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8月9日、8月14日

 

 ―八月九日― 



 ”はじめまして、ナイチ君っ!”


 家のドアを開けると俺と同じ位の背丈の人が照れくさそうにそう挨拶したのを今でも忘れない。


(初めて会ったあの日、馬鹿だった俺は……)


 ―――


「ラヴィッチ様とナイチ様の昔って気になりませんか~?」


 突然の話だった。

 暑いので部屋でクーラーをガンガンかけながら寛いでいるとハーモニーがそう話題提供してきたのだ。


「貴様らは幼なじみとか言ってたな」


「うーん、結構長話になるかも……五時間くらい」


「そんなに!?」


 ラヴィッチの冗談はさておき、する事も無かったのでラヴィッチとナイチの出会った頃の昔話を話してもらうことになった。

 皆で丸テーブルを囲み、彼らの話を聞く体勢になる。


「僕とナイチが出会ったのは幼稚園位の時だよね」


「あぁ、ラヴィッチが俺の家の隣に引っ越してきたんだよな」


「思ったけど二人って外国育ちなの?」


 響のふとした問いかけに日本だよと答えるとそんなバリバリ外国人ネームなのにかと白妬に驚かれる。

 その辺は色々面倒だから突っ込むなと、これまた外国人ネームのコークが話題を切り上げた。


「つ、続けるぞ。あの時のラヴィッチは割と()()()()てな」


「いやー、昔は僕()()()()で」


 ラヴィッチの意外すぎる事実に一同が思考停止し固まってしまった。面白い位に全員が口を開けて信じられないと唖然としている。


「あ、でもね?僕の人見知りが直ったのはナイチのお陰なんだよ」


 ラヴィッチがそう言ってナイチを見て笑う。

 何か嫌な予感を察知したナイチは目を逸らすもソワソワしている。


 ”ほら、行こう!”


 ”ナイチ君……それ取りなよ~!”


 ”駄目だ!貴様が人見知りを克服しない限りは!”


 ナイチがラヴィッチの手を取り、何故か当時流行っていた戦隊シリーズのお面を被りながら公園やら街中を練り歩かされたのが原因らしい。

 破天荒ナイチのエピソードを暴露されたナイチは顔を赤らめてやめろ!と止めた。


「あ、小学生に上がった時にはね」


「まだ話すのか貴様!!」


 次に話したエピソードは、小学生に入学した時のクラス発表の時の事だった。

 ラヴィッチとナイチが別々のクラスになってしまったと知った時、ナイチは大声で泣き出したのだという。


 ”うあああああん……!”


 ”どうしたのナイチ……!?”


 ”うっ、ラヴィッチ……と……クラスが……っうぅ……”


「駄目だこの話はーーーーッ!!!」


「クラスが離れた事がショックすぎて思わず――」


「Shut Up!!!」


「おっと怖い」


 コークが面白おかしく囃し立てるが、ナイチが彼に銃口を当て口を塞いだ。

 ラヴィッチの人見知り事実にも驚きだがナイチのお転婆な性格も想像が付かなく驚愕してしまう。


「でもね、ナイチはある時から僕に対していきなり厳しい性格になったんだよね」


「えーなんで?」


「あ!オレ分かった!」


 タルクは何処から持ってきたのか、クイズ番組で使用するような解答権を得られるピンポンと鳴るボタンを勢いよく押して答えを言う。


「彼女出来たから!」


「いないわ!!」


 外れたのでこれもまた何処からかブブーという外れた効果音が鳴った。


「ある時っていつですか~?」


「確かサラン様と出会ってからだったよね」


「訳を言え今すぐ」


「がぇっ!?!?」


 コークがサランというワードを聞きつけるとすぐにナイチの首を後ろから締め上げ低い声でそう言う。

 ナイチは言い辛そうに口を噤んでいたが酸欠にならざるを得ないので仕方なく話す事にした。


「サラン様に協力すると言って家を出ただろ?その時に、貴様の母親に言われたんだ」


 ”ナイチ君。ラヴィッチは人見知りが激しくて貴方のお陰で克服出来ているけれど、傍に居ないとまた大人しく内気になってしまうかもしれないから仲良くしていてね。あと、ああいう性格の子だから甘くなって欲しくもなくて、厳しくしちゃってもいいから、お願いね?”


 ラヴィッチの母親がそんな事をナイチにお願いしていたとは本人は全く知らなかったようだ。


 タルクはナイチの性格について一人推測し、先程の解答権ボタンを強く押した。


(厳しい態度に変わってしまったナイチにラヴィッチも反発するようになって……だから)


「ツンデレになったのか!」


 何処からかピンポンという正解の効果音が鳴る。タルクの推測は何故か当たったようだ。


「は!?何が!?しかも正解!?」


「……でも、傍にいた理由はそれだけじゃないんだろ?」


「……まぁな。俺がコイツの傍にいたのは……仲間だと確信したからというのもある」


 そう言いながらラヴィッチを見て小さく笑った。

 ラヴィッチも何だかんだ嬉しいのか照れくさそうに頬を掻いていた。


(初めて会ったあの日、馬鹿だった俺は……ラヴィッチを()だと勘違いした上、一目惚れしてしまったからでもあるんだが……それは死んでも言えないな)


 目を閉じてその当時の出来事を思い出すナイチだった。

 ラヴィッチの人見知りを克服させる為にほぼ毎日行っていた戦隊モノのお面を着けて練り歩いていたあの日だ。


『もう……そのお面取ってよー』


『なぁ……貴様は……笑った顔が一番可愛いな』


 そう言ってお面を外し、ラヴィッチの手を握ったのだ。

 人見知りで表情が固まっているその顔よりも、ナイチと遊んでいる時に見せる自然な笑顔が好きだった。


『だから人見知りなんて――』


『よく言われるんだよねー。()なのに可愛いとか。ほんとやなんだよー』


『…………!?!?!?!?』


 あの時はそれ以上何も言えなくなって話は終わったが今、追求されなくて良かったと内心で安堵する。

 このエピソードは絶対に墓まで持っていくつもりで自分だけの秘密にしておこうと胸に誓うのであった。


 --------------


 ―八月十四日―


「皆様おはようございます、()()です。今回はアリーシャ隊の寝顔アンド寝起き姿を見てみようという企画の為につい本編に現れてしまいました!番外編だと思ってどうぞお楽しみ下さい!」


 という事で今回のみ作者視点でアリーシャ隊の部屋を見て回って行こうと思います。

 本編に絡む内容は無いので嫌な方は読み飛ばしても良いですがアリーシャ隊のギャップを知れる良い機会なのでぜひ読んで頂けると幸いです。


「まずは朝起きるのが最も早いハーモニーの部屋から行きますか」


 現在時刻は早朝五時。

 物音をなるべく立てないようにゆっくりとドアノブを回し、室内へ。

 ベッドを見ると、ハーモニーと白妬が仲良く肩を触れさせ眠っていた。


「あ……ハーモニーと白妬は同じ部屋だったんだ」


 二人は本当に仲が良いみたいだ。

 あの自称殺人鬼と言われる白妬がこんな可愛らしいハーモニーと過ごすようになるとは成長である。


「ハーモニーのマル秘話を教えましょう。好きな男性のタイプは自分を頼ってくれる人がいいみたいです。料理の作り甲斐があるので少食よりは沢山食べてくれる人を好むそうで……」


 するとベッドの傍に置いていた目覚まし時計が甲高い音を鳴らした。

 ハーモニーが起きるようだ。


「ん……ぅ」


 ハーモニーは眠そうに目を擦るが寝起きは良いようですぐに起き上がった。


「起きました!こんな小さい子なのに偉い……!それに比べて白妬は微動だにせず寝ている!」


「あ、作者様おはようございます~」


 バッチリと目を覚ましているハーモニーにおはようと返す。

 ふと寝ている時も装着したままだったカチューシャが気になり質問してみる。


「カチューシャは着けたままで寝てるんだね」


「これは()()()()()()()のような物ですから常に着けてますよ~」


「新たな事実発覚!」


 そう言い残し、朝食を作ってきますと部屋を後にした。

 新事実が発覚した所で未だにぐーすか眠っている白妬に目をやる。


「ちなみに白妬のタイプは自分と対等にぶつかり合えるような信頼出来る人みたいです、というかコークですね。そしてすぐに会いたがる男性についてどうか聞くと、意外にも全然構わないと肯定してました」


 泣き虫は困るそうです。


「白妬ー、起きろー」


「……」


 一向に目は覚めないので面白半分でコークの声真似をして声を掛けてみることにした。


「……ごほん…………黒花白妬…起きろ――っえ!?」


「……コーク……か?」


「ちょ、私は違……!」


 すると瞬時に腕を掴まれ、目を薄く開けた無防備な顔の白妬が作者の顔に狭まってきたのだ。

 強い力に抗う事も出来ず、白妬の唇を受け入れてしまった。


 それから数分後。


「……作者じゃなかったら殺されてたかもよ?白妬……」


「す……すまん」


 事情を把握した白妬は恥ずかしさで作者に背を向けて三角座りをして引っ込んでしまったのだった。


「さぁ次はコークだ、もう起きてたりして……」


 と言い白妬達の部屋を出てコークの部屋に侵入する。

 ベッドに近付くとこれまた無防備に瞳を閉じて静かに眠っていた。


「寝顔可愛い……。えー、コークのタイプは優しくて強くて多少ドジ要素が入っている人だそう、サランですね完全に。好きな食べ物は肉、特技はチェス。泣き虫な人を見ると泣かせてやりたくなるようなSなお方のようです」


「……ん」


 今度はごろりと寝返りを打った。あまりのギャップさにこちらが悶絶しそうである。


「……作者か……お前も寝るか……?ここで……」


「え、えええ……コーク……それは……」


 すると目を覚ましたコークはこちらを見ながら一人分のスペースを開けてそこをポンポンと叩いて誘ってきた。

 作者だからか気を許しているようにも思える言動だ。


「永遠の眠りを与えてやるが……」


「遠回しに死ねって言ってんのかい!!!」


 命の危険を感じ早々に彼の部屋を出て、ラヴィッチの部屋へと向かう。


「めちゃくちゃプチ情報ですがラヴィッチは箸を使うのが苦手です。タイプは心が広くて冗談が通じる人らしい。もし付き合う人がいたらベッタベタいっちゃいちゃしたい派なんですって」


 そしてゆっくりと部屋に入ると、彼もまた無防備にすやすやと眠っていた。


「童顔だからかより可愛く見えるなーって言ったら怒るよね」


「誰が可愛いだって?」


「うわ!秒で起きた……!」


 彼にとって可愛い、は禁止ワードのようだ。

 体勢は変わらず横になったままだが目だけギョロっとこちらを睨んでいた。

 話を逸らすべく別の話題を振った。


「ねぇ、アリーシャ隊の中で一番朝起きるの遅い人って」


「タルク。殴っても起きないけど殴ったら反射でやり返されて捻挫するから注意だよ」


「やった事あるんかい」


 ドヤ顔でウインクされても困るのだが。

 起きるのが遅いようなのでタルクは最後にしておいてナイチの部屋に侵入することにした。


 ナイチは常に険しい表情をしていて眉間に皺がよく寄っているのだがさすがに寝ている時は皺が無かった。

 暑いのか上はタンクトップ一枚で眠っている。普段軍服のような正装を着用しているのでギャップが凄い。


「ナイチは納豆が好きです。タイプは俺のように苦労している人とか言ってたけどよく意味がわかりません。あ、背が低い子がいいそうです。射的やガンシューティングゲームが得意みたい」


「……誰だ」


「作者です」


「は……何で居る!?」


 作者の存在に驚きすぎてガバッと布団を剥ぎ、バッチリ目を覚ました彼だがどうしてか顔が赤かった。


「え、何で照れてるの」


「う、ううううるさい!!いいから出てけ!!」


「ちぇー」


 無防備な姿を見られた事がそんなに恥ずかしかったのだろうか。

 あっちへ行けと部屋から追い出されてしまった。

 致し方ないのでお向かいの響の部屋に入ることにした。


「彼の好きなタイプは妹の明日香そのものです。何故か英語が得意でペラペラ話せます。ヤキモチ妬きな人が好きなようです……って、あれ……響泣いてる」


 仰向けで眠りながら涙が流れていた。

 何か悲しい夢でも見ているのだろうか。

 起こしてあげた方が良いと判断し、響の身体を揺すって起こしてみた。


「あ……作者ちゃん……」


「泣いてたみたいだけど何か夢でも見てたの?」


「うん……蟻にコーラかけてた夢……」


「え!?全く意味が分からないんだけど!!」


 上目遣いで可愛らしく言われるが何故蟻にコーラをかける夢を見て涙するのか謎だった。

 彼が涙する基準が相変わらず分からない。


「さぁ、ラストはタルクです。低血圧なので朝が弱いみたいなんだけど……怪我しない程度に起こしてみましょう」


 廊下を歩きながら実況するとラヴィッチとすれ違い、まだやってたのと半笑いで言われたのでこれからタルクの所に行くよと手を挙げた。


 どうせ起きないのは分かっているのでドアノブを開ける時も遠慮なく音を出して開けた。


「あーあーだらしない……」


 涎を垂らしながらいびきをガーガーとかき、布団もTシャツも肌蹴て腹が見えてしまっている。


「一応男目線で聞いた好きなタイプは頼ってくれて寂しがり屋な人だそうです。運動神経抜群なのでスポーツが得意な子はもっと好感触、皆でワイワイ食べれるバイキングが大好きらしいです」


 タルクの肩を揺すって無理やり目覚めさせてみることにした。


「タルクー起きろー!!!」


「…………ちっ」


 さすがに人の気配を察知したのかぼんやりと目覚めたタルクであったが作者だと分かると舌打ちをして背を向けて寝直してしまった。


「タルク起きて!貴方のファンが増えるかもしれないチャンスだよ!!」


「…………ぉはよ」


(もうやだこの人怖い)


 渋々起き上がってこちらを見るタルクだが、物凄い形相でこちらを睨み付けて挨拶されるので背筋が凍ってしまった。

 殴られなかっただけマシなのだろうが。


 とまぁこんな感じでアリーシャ隊の素顔をもっと見せられれば良いなと思ってます。

 その際は番外編と称して話を展開していきますのでお付き合い頂けると幸いです。



後半は番外編です!

評価お願い致します!

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