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100日後にNTRれる幼馴染  作者: 12月24日午後9時
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黒田 晄(おう)の物語

今日の一本目です。

ぬふふ、まずは自己紹介をしておこう。

私の名前は黒田 おう、都内の高校で教鞭をとる41歳だ。

私の世代はいわゆる就職氷河期と言うやつで、まあ私は教員免許を取っていたからなんとか教職に滑り込むことができた。だが、私が高校教師を目指した理由はもっと別にある。私の物語を話すならまずはそこからだろう。

これは私の夢についての物語なのだから。


AVというものがある。知っての通りアダルト・ビデオの略のことだが、私が丁度〇校生になったころはレンタルビデオ店が全盛期でそれはもう余の〇校生たちを虜にした。もちろん色々と工夫をして皆見ていたのだが、それは今回の主題ではないので置いておこう。

私が初めてそれを見た時、衝撃を覚えた。まさか、教師になったらあんなことやこんなことをできるなんて。クラスの高嶺の花、ただの〇校生の私など見向きもしないような美人ちゃんとにゃんにゃんできるなんて。その頃はまだインターネットが一般に広まる少し前のころだったから、まあ夢があったのだ。つまり私はそのAVで起こっていることが真実だと思ったのだ。いや流石に全てがそうだなんて思ってはいない。ただ、盗撮風に趣向を凝らした作品には一片の真実が含まれているのではないか、当時の私はそう考えた。

その頃から私の夢は、いち教師だった。

もちろん猛勉強した。同学年の人間が恋だ、サークルだと現を抜かす間に私は夢に向かって一直線だった。


インターネットというものがある。これもまた私の人生を変えたものの一つだ。インターネットはより多くのAVを見るための存在だ、少なくとも私にとっては。

失敗だった。私は知るべきではなかった。インターネットには真実がある。そう、つまり、私が真実だと思っていた作品は虚構だったと、私はインターネットを通じて知った。

AVというのは女優によって演じられるただのお芝居だ。そう、AVには女優が出ていて彼女たちには当然名前がある。もしも、私が真実だとそう信じていた作品が事実、現実に起こったことならば出ている〇校生に女優としての名前があるはずがないのだ。しかし、あったのだ、残念ながら彼女たちに、名前が。私が夢見た教師と女子〇校生がちょめちょめする、それら全てはお芝居だったのだ。


私は苦悩した。私の一生の夢をあきらめるべきなのか。次の夢を見つけて歩みだすべきなのか。いや、違う。

確かに、あのコギャルっぽいのはなんか色んなAVに出てて当時から本当かどうか怪しいと思っていた。しかし、眼鏡地味系巨乳モノは、あれに出ていた彼女は、他で見たことが無い。そうだ、そうだよ、もしもこの世界の99%が嘘なら、残りの1%の真実を探せばいい。私は間違っていない。


今でも私は胸を張って言える。私の夢は一教師になること。そして眼鏡地味系巨乳〇校生とにゃんにゃんすることだと。


******


夜の繁華街から少し離れた公園。ちょうど人がいないその時間を見計らっておうは人を待っていた。


「ああ、黒田先生、どうですか最近、調子の方は。」

「ああ、チョーさん。いやあ、なかなか、ぼちぼちといったところですよ。」


この警察官の服装が全く似合っていない男は、れっきとした本物の警察官だ。地域の非行防止のために警察と学校が緊密に連携する必要がある昨今、私と同年代ということで公私にわたって情報を共有している。


「しかし、黒田先生も大変ですねえ。こんな寒い季節でも夜の見回りに狩りだされるとは。」

「はっは、まあこれも仕事の一環なので。」


この警官は私が左遷されたことをまだ知らない。いや正確に言えば左遷先が男子高校と知って退職を決断し、もはや教師でもないのだが。

まあ見ての通りこの警官はやる気が無いのでそんな情報に触れる機会など無いだろうが。


「ところで、いつもの情報交換なのですが。いやあ最近はレンタルビデオ店も潰れて行ってしまって、なかなか掘り出し物というのに出会うのも難しいですね。」


私とこの警察官の情報交換というのももっぱらその手のAVに関するものだ。まさか真面目に地域の少年少女たちを非行から守ろうなどと考えるわけが無いだろう。

警察官が紙袋をこっそりと私に手渡す。中身は違法なものではなくただのDVDだが、一応周りの目を気にしながら中身を確認する。


「今回のは黒田先生好みのやつですよ。なんでもVHSのリマスター版だとか。」

「ほほー、これはこれは。いつもすいませんねえ。」


今の私にとってはこれが唯一の楽しみだ。




「くそぅ、ちくしょぅ、なんで、こんなひどいことが。」


おうは住み込みで働いている店の屋根裏部屋で布団にくるまりながら泣いていた。

屋根裏はそもそも断熱性のない物置部屋だったせいで夜になると凍えるほどに寒くなる。そんな夜はお気に入りのAVを見ながら体の芯から温まることにしていた。今日の私の心を温めてくれるホ〇カイロはあの警察官がくれたDVDだ。私は意気揚々と屋根裏にある数少ないまともな家具、小さなテレビに繋がったDVDプレイヤーにそのDVDを入れた。

出てきた女優には見覚えがあった。私の一生を決定づけた、私に夢を見させてくれた彼女だ。まさか、そんな、あるわけない。だって彼女は女優でも何でもない現実の〇校生なのだから、他の作品などあるわけがない。しかし画面の向こうの彼女は私を裏切り続けた。場面が変わりインタビューが始まる。もはや自分を誤魔化すことなどできない。彼女は女優だったのだ。そして私が信じた1%は偽物だったのだ。


私の人生はあれから、あのただし駿しゅんに邪魔されてから全てが上手くいかなくなった。それを恨んで一時いっときてるの口車に乗って復讐しようともした。

人生をリセットしようと思って大人が通える幼稚園に入園したりもした。

だがむなしいだけだった。

それでも私は夢に向かって努力したことだけは誇りに思っていた。それだけが支えだった。しかしその夢も偽りだった。


布団にくるまり声を殺して泣いているおうにどこからか若い女の声が聞こえてきた。DVDの再生はもうとっくに終わっている。辺りを見回しそれが床の隙間からだと気付く。

ここはおうが住み込みで働いている喫茶店の屋根裏部屋。おうが以前補導した高校生の親が趣味でやっているところに転がり込んだ。だから、おうがここにいることを知る者は少ない。

おうが覗き込んだ先にはよく知る女子高生の頭が見える。最早興味も無くなっていたと、そう思っていた。正に脅迫されて手を出す気にもならなかった。だが夢を失った今なら、その夢を何かで補填しなければ気が済まない今なら、違う。

橘 すずが少し遠慮気ながら元気よく店主に挨拶している。彼女は屋根裏から覗く視線にまだ気付いてはいない。

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