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100日後にNTRれる幼馴染  作者: 12月24日午後9時
13/107

あと88日

NTR進捗状況

ヒロインにちょっかいをかける輝は周りに何か隠している怪しい。


田中 ただし :主人公、ぺろっこれは嘘つきの味だ。

橘  すず  :幼馴染、寝取られる。

黒井 ひかる :小学生、クソガキ

黒川 てる  :チャラい、イケメンの取り巻き、幼馴染と無理やりフラグ建築中。彼女と家でパコパコ。

夜風がすっかり涼しくなった。虫の音も落ち着いてきて、それらが消え去るのももうすぐだ。随分と色々なものが変わってしまった。真っ暗な中でやることもなく静かにしていると余計なことばかりが頭をよぎる。だが、そんな時間ももうすぐ終わる。

ベランダのガラス戸を開ける音が響く。子供が手すりに乗り出しているようだ。コツンコツン、これは小石か?ガラスに跳ねる軽い衝突音が続く。何回続いただろうか、しばらくするともう一つのガラス戸が開く音がする。歩く音だけでうんざりしているのがよくわかる。子供のものとは違う体重でベランダの床板がきしむ音。その足音が手すりまで近づくと男のしゃべる声が聞こえ始めた。

「なんだよ、ひかるか。止めろよ、つかれてんだから。」

「ひひっ、知ってるよてる。女とイチャイチャしてたんだろ?」

どうやら昨日に引き続き今日も輝は彼女を家に連れ込んでいたらしい。全てお見通しだという光の言葉が言外に出刃亀行為の事実を伝えている。だが輝はそんな光を怒るでもなく、むしろ自慢げに肯定して見せる。

「おう、お前もうらやましいだろ。俺ぐらいにモテモテになるんだな。」

輝は彼女の存在をことさらに自慢する。やはりおかしい、これだけ自慢気にもかかわらず学校では彼女の存在をおくびにも出していない。ただしの疑問が通じたわけではないだろうが光が核心に迫る質問をてるに投げかける。

「でもさでもさ。輝って、学校では他の女の子に手出してるんでしょ?いいのかなー浮気なんて。」

光の声音が底意地の悪いものに変わる。痛いところをついてやったという自覚があるのだろう。そういった性格の悪さが表情に出ているのが声だけでも分かる。だが、それに答える輝はまったく悪びれる様子はない。

「おっ、何だよ。どこからそんな情報手に入れるんだ?」

「ちょっとね、塾で小耳に挟んだんだよ。ていうか、輝の話すると受けが良くてさー、教えてくれよー。」

「おいおい、俺も有名人だな。」

自分の知らないところで噂が広がっているというのに輝は危機感も抱かずに、むしろそのことが誇らしい様子で口はさらに滑らかになる。

「学校でさー、やれそうな子、見つけちゃったんだよねー。」

輝のその一言で正の頭に血が上る。何だそれは、やれる、そんな言葉で鈴を表現するな。鈴のことをしゃべるならもっと言うべきことがあるだろう。場違いながらも正は輝に言ってやりたいことが溢れる。だが、それをここで言うわけにはいかない。寝そべった姿勢のまま正は腹に力を入れ耐える。輝の話は正のそんな思いとは裏腹に続いている。

「その子がさー、くくっ、これ他の奴らに言うなよ。幼馴染っていう冴えねーインキャがいてさ、そいつの前で口説くとすっげー顔してんの、そいつ。」

勝手に言っていればいい。怒りを通り越すと頭はむしろ冷静になるらしい。輝の言葉を録音しながら、正は輝を頭の中で八つ裂きにする。どんな風に復讐してやろうか、あいつが泣いて謝っても決して手は緩めない。正の中で暗い情熱が燃え盛る。

「さすが、輝じゃん。それでそれで。」

光は正に言われた通り、輝から面白い話がボロボロ出てきて上機嫌に輝の話に乗る。これなら友達に提供するエロい話がはかどる、そんな風に思っているのだろう。

「でっ、今度、決めることにしたんだ。」

「決めるって?」

「それはな、いや、お前にはまだはえーな。」

「えーなんだよ。こんなとこでもったいぶんなよ。」

そうだ、もったいぶるな。お前の本性を全部ぶちまけていけ。正は光に同調して念じる。その思念が通じたのか輝がしゃべりだす。

「くくっ、しゃーねーな。じゃあ、ちょっとだけヒントだぞ。今度の日曜、くくっ、お前にイイもの見せてやるよ。」

「えー、それのどこがヒントなんだよ。」

正も同じ不満を持つ。何がヒントなんだ、今度の日曜って所か?今度の日曜に何があるんだ?

だが輝はもうそれ以上の情報を渡すつもりはないようだ。光がいくらせがんでも続きを言う様子はない。結局、光もあきらめてお開きとなった。光と輝がそれぞれ部屋に戻る音がする。


しばらく正はじっとして周囲の音に耳を澄ませる。どうやら周りには人はいないようだ。その確信を得られると正は匍匐前進で動き出した。輝と光が暮らしているアパート、そのベランダと地面の僅かな隙間から正の頭が出てくる。窓から外へ漏れ出る部屋の明りを器用に避けて体全体を出す。枯草と虫の死がいが体にまとわりついているが正の顔に浮かんでいるのは満面の笑みだった。

最高の収穫だ。本命はもう一つの方だったのだが、そちらは届くのに時間がかかる。正は居ても立ってもいられずベランダの下に潜り込んで聞き耳を立てるという古典的というかあまりにも不確実な方法で情報を得ようとした。今更のようだが、よくうまくいったものだ。輝と光の接点は恐らくそう多くはない。家族の前で猥談する度胸はさすがに無いだろうし、登下校の時間も異なる、休みの日につるんで遊ぶには小学生と高校生ではさすがに話が合わないだろう。そうすると、こういった夜中の暇な時間に丁度いい話し相手、普段の人間関係から離れた遠慮のいらない相手と話すというのが一番理にかなっているのではないか。正はほとんど根拠のない推論でそのチャンスにかけたのだ。

結果は最高のものになった。正のスマートフォンが震える。有頂天になっていた正は電源を切っていなかった失態に気付き、頭が冷える。よかった、もう光たちのアパートから離れたここなら問題は無い、むしろ運がいい。そう思い込んでスマートフォンに出る。

「おう、正。俺すっげーこと聞いちゃったぜ。」

「ふーん、どんなこと?」

「いやー、それは。正のアドバイスのおかげだけどさー。輝の奴、正が言ったようにおだてたら、べらべらしゃべってさー。でもこれヒミツって言われたしなー。」

これなら光は正がベランダの下に潜んでいたことには気付いてないようだ。正は安心して光のもったいぶった態度に適当に相槌を打ち、話が終わるのを待つ。いつもならイライラするそんな光の態度も今の正には気にならない、むしろ感謝すらしている。

ありがとう、光。お前のおかげで最高のカードが手に入った。正はICレコーダーを握りしめ次に何をすべきか考える。

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