12月28日
評価よろしくお願いいたします!
「うわ!!?何これ!?」
アリーシャ隊と彪が外出し、帰って家に入ろうとした所、玄関の目の前で見た事のない魔法陣が地面に浮かび上がった。
不気味に浮かぶそれを見て、白妬が何かを察した。
「……白花の展開術と類似している」
「入れということか」
以前、白花は自分達の住処の塔に招待してやると言っていた。
全員がその事を思い出したのか各々顔を見合わせていた。
「という事はこれが決戦だな」
コークがそう口にした事で一気に緊張感が走る。
「…あの時白花様は、私達組織の中で誰かが…と仰ってましたが……」
懸念されるのは白花が去り際に放った言葉だ。
次の戦でアリーシャ隊の中の誰かが死ぬ、と白花は予言した。
そして可能性が高いのは白妬だと含み笑いをしていたのだ。
ハーモニーが不安そうに眉を下げるが、安心させるようにラヴィッチが優しく声を掛ける。
「そんなのあの人を倒しちゃえば関係ないよ!」
「とにかく行くぞ…!」
ここだと人目につく為、遠慮なく戦うにはとりあえず入るしかないと判断し一同は足を踏み入れテレポートした。
眩い光に目を閉じてすぐに開くと、物凄く広い室内に移動させられていた。
すぐに全員がきちんとこの場に居ることを確認してまずは安堵する。
「ここが……塔の、内部?」
「すげー殺風景だな。無駄に広いし」
響はキョロキョロと室内を見回している。
天井も高く、広すぎて声が響いていた。
タルクもズボンのポケットに手を入れながら広すぎる空間に驚いていた。
家具等が何一つなく本当にただのフリースペースのようなのだ。
奥の方に上階へ行く為のエレベーターがあるだけで何も無い。
「よく来たな」
「……っ!?」
「白花…!」
何処からいつの間に現れたのか足音一つなく白花が彼らの前に現れた。
足元を見るとやはりあの時乗っていた大きな花弁は無かった。
正直これで花弁が復活していたら梨杏が報われない為一同は安堵していた。
「やはり前回のように花には乗れなかったようだな」
「ふ、悔しいが当然だ。なんせあの女に壊されたのだからな」
白妬が敢えて挑発するように腕を組んで蔑むように白花を睨むが特に本人は気にしていない様子だった。
「梨杏ちゃんの為にも、僕達の平和の為にも……貴女には死んでもらう……!」
「っは!出来るのか?」
ラヴィッチの力強い言葉に白花はニタニタと面白そうに笑って腕を広げた。
その直後、彼女の右の瞳の色が変わった。
「これでも避けてみろ!」
すると彼らの頭上高くからミサイルのような爆発物が落下して室内を轟音で震わせた。
爆風と爆煙で辺りが何も見えなくなるが真っ先に動いたのは白妬だった。
上手く爆発を避けながら低い姿勢で白花へと走りながら向かい、彼女の首元目がけてナイフを横に振った。
「食らえ白花……!!」
「ッハハハハ!!!!」
しかし胸を逸らして避けられてしまう。
白花は楽しげに高笑いしながら身体を起こすと白妬に殴りかかるように拳を突き付けた。
「さすがエフェクト!!躊躇いなく私を殺そうとするか!!この母を!!!」
「うるさい…!その名は昔の名だ!!!今は黒花白妬だ!!!!」
白妬も寸前で身体を引いて拳を避けるとすぐに地面を蹴り、白花にナイフを振りかざした。
「っし、オレ達も行くぞ…!」
「ハハハハハハ!!!!」
二人を手に汗握る思いで見ていたタルクが他の皆に言い聞かせるように言って刀を握る。
しかし再び白花の笑い声に一同の動きが止まった。
「誰が好き好んで玄関で殺し合いをする?我を探してみろ」
そう言うとあの時と同じく身体がノイズがかり、姿を消してしまった。
騒がしかった室内が再び静寂に包まれる。
「……どういう事だ?」
「この塔に居る事は確かなんだよな?」
ナイチが銃を構えながら警戒する。
彪も周りを見ながら慎重になっていた。
どうやらここは玄関だったらしい。にしては物が無さすぎるが。
「なぁ、あれってエレベーターだよな?」
そう言ってタルクが指さした先には狭そうなエレベーターだった。
恐る恐るボタンを押すとすぐにドアは開き、中を覗くと一階から九階プラス屋上行きのボタンが備わっていた。
ここから上に上がれるらしいが階数が地味に多い。
そしてエレベーターの空間が本当に狭く、不便な事に一人しか入れないのだ。
ただでさえ広いというのにこの中から白花を見つけ出せというのも中々至難の業である。
最善策を提案したのはコークだった。
彼は一同を一瞥しながらこう話す。
「作戦がある、一人ずつ各階に行って奴を探し出さないか?そうすれば奴を見つけた際に魔力を発する事で何処に居るのか気配が分かるはずだ」
白花の魔力は甚大だ。
少しでも魔術で攻撃されれば例え違う階に居ても場所を特定する事が可能なはずだと彼は考えた。
「それに一人ならば奴の攻撃も避けやすいだろう」
「でも、同じようにこっちの攻撃だって当たらないんじゃ…」
「別に当たんなくていいんだよ。要は時間稼ぎって奴だろコーク」
「そういう事だ」
響の質問にタルクが返した。
大事なのは白花の場所を特定してすぐに全員がその場に向かう事なのだ。
上手く避けて、全員が同じ階に来る為に時間稼ぎをしてもらうのが目的である。
コークの提案に一同はそれしかないと頷いた。
「んじゃ、俺から行くわ」
「彪様~!」
率先して最初にエレベーターに足を踏み入れたのは彪だった。
「もしその階に白花が居なかったら屋上で落ち合う事にしよう」
この塔は偶然か仕組まれたものか、人数分の階数が存在している。
気味が悪いが白花が居なかった場合は屋上で落ち合う事も提案した。
「おうよ。えーっと、二階な」
彪は賛同してボタンを押す。
ドアが閉まるかと思いきや、透明なガラスが現れ遮られてしまいもう戻れなくなってしまった。
「死ぬなよ、大河彪」
「おいおい、俺はくたばらねぇよ」
コークの珍しく心配する声に彪は驚きつつも否定する。
正直アリーシャ隊の事情に巻き込まれて離れて行っても良いくらいなのだが彪はどんな時も付いてきてくれた。
「彪!僕達に付いてきてくれてありがとうね!」
「何言ってんだ今更!ここまで来たら最後まで付き合ってやるからよ!腹括って神になっちまおうぜ、俺もな」
響が笑顔で手を振った。
それに彪も笑って返すと身体がノイズがかり消えた。
どうやらエレベーターに乗って上階へ移動するのではなくテレポートで飛ぶらしい。
「……」
次に動いたのはハーモニーだった。
ガラスが消えてエレベーターの中に入り三の数字のボタンを押した。
「では皆様、また会いましょう~」
「…ハーモニー」
不安そうにハーモニーを見つめていたのは白妬だ。
避けて時間を稼いでもらうにしても、ハーモニーを一人にするのはどうしても気掛かりだったからだ。
だがハーモニーは優しい微笑みを白妬へ向けると遮られたガラスに手を添えた。
「大丈夫ですよ白妬様~。上で会えます、絶対!」
必ず会えると確信を持って頷く姿は、オドオドしていた昔の彼女とは全く違う大人の表情であった。
「じゃあ次は僕!」
ハーモニーもテレポートで消えた後、響が次にエレベーターに入った。
相変わらず能天気に身体を伸ばしてストレッチをする彼にタルクが呆れながらも激励した。
「無理すんなよ、おめぇひょろひょろしてっからな」
「タルク酷いなぁ。まだ死ぬ訳にはいかないからね、頑張ってくるよ」
余裕そうにピースサインを見せて、四階へと飛んでいった。
頼りなさげな彼だが足は速いし俊敏に動けるのは知っているから大丈夫だろうと信じて見送った。
次にナイチがブーツの踵を鳴らしてエレベーターに足を踏み入れる。
「俺は死なないぞ。無傷で帰れる訳は無いが必ず生き残る」
「ナイチそれ死亡フラグ」
「んな!?」
こちらを振り返り真剣な表情でそう宣言されるがラヴィッチがツッコミを入れて緊張感が和らいだ。
ナイチの性格上あまり張り詰めすぎると調子が出ない事を理解して敢えてそう言ったのだ。
五階のボタンを押して姿を消した。
「よし、白花探しにレッツゴー!」
「おめぇもそんな余裕そうで大丈夫かー?死ぬかもしんねーんだぜ?」
六階のボタンを押したラヴィッチにタルクがからかうように声を掛けた。
ラヴィッチは自信満々に笑うとタルク達を見て僕は大丈夫だと言わんばかりに頷いた。
「みんな残して死ねるわけないでしょ!初めから弱気でいたら負けそうだしテンション高く行こうよ」
彼も幼い顔立ちだが、そう言って微笑む姿はだいぶ勇ましいものに見えた。
「次はオレだ!」
次にタルクがエレベーターへ入り、七階のボタンを押した。
ガラスが張られ、いよいよかと意気込むが白妬がジトッとタルクを見て顔を引き攣らせた。
「私はタルクが心配だ」
「なんでやあああい…っぃて!!!」
その場に前のめりに倒れるがガラスに額をぶつけて軽くダメージを負った。
相変わらずノリは良い。
「いや、タルクは強い。お前なら白花に負けたりはしないだろう」
「コーク…」
普段は相手を褒めないコークだが、タルクをその気にさせるのにそう言葉を返した。
本心かもしれないがそこは本人にしか分からない。
「……おう、行ってくるぜ!」
素直に受け取り気を良くしたのか、眩しい笑顔でタルクは消えていった。
「では次は私が行こう」
コークが次にエレベーターに入り、八階のボタンに触れる。
白妬を見て、白花は恐らくお前がいる所を狙って現れるだろうと注意を促した。
それは彼女も分かっていて、そうだなと相槌をすると改めてコークの名前を呼んだ。
「もし私が死んだら…どうする?」
「……」
コークは白妬の肩が僅かに震えているのを見逃さなかった。
白妬は死ぬ気はサラサラないが白花に目を付けられている以上、その展開も覚悟はしているようだ。
「…私が阻止してやる、心配するな」
「……!」
何か言葉を返してやりたかったがタイミング悪く消えてしまい叶わなかった。
最後に残された白妬は、はぁと息を吐くと独り言を呟きながらエレベーターへ足を踏み入れる。
「全く、面倒な母親を持ってしまったな。私を人間にしてくれたのは奴だが……」
人間に姿を作り替えてくれた事は感謝するが裏でこのような事を企んでいたとは気付けなかった自分にも反吐が出てしまう。
「死ぬなよ、みんな」
仲間を信じて白妬は九階へと飛んだ。
―――
彪は舌打ちをしながら白花から離れるよう距離を取った。
「っちくしょ……!入った瞬間ビンゴかよ…!」
二階へ降り立った瞬間、彼は白花に襲われた。
とりあえず何かダメージを食らわそうと口元から零れた血を拭いながらその辺に落ちていた鉄の棒を重力で浮かばせて白花に飛ばす。
しかし容易く弾かれて虚しく床に落ちてしまう。
「残念ながら他の奴はここには来ないぞ?魔力が漏れないよう制御しているからな、私の存在を周りに勘づかせる事は、無い」
「…へっ、俺一人で充分だ」
口ではそう言えるが内心ではかなり動揺していた。
梨杏との戦いで初めて白花を目にした時は後方に居たからあまり恐れを感じなかったが今は一対一で逃げ場がなく、白花は彪を狙っている。
足が竦むのを悟られない為に話を逸らした。
「……にしても広い部屋だな、誰の部屋なんだここ」
薄暗くてよく見えないが一階同様広々としていて逆に何の部屋か気になったのだ。
白花は減るものでもないから教えてやるかと口を開いた。
「ここはリビングだ。キッチンがあるから少々狭く感じるがな」
「…はぁ?これのどこがせめぇんだよアァ?!!!!!!!」
「……っ!」
贅沢すぎるこの広さを狭いと言った事に腹を立て、彪がキッチンにある全ての包丁を重力で浮遊させ白花へ向けた。
「気に障ったか?」
白花はそれを器用に避けるが包丁の数が多く、少し肌を掠めて血を流していた。
全く動じていないようだが。
「…っ、んな!?」
白花を切り付けようと飛んでいった包丁が彪の方へと向きを変え、突如戻ってきた。
よく見ると白花の右眼が色を変えている。
武器を味方化させる技でも使ったのだろうと彪は顔を顰めた。
突然の事に対応しきれず彪は包丁で切られ、後方へ吹き飛ばされる。
「大河彪!!アリーシャ隊と関わらなければ平穏な道を進めたというのに、可哀想だな!!」
追い打ちをかけるように白花が巨大な魔弾を彪へと放つ。
彪はそれを必死に避けるが腕や脚を掠めて動きが徐々に鈍くなってしまう。
「ぐ、っ…俺は……後悔なんてしてねぇ!!」
「ふ…哀れだ」
「どっちがだよ!!!こんなくだらねぇ戦いしやがって!!!馬鹿じゃねぇの!!?」
自分を否定されるのは大嫌いな彪は怒りで白花をグッと睨んだ。
しかし返答は返って来ず、室内が静まり返った。
「……いねぇし」
白花は忽然と姿を消していた。
全く気配を感じなくなった事から彼女は別の階へと行ったのだと理解する。
しかしどの階に行ったのかまでは分からないので落ち合う場所である屋上へと向かった。
「上で待ってるぜ」
―――
ハーモニーは恐る恐るエレベーターを降りる。
しん、と音も無い室内に、ここには白花は居ないんだとホッと胸を撫で下ろした。
――瞬間に背後から包丁が迫り飛んできた。
「……ッ!!!!?」
咄嗟に覚醒させ腕から矢を伸ばすと、寸前でそれを弾いた。
金属音が響き、床に落ちる。
「ほぅ、反射神経は良いようだな」
「白花…様……」
突如目の前に現れた白花に、退きそうになったが堪えた。
「貴女は…私から殺す気ですか…?」
「残念だ、初めは大河とかいう奴を相手にしてきたんだ……その包丁でな」
「彪様を…!?」
よく見れば先程の包丁に血痕が付いていた。
まさか既に彪と戦ってきたとは考えもしなかった。
白花も若干かすり傷を負っている事から、少しは攻撃を与える事は出来ていたと判断。
「まぁ、ここでは殺さない。つまらないからな」
白花のその言葉に、彪は死んでいないと汲み取ることが出来、安堵する。
だが自分も彼女にダメージを負わせるんだと恐怖心を振り払って前に出た。
(大丈夫……マリファナ様とも互角に戦った私は…怖くない……)
飛びながら身体の様々な部位から矢を放つ。
それは彼女の腕や肩を貫通したのだが全く痛がる様子もなく刺さった矢を抜いて投げ捨てていた。
「……っ!」
思わず狂っていると声を詰まらせた。
「貴様、まだその覚醒とやらに慣れていないな。矢が消滅するのも時間の問題か」
ハーモニーはある策を思いつき、出来るだけ白花から逃げるように離れた。
白花はハーモニーが逃げ切れる事はないと確信しているからかすぐに追っては来なかった。
それが好機だった。
「白花様…」
「何だ…?へ―――」
ハーモニーは白花に向けて走ると桶に汲んだ冷水をぶっかけた。
「っぶふぇ…ッ!」
「今です…!」
白花が完全に不意打ちの声を挙げた隙に、矢を彼女の腹部に突き刺した。
ザクッと嫌な音を立てて矢を抜いた。
「ここがお風呂場でラッキーでした~…」
「ハハ…!」
「っきゃ……ッ!?」
白花が下を向いていて気が付かなかったが、瞳の色を変えて術を発動していたらしくハーモニーに光弾が降り注いだ。
同じように腹部に直撃し、片膝をつく。
「あぁ…危うい所だった。奴が部屋から出そうだ」
「……他の皆様は…私より簡単に殺られませんよ…?」
「言っただろう、ここでは殺らないと」
自然に煽るハーモニーに、白花は踵を返すとあっという間に姿を消した。
「……本当に一人ずつと戦うおつもりで…」
ひとまず居なくなった事に安心したが、白花の戦い方が理解出来ずしばらく動けずにいた。
―――
響は突然現れた白花に躊躇いなく拳を振るい続けていた。
「パンチ勝負だよ!僕は魔術とか使えないんだから!」
軽快なステップで白花と距離を取っては姿勢を低くして接近し、殴り掛かる。
「では我が遠慮なく使ってやろう」
ひらりと避けた白花は手を窓にかざすと、ガラスがひび割れ浮遊し響へ飛んでいった。
「…悪いけどそういうのは堪えられるよ!!!」
響は飛んで来たガラスを右腕のみで殴り、砕け散らせる。
バラバラと粉々に落ちていくガラスを踏み潰し、響は覚醒すると右腕をドリルのように変化させ白花へと飛び込んだ。
「いっくよぉおおおおお!!!!!」
貫くように突くと地面を抉った。
すぐに白花の姿を確認するも、もうここには居ないようだった。
「ちぇー逃げられた」
響は右腕を擦りながら部屋を出ようとするとひらりと一枚の写真が目の前に落ちた。
「……」
思わずその写真を見て固まってしまった。
その写真は琴吹家の集合写真だったからだ。
セーラー服の明日香に寄り添うように、学ランの響がピースサインでポーズを取っている。
そしてその横で未来が微笑んでいた。
昔のものなので響と明日香の瞳は真っ黒で酷いものだったがとても懐かしく思えた。
「……この部屋ってもしかして…」
―――
ラヴィッチは、前回白花に食らわされたものと同じ術を繰り出されるが大きく跳躍して避け切った。
大きな轟音が響き渡り、硝煙に目が染みるがしっかりと白花を見た。
「前みたいに不意打ちで食らったりしないよ……!」
「成長したようだな」
剣を片手に俊敏に避けていたが突然白花は姿勢を低くしてラヴィッチに近付いた。
「……なっ!?」
上目遣いの白花に息が止まるが、後方へ逃げろと思った時にはラヴィッチは既に鋭い魔閃光に下から身体を貫かれていた。
彼は重力に逆らえず高く飛ばされそのまま落下し身体を打ち付ける。
「……っぐぅ…!」
「っははは!また不意打ちだったな!」
「……っ」
大の字に倒れ込むラヴィッチを見下ろして、痛みで声も出ないかと白花が煽る。
ラヴィッチが彼女に向けて指を差すと、何かが突き刺さる音と抉られたような音が聴こえた。
「…っな、ん……」
その正体はラヴィッチの剣で、白花の腹を背後から突き刺していたのだ。
「…っ、不意打ち…返しだよ…」
彼は白花の攻撃で吹き飛ばされた時に瞬時に剣を操って突き刺すタイミングを見計らっていたのだ。
刺された彼女は無理やり剣を引き抜くと苛立った様子で放り投げ背を向けた。
「はっ、やるな…」
「……他の人の所に行くの?だったら僕も追って一緒に貴女を止めるよ」
「…行き先など誰が教えるか」
そう投げやりに言い放って姿を消した。
―――
次の階では銃撃戦が繰り広げられていた。
銃弾を発砲させ、四方八方に蠢かせて白花を撃つ。
「重力無視の面倒な技だな!」
白花はニタリと笑うと、目の前にバリアを張って防御していた。
既に覚醒していたナイチは構わず銃を乱射する。
「…貴様、所々出血をしているという事は俺達の仲間の誰かと戦闘してきたのか?」
真っ直ぐに飛んで来た銃弾を掌で握り締め、ゆっくりと地面に落としながら白花は嘘をついた。
「あぁ、大河も木偶人形も琴吹もラヴィッチも……全て我がトドメを刺してきた」
「……貴様…!許さん…ッ」
ナイチは瞬時に頭に血が上り、銃を白花に向けて構えた。
しかしトリガーが引かれる前に冗談だと制される。
「まぁそれなりに痛め付けては来たが。一番上で貴様らまとめて殺してやるんだよ」
振り向きざまにそう言うと姿を消した。
ナイチは仲間が誰一人死んでいない事に安堵し、力が抜けて座り込んだ。
(自らの体力を減らしてから行くとは……マゾなのか?)
―――
ズザザッという音を立てながらタルクは床に引き摺られるように転がり突っ伏す。
白花の魔弾を直で受けたのだ。
離れた距離で白花が高笑いをしながらタルクを煽る。
「タルク!!貴様の力はそんなものか?我の一撃にも堪えられんとは甘いな!」
「……っ…い…くぞ…ねぇ、ちゃん」
タルクは小さく呟くと握っていた刀で三角を描いた。
「…っ!」
描かれたマークがぼぅっと光を放ち、同時にタルクは白花へ駆け出すと刀を縦に振りかざした。
その模様に包まれ身動きを取れなくされた白花は斬滅されダメージを負う。
攻撃が当たった事にタルクは嬉しそうに笑った。
「見たか!オレと姉ちゃんの姉弟パワー!」
「…ふ、これはなかなか効いたな」
白花が他のメンバーと小手調べに戦ってきた事は、彼女の傷だらけの姿を見て聞かずとも把握していた。
きっと今から別の人物のいる階に行くのだろうと思い、腹部をさする彼女を煽った。
「おら、次ん奴のとこ行くんだろ?行って死んでこいよ」
「っははは!また会おう」
身体は損傷が激しい割に白花の口振りにはまだ余裕が伺えた。
消えていった彼女を見送って、いや会いたくねぇよと内心でツッコミを入れた。
―――




