あと47日
NTR進捗状況
駿のテストをすり替えたのに光が一枚かんでいそう。
田中 正 :主人公、
橘 鈴 :幼馴染、寝取られる。
金谷 駿 :イケメン、クラスでは人気者、幼馴染とフラグ建築中。漫才をやりたい。友達の彼女に手は出さない。
黒田 晄 :汚っさん、女子生徒をいやらしい目で見ることに定評のある男性教員。教育熱心。
黒井 光 :小学生、頭の回るクソガキ。今は協力関係。羽振りがいい。
光が公園の前にやって来た。休日にも関わらず公園には人気はない。遊具も大体が撤去されてボール遊びも禁止されているこの公園はすっかり利用者もいない。そのくせ、公園の前ということで車の速度制限が厳しく光の目的にとっては都合がいいのだ。
光が道路をのぞける位置で植え込みに隠れる。だが、自分が隠れることに意識が行き過ぎて監視されていることに気付いていない。正と駿は光が隠れている植え込みがよく見えるビルの陰に待機する。
「なあ、正。間違いないのか。」
「うん、あの晄にまともな小学生の知り合いなんていないだろうし。晄と光は深いところでは同じ部類の人間だ。」
それを本能のレベルで感じ取っているなら、今回の企みに晄が光を相棒に選んだのにも納得いく。
そろそろ時間だ。正がスマートフォンを取り出してどこかに電話する。そのまま映像を撮り出して決定的な瞬間を待つ。
光が鼻歌を歌いながら余裕の表情で目的の車が来るのを待つ。
「マジで、ちょろいバイトだ。」
呟く言葉は明らかに自分がやっていることの危険性を自覚していない。当然、それが引き起こす結果は自分だけにはとどまらないがそれすらも想像が及ばないのだろう。
「それにしても、結局、誰の依頼なんだろ。あいつも全然言わねーし。」
光の独り言を聞いて正はあの小学生たちに言った脅し文句が効いていることを確信した。光には正たちが今回の偽の依頼を出したことは伝わっていない。
通りの向こうから一台の車がやってくる。ノロノロとした動きは公園前を通るにしても遅すぎるが運転手には子供が飛び出すことは伝えてあるから警戒するのも当然だろう。学年主任が顔がわかりにくいようにサングラスと帽子で変装している。しかし、車の動きを注視している光は運転手の顔を気にしている様子は無いから無駄だったかもしれない。光がタイミングを見て駆け出す。車がちょうど信号の前で止まりかけている瞬間。正はスマートフォンのレンズを向けて一部始終を撮る。光は車の前まで駆け寄ると、運転手が見えない陰でカバンを振り車にぶつける。当然、光は車にかすりもしていないがまるで車にはねられたかのようにゴロゴロと転がり泣き出す。
「うえーん、痛いよー。」
砂利で汚れた衣服はそれなりに迫力があり何も知らなければ車で轢いてしまったことを疑いはしないだろう。カバンと車の衝突音は激しく、その音が運転手の焦りを加速させる。だが、当然、周りにその様子を撮影されていれば、そんなウソが通じるはずもない。
慌てて車から降りた学年主任に、前回嵌めた相手だとも気付かず光は迫真の演技をしている。その背後から正と駿は余裕を持って近づいた。
「光、こんなところで何してんの?」
正が話しかけると、突然名前を呼ばれた光がビクつく。やっていることを考えれば本名を知られるのはマズい。もちろん知り合いに見られるのも。だが、光は豪胆なことに演技を続けるようだ。
「痛た、あ、正おにーちゃん。あのね、僕、さっきこの車にひかれちゃって。」
しかし、演技が混乱しているのか正に対しても無邪気な子供を装った振る舞いをする。そのうさん臭さにも光は自分で気づいているのだろう若干目が泳いでいる。
「そうなのか、そうだったかな?僕、たまたま偶然、さっきこの辺を撮影していたんだけど。本当に光が車に轢かれているか確認してみようか。」
正が手に持っているスマートフォンを指し示す。その一言で光は自分が嵌められたことを悟ったのがわかる。本当に賢い、だがそこを過信しすぎて警戒を怠り失敗するのが小学生らしいともいえる。光の友人たちは当たり屋の依頼の話をすると全てがばれていることを悟り青くなっていた。正が婉曲に脅していることに気付いたのだろう。正は光に対して彼の友人たちに言った言葉と同じことを言った。
「大丈夫、悪いようにはしないよ。ちゃんと協力してくれればね。」
裏切りのドミノがようやく本命である晄の所まで届く。その確信に駿も緊張した様子で光の返事を待っている。




