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100日後にNTRれる幼馴染  作者: 12月24日午後9時
12/107

あと89日

NTR進捗状況

ヒロインがクラスで人気者に、主人公と距離が開く。


田中 ただし :主人公、僕は正しい(激うまギャグ)。

橘  すず  :幼馴染、寝取られる。

黒井 ひかる :小学生、クソガキ

黒川 てる  :チャラい、イケメンの取り巻き、幼馴染と無理やりフラグ建築中。


土曜日の小学生クラスが終わると、下の階から小学生たちが自習室に集まってくる。午前中の早い時間帯だと真面目に自習室で勉強している人間などほとんどおらず、わずかな例外のただしは彼らの空気を悪くするような注意はしない。

最近では公園でさえ騒がしくしていると怒鳴りこんでくる大人が居るため、こうやって気兼ねなく友達と集まれるのは学習塾の自習室ぐらいのようだから仕方ない。

「それがさぁ、すげーんだって。」

その中でも一際うるさくしているのはひかるだ。

「どんな?どんな?どんなふうにすげーの?」

「やべー、ピカくんのエロい話、はじまっちゃう。」

光の思わせぶりな話の導入に、周りに集まっていたいつもの面子が一様に興奮しだす。光はこうやって同級生の男子たちが興味津々のエッチな話を供給することで一部では尊敬の目で見られている。一方で遠巻きにしている女子たちはゴミを見るような眼を彼らに向けているが、男子たちがそれに気付き後悔するのはまだ先だ。光は防犯ブザーを指でくるくる回しながらかっこつけて続ける。

「それがさ、隣の、ほら例の高校生が、昨日女を連れ込んだんだよ。」

光のその一言に集まった男子たちが一斉にざわつく。もちろん話がそれだけで終わるはずがない。

「もちろん、俺はこれから何が起こるか、察しがついたね。だから、ほらベランダからだと、隣の声が聞こえるじゃん。」

男子たちは一斉に黙りこみ光の次の言葉を待つ。女子たちはそんな男子たちの猥談に嫌気がさしもう自習室からいなくなっていた。自然と正の耳にも光たちの話が入ってくる。見も知らぬどこかの男子高校生が青春を謳歌している話になど正は興味は無かったが、騒ぐ彼らに遠慮して自習室から出るのも癪なので、集中できないまま参考書を眺めていた。

「あん、だめ。いや。」

光が迫真の演技でアパートの隣の部屋で起こっていたことを再現している。箸が転がるだけでエッチな妄想がはかどる年頃の男子たちは、それが同級生の男の声だったとしても充分に興奮できるらしい。場は最高潮に達していた。

「いっちゃう、てるーーー。」

がたん。思わず正は立ち上がっていた。てる、てる。正が良く知る名前。今、最も聞きたくない名前。

「なんだよ、正。興味ないふりして、ちゃんと聞いてたのかよ。」

光は指で回していた防犯ブザーを正に向けて笑う。馬鹿にしたようにこちらを見る光など気にならないくらい正は動揺していた。

「そいつ、輝って名前なのか?」

ノリの悪い正に興味を失ったのか光は、そうだよ、とそっけなく答える。

昨日、昨日は確かすずは、あいつと輝と一緒に帰って行った。クラスの連中にはやしたてられ仕方なくだ。それは分かっている。だが、それから何があった。もしかしたら強引に鈴を家に連れ込んだのかもしれない、そして無理やり。いや考えすぎだ。そもそも輝なんて良くある名前だ。いや、違うかも。あまり同じ名前を見た記憶は無い。いやだからといって、鈴が輝とだなんて。ありえない。だけど、あれから鈴とは電話でも連絡をとっていない。何も証拠はない。

正はふらふらと自習室を後にした。


気付くと正は輝のアパート、いや正確には塾の名簿に載っていた光の住むアパートに来ていた。アパートの部屋番号は103だから、その隣の104か102が輝の住むアパートに違いない。とりあえずそれぞれの部屋の表札を確認する。102、黒川。黒川輝。同姓同名の高校生がこんな狭い範囲に2人もいるはずがない。天秤が悪い予想へとひとつ傾く。

と、ここまで来て、正は次になにをすればいいか分からなくなる。まさかインターフォンを押して中に鈴がいるか聞くわけにもいかない。光と同じように聞き耳を立てるか?アパートのドアに耳を押しつける自分を想像してその選択肢は捨てる。

うろうろと不審者寸前の様子でアパートの周りを歩く。そこで偶然にも、102号室、一階のベランダが覗ける場所を見つけてしまった。

「なんて偶然なんだ。」

偶然なのだからこれは犯罪ではないに違いない。そう言い訳しつつ、周りから発見されないようにヤブに身を伏せる。そこからベランダ越しに部屋の中へと目を凝らす。人が動く気配がする。

影絵のように最初はなにが何やら分からなかったが、一度輪郭を掴むと部屋の中で何が起こっているのか分かってきた。男、いやまだ少年と言っていい背格好だ。それが立ったまま、なにかに覆いかぶさるように、いや前後に動いている。

正の心音が高まる。緊張のせいか、徐々に不快なものが喉にせり上がってくる。だが目を離せない。少年の動きが止まった。しばらくの間、その姿勢を保っていたが、やがてしゃがみこんでごそごそとしている。少年は空気を入れ替えるためかベランダへと近づく。上半身裸の輝がベランダに出てきた。後ろを振り返り、誰かを呼ぶ。その誰かは少しぐずった後で、仕方なくという風にベランダに出てきた。

正は大きく息を吐いた。鈴ではなかった。正が知らない女性。それ以上は興味もわかず正はその場を離れる。

正は安心する。だが同時に疑問にも思う。あの輝が、彼女ができたのなら絶対に周りに自慢するはずだ。だが教室でもそんなそぶりは無い。むしろ彼女が欲しいとぼやいている姿を思い出す。何かを企んでいる。正は折からの疑心暗鬼でそう思った。あの輝が、何かを企んでいて、それがうまく進行していたのなら、誰かに自慢したくなるはずだ。例えば、学校の人間とは絶対に接触があるはずがない、近所の悪ガキとか。正は暗い視線のまま一度、輝のアパートを振りかえった。

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