を聞いて、農民共は生かさず殺さずの精神で統治してくれているからな。
変な気を起こさんように、豚共をきっちり一人ずつ監視に付けてるが、もうそろそろそれも必要なくなるかもしれん。
かんこーん★
おっと、脳みその中に通信音が響いてるな、どっかの豚からの連絡だろう。
「お、O-17か。どした?」
俺は念話でO-17との通話チャンネルを開いた。
「ドミニア女公とのご婚約の件なのですが、忠誠の誓約書を送れば王室としても反対しないと……」
「そりゃ何度も聞いた。ドミニア自身から返事をまだ聞いておらん。それが聞けるまで誓約書は出さんぞ、以上!」
とっととチャンネルを閉じる。全く、逆らう気が全くないのはいいのだが、少しぁ自分で考えやがれ!
それにしても、これだけは本当に上手く行かん。仲間内、グラッシーとカインもドミニアを狙っている。
1年前、ユーデリッハ公領でドミニアの公位継承の儀にルリアーナの奴も会わせて4人で出席したとき以降、俺達4人は顔を合わせてなかった。
誰がドミニアとユーデリッハ公領を手にするかで真っ向から対立したのだ。
「絶対に、絶対に先を越されるものか……」
俺はまだ、貴族の娘を抱いたことがない。カインの奴は一応嫁がいるし、グラッシーも側室を抱えてるらしいのに……奴らはそれで満足しているべきなんだ!
俺が手に入れられるのは、俺の支配する公爵領の庶民の女だけ、だが、だからこそ楽しみだ。
ハァ、ハァ、ハァ!!楽しみだなぁ!!
最初はこっちを嫌ってきても、きっとアヘアヘ言わせてやる!力と権力でモノにしてやるぞ!!
そして正式に結婚して王家の血を俺の血に入れれば、俺は栄えて王位継承者!豚共の力で今の王族をたたき出して、俺がトゥリル・ラ・トゥラスの称号と王冠を手にするのだ!!
そうすれば、王族の娘どもも俺の側室にして、子供を産ませ、家族でこの大陸を支配するのだ!!
えへへ……確か王族にも美人のお姫様が何人もいたよなぁ、あのラティア姫とか、へへへ……!あの子側室の子だって言ってたから、俺が囲ってやらないとな……!!
「えへへ、えへへへへへ……!!」
おーいかんいかん、よだれが……
さーて、剣の鍛錬の時間とするか。少なくとも豚共より強くなきゃあ威厳を保てんしな。
「こ、公爵様!?」
中庭の演習場に、目隠しされて連れてこられたジジイを、豚共が柱に括り付ける。目隠しが外されると、ジジイの手に竹刀が手渡された。
「おいお前、村一番の剣の達人って話だったなぁ。俺に教えてくれねーか」
「し、しかし、体が動かないのでは教えようにも……」
口答えをしたジジイの左肩を、豚共に命じて鞭で打たせる。
「はぁうっ!!」
「なあ爺さん、教えてくれよ……」
この前連れてきた奴は、足が自由に使えたのでとっとと逃げやがった。だから今回はこうしたのだ。
「ひ、ひいいいッ、で、では、ま、まずは剣の振り方の稽古から」
◇
「ふー、これがトルペット流剣術か」
相手の攻撃を受け流し反撃することを主とする剣術。イケメン(実際には過去形)な俺様に相応しい最高の剣術だ。
これから先生に指導を受けることで、俺も本格的な剣の修行が出来るだろう。
かんこーん★
おっと、脳みその中にまた通信音が響いてるな、O-17の役立たずじゃないだろーな、糞が!
「O-4か。北門で何かあったのか?」
コイツはウノートンの北門を管轄している豚だった。
「公爵様、公爵様。部下のO-4-6から念話で送られてきた画像なんすけど、どうすか?」
念話は俺達4公爵が作り上げた、一瞬だけ精神を同調させて情報をやり取りする魔法だ。
精神と網膜と同調させることで、『写真』の形で情報を保存する機能も付けてある。
「おおおお、これは……」
そこに映し出されていたのは、美人だった。身なりからして冒険者、だがそれには似つかわしくない気品を感じさせる。
「でかしたぜO-4。この子の情報プリーズ」
「ミナ=ラシュバナ=ナーティスって言うらしいんすよ。近頃有名な冒険者パーティの一人です」
「有名人か、ちょい厄介だな。……まあやりようはいくらでもあるさ、へへへ……」
冒険者という所が少し気になるが、お姫様方の前菜には丁度いい。
さー、待っててよー、ミナちゃん(はぁと)!




