あと93日
NTR進捗状況
ヒロインが悪い先輩に危ない店に連れ込まれるが主人公が体を張って助け出す。
田中 正:主人公、ここから寝取られるとか、そんな奴いたら顔見てみたい。
橘 鈴 :幼馴染、寝取られる。
黒井 光:小学生、クソガキ
「デュフっ。」
正は今日何度目かの気持ち悪い声を出した。周りを見ても学習塾の自習室にはまだ誰もいない。突然、正は照れだし顔を両腕で隠すと体をグネグネとねじる。その様がさらに気持ち悪い。
「うわっ、キモっ。」
そんな正に正直な感想が投げかけられる。まだ声変りしていない幼い声に慌てて振り返るとそこには生意気そうな顔の小学生がいた。
「なんだ光か。」
正は安堵して興味を失ったように机に向かう。正のそんな態度が気に入らなかったのかその小学生、黒井 光は正に絡みだした。
「なんだよ、正。なんかいいことでもあったのか?話してみろよ。」
年上にも遠慮なく呼び捨てで話しかける光を正はうっとうしげに振り払う。
「小学生クラスは今日はないだろ、なんで来たんだよ。」
今日は祝日だが鈴がとっているクラスがある日だ。顔を合わせるのが照れくさくもあり楽しみでもある、そんな感情がつい顔に出るのを我慢していた。しかしそんな正の努力も光にとっては滑稽らしい。
「ぷーくすくす、なにその顔。まっいいや、それより鈴はまだ?」
「鈴さんだろ。」
丸めた参考書で光の頭を軽く叩こうとするが、すばしっこい光はひょいっと軽く避ける。わざわざ小憎らしいバカにしたような顔を正に向ける。どうやら光はまじめに自習室に勉強しに来たわけではなさそうだ。暇つぶしに挑発してくる光の遊びに正はまんまとひっかっかる。
「なー、なんかいいことあったんだろ、教えろよー。」
ムカつく態度であるが今の正は上機嫌、むしろ誰かに話したくてたまらない。しょうがないなと態度では示しながら内心はノリノリで唇をなめる。
「しょうがないな。誰にも言うんじゃないぞ。」
「あっ、鈴おねぇちゃん。」
正が自慢げに話し出すのを遮り光は自習室の扉に駆け出す。行く先には顔をひょっこりと出す鈴の姿が見える。正と鈴の視線が合う。照れくさい。思わず目を背けてしまった。
「鈴おねぇちゃん、ひどいんだよ。正がね僕をぶつんだ。」
「えっ?」
何を言ってるんだこいつは。そう思う正だったが鈴の視線が正の手元にある丸めた参考書に注がれているの気付くと、慌ててそれを後ろに隠す。
「もう、ダダくん。ダメだよ。ちっちゃい子をいじめちゃ。」
そう言って鈴が優しく正の額に人差し指を当てる。鈴の感触を感じる額の一点がほんのり暖かい。それは鈴の体温かそれとも自分の顔が赤くなっているせいか。照れくささと、僅かな誇らしさが胸の中に広がっていく。だが、それを邪魔する一匹のクソガキがこの部屋にはいた。
「えーーん。鈴おねぇちゃん。正にぶたれたここが痛いよー。」
「んー?どこかなー?」
「ちがうよ、ここだよー。」
そう言ってクソガキ、もとい光が頭頂部を鈴に向ける。しゃがみ込んだ鈴に光がぶたれた部分を見せるように頭をこすりつける。鈴は無防備に光のやりたいようにさせているが正にはわかる、あいつは何か絶対にエロいことを狙っているはずだ。
よく見ると光はしゃがんだ鈴を覗き込む姿勢になっている。そして視線は、間違いない鈴の膨らんだ胸部に注がれている。光が唇をぺろりと舌で舐めるのを正は見た。
「いや、お前、ちゃんと避けただろ。」
正が光の頭を掴んで引き離そうとすると、光は最後のチャンスが来たとばかりにそれまでの生ぬるい鑑賞から積極的攻勢に出た。
「うえーーん。正がいじめるよー。」
自分が被害者ポジションであることを十分にアピールすると光は目を輝かせてその顔を目の前の胸、いや鈴のおっぱいへとダイブさせる。光が甘えるように頭を振るその行動すら鈴の柔らかいおっぱいを十分に堪能するための卑劣な行動に見える。いやそうに違いない。
「おい、お前。離れろ。僕だってまだ・・・。」
「もう、ダダくん、こんなちっちゃい子にそんな乱暴なことしちゃだめでしょ。」
鈴は正の懸念をよそに光をかばう。
「いや、そいつはもう小学生って言っても、6年生だからな。来年には中学生だからな。もう大体のことはわかってやってるからな。」
必死に抗弁する正だったが鈴にはうまく伝わらなかったようだ。
「ダダくんもちっちゃいころは、これぐらい甘えん坊だったのにねー。」
その件を持ち出されると正は何も言えない。光の邪悪な本心を分かっていながら何もできない。自分はまだ触れることすら許されていない鈴の胸に顔をうずめる光を、正はただ見ていることしかできなかった。
結局、その後は鈴と甘い雰囲気になることもなく。ただただ光に邪魔されるだけの時間が過ぎた。
「それじゃ、遅くなっちゃったから私が送っていくね。」
鈴はそう言うと光と手をつなぎ夜の繁華街へと消えていく。すっかり遅くなって日が暮れた街並みはまだ夜というには早い時間だがネオンがギラギラと光る小さな子供が一人で出歩くには躊躇する姿になっていた。
「じゃっ、また明日。」
本音を言えば鈴を家まで送っていきたい。だがさすがにそれはやりすぎのような気がする。まだ、あくまでまだ付き合っているとかそういうわけではないし、それなのに彼氏面はちょっと厚かましいというか。そんな誰に向けているのか分からない見栄が結局、送っていくの一言を言えなくさせていた。
暗くなった町を鈴と光が手をつないで歩いていく。塾ではあれほどまで敵意を向けていた光だったがこうやって遠くから見ていると何をそんなに焦っていたのか不思議になる。しょせんは小学生、身長差を考えれば鈴をどうにかできるわけないのだから。
正はせんのない心配をするのはやめて連休が終わってしまう今日のうちにやり残したことを済ませるべく家に戻った。