表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100日後にNTRれる幼馴染  作者: 12月24日午後9時
22/107

あと79日

NTR進捗状況

ヒロインに手を出そうとした輝が彼女の存在をばらされクラスで非難される。


田中 ただし :主人公、悪は滅びた。

橘  すず  :幼馴染、寝取られる。

金谷 駿しゅん :イケメン、クラスでは人気者、幼馴染とフラグ建築中。他人の彼女に手を出さない。

黒田 おう  :汚っさん、女子生徒をいやらしい目で見ることに定評のある男性教員。

学校の中でもひときわ静かな場所。屋上へと続く階段は相変わらず、この学校では一番に人気のないスポットだった。なにせ、屋上への扉は固く鍵がかけられ、空調も何もないこのさびれた一角にわざわざ来る人間は人目を忍んで逢瀬を楽しむカップルぐらいのもの。そうだ確認のためにもう一度言おう、カップルぐらいのものなのだ。

「ダダくん大丈夫?腕の傷、痛むでしょ。」

「いや、すず。いいって、大丈夫だよ。」

今この階段に腰かけているのは鈴と僕の二人だけ。昼休みのひと時を静かな場所で二人で昼食を囲って過ごしているのだ。

「じゃあ、食べさせてあげるね。」

そして、今、鈴は僕に昼食を食べさせようとしている。なにせ、僕の両腕はひどい擦り傷で痛むから、昼食のために腕を動かすとひりひり痛むのだ。いや、確かに痛むのだが我慢できないほどかと言われると、そうでもない。普通に日常生活は送れているのだから、絶対に一人で食事をできないというわけではない。だが、鈴が僕に食べさせたいと言うのだから仕方ないではないか。

僕は口を開けて待つ。そこに鈴が手に持ったパンをうまい具合に入れる。僕はそれを一口食いちぎり、咀嚼する。

「おいしい?」

「うん、やっぱりヤマサキパンだね。」

鈴の質問に答えながら、もう一口要求する。まるで恋人みたいだ。という話を今朝、駿しゅんにしたら変な顔をされた。これだから、素人は。本来一人でやることをあえて二人でやる、これこそが恋人同士の醍醐味。たとえその食事がパンであっても、いやパンだからこそ尊いのだ。そう力説するとなぜか駿は腹を抱えて笑い出した。まったく失礼な奴だ。

「はいあーん。」

「あーん。じゅるじゅるじゅるじゅるじゅるじゅる。」

鈴が差し出すストローに口をつけ一息で牛乳を飲み干す。鈴がパックをつぶして後押しするので、僕には休むことを許されない。

「ふう、ごちそうさま。」

「お粗末様でした。」

夫婦みたいだ。僕は思った。今、この冷たい階段は僕と鈴の新居でそこで僕らは二人だけの新生活を始めたのだ。家具は少ないけど隣には鈴がいる、そんな幸せな新生活を。

「鈴。」

「なーに、ダダくん。」

「何でもない、読んでみただけ。」

「なにそれ、うふふ。」

「えへへへ。」

「ぬふふぅ。」

いつの間にか、僕と鈴の新婚住まいに中年教師が割り込んできていた。太った体を強引に僕たちの間に割り込ませてくる。

「お前たち。ここは生徒の立ち入りは禁止されていると何度言われたら気が済むんだ。」

無粋なことを言うおうだが確かに言ってることは正しい。仕方なく僕たちは立ち上がる。その瞬間、偶然を装うようにおうの手が鈴のお尻に触れる。

「きゃっ。」

思わず両手でお尻を守る鈴におうが悪びれずに言った。

「そうだ、鈴。今度お前の成績のことで話があるからな。逃げるんじゃないぞ。」

まるでその用事を言うために触れたとでも言うかのように堂々とした態度で言う。ただしは文句を言うタイミングを失い、おうをそのまま行かせてしまった。

まあいい。もう鈴は僕のもののようなものだ。何を焦る必要があろう。せっかくの逢瀬が中途半端な形で終わってしまったのは残念だが、続きを行うチャンスはいくらでもある。僕らは教室へと戻ることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ