3.きもかわ生物への質疑応答
色々と一気に聞いてしまったせいで全然理解が追い付いていない。
元々俺はオツムがいい方じゃないからな…。
うん、ここは頭をこんがらがせている場合じゃないな。
気になった事は片っ端から聞いておいた方がいいな。
よし、ここはゲーマーの視点で聞いていこう。
「ポイントってなんだ?」
『我々から支給されるポイントになります。スキルの取得および強化にはこのポイントが必要になります。戦花による敵対対象の撃破が主な獲得要素になると思いますが、他にも我々が特別に付与する事もあればスキルによって獲得する事もできるなど手段は色々と用意してあります』
「スキルの振り直しや初期化はできるか?」
『現状できません。スキルを奪い取ってポイントへ還元してやり直してください』
「スキル管理画面には系統が5個しか表示されていないが他にも系統はあるのか?」
『現在皆様へ与えている系統は5個で間違いありません。しかし我々が判断して系統とそれに属するスキルを追加する…という事はあるかもしれません』
「現在俺達が与えられているスキルは全て見れるのか?」
『一部スキルは一定条件を満たすと新たに表示されて獲得できるスキルもございます。当然条件を満たしたスキル管理者と戦花にしか閲覧できませんのでご安心ください』
「…例えばだけど仮にそのスキルとやらに該当するものを戦花の人が技能として持っていた場合はどうなる?」
『おや鋭い。その場合はポイントを払う事なく初期スキルとして自動で設定されます。そういう人を探すのも利点ですね。またスキルを与えられない限りは戦花としては扱われませんので初期スキルだけでは駄目です。そこはご注意ください』
「死んだ戦花の人からスキルを奪う事は?」
『できません。戦花が死亡した時点でその戦花が所持しているスキルは喪失します』
「お勧めの系統とかスキルはある?」
『そこはスキル管理者の個性にお任せし、またどのような選択をするかもお歴々の方々の楽しみのため回答はできません』
「管理倉庫ってのは具体的に何ができる?」
『戦花の撃破した対象を瞬時に格納ですが…他にもアイテムの持ち込みや取り出しも可能です。管理倉庫は別空間に位置しておりその出入口はスキル管理者のみ開くことができます。出入りにはスキル管理者の許可が必要になります。そこは管理倉庫の項目で別途設定してください。また、管理倉庫の中にはスキル管理者は4時間以上連続して留まる事ができません。4時間を経過した時点で死亡させますのでご注意ください。また、管理倉庫の中には【創造系】の道具・工房・工場等を設置して稼働させることも可能です。またスキル管理者が死亡するとそのスキル管理者の管理倉庫は瞬時に消滅しますのでこちらもご注意ください』
「管理倉庫の容量ってどのくらい?また管理倉庫の中の物って処分できるの?」
『容量はこの国でいう所の…東京ドーム1個分を初期設定としています。ただしサービスとして容量に入りきらないぐらいの物量を獲得した場合は無償で自動で拡張させていただきます。処分についてですが処分用のフィールドを管理倉庫内に設けています。こちらにものを放り込むと消滅しポイントに還元されます。消滅したものは二度と戻りませんので慎重に判断お願いします。』
「…さっき言っていた敵対対象ってどうやって判断するんだ?」
『倒した後で我々で管理倉庫に送る際にポイントの査定を行いますのでそこで判断します。まあ平たく言えば君たちが敵と思った全てと定義いただいて構いませんよ。間違えてもどうという事はありませんので』
「俺と同じスキル管理者って何人ぐらい当選したの?」
『こちらも回答できません』
「スキル管理者は全員男か?」
『さっきの説明にもあったと思いますが男ですよ?』
「やってはいけない事ってあるか?」
『我々から特に制限する事はございませんが…流石に不具合や不都合やバグが見つかった場合は修正をかける場合はございます』
「ふぅ…とりあえずはこれでいいか?長々とありがとな」
『いえいえ、お役に立てたようで何よりです。最後にですが初めてで不安になる事もあるでしょうし不慣れで失敗する事もあるかもしれません。そこで我々は本日よりこの惑星の暦で7日間チュートリアル期間を設定します。この期間の間はどのスキルであっても3個まで戦花にポイント無しでスキル取得を可能としています。またこれに伴いポイントでスキルの判断をしてほしくないためチュートリアル期間中は消費ポイントについては表示しないためご了承ください』
お、随分気前がいいな。
チュートリアルまであるとか何て親切設計なんだ。
しっかし思ったんだけどこれゲームとして考えた場合バランス狂ってるよな?
俺は思わずほくそ笑んでしまう。
『おや?楽しい未来が想像できましたか?』
「うん、まあそうなんだがこんなにチートなスキルがあるんだからこりゃもう早い者勝ちだなと思って」
『まあ行動は早いに越した事はないですが…早い者勝ちですか?』
そりゃそうだ。
犯罪者やヤクザやテロリストや武装組織や悪徳政治家とか撃破する悪人とかいっぱいいると思うぞ?
けどチートスキルのせいで戦力差が一方的すぎる。
こりゃ今日からでも悪人狩りが流行になるんじゃないのか?
「だってこっちはチートスキル使えるのに、相手は犯罪者やヤクザ、上を見てもテロリストぐらいの装備なんだぜ?楽勝すぎるんじゃないか?」
『少しお待ちを…他端末と同期を取った結果この件については説明をしておく義務があると判断します。本当の最後ですがお聞きください』
端末って事はこいつは機械なのか?
気になるのは他のスキル管理者も同じような質問をしたんだろうか?
さてどういう説明が来るのかな?
『我々としても当然与えたスキルを最大限に活用していただくために色々と準備をしております。準備内容については告知いたしませんが』
「え、どういう事?」
何かサプライズでもあるのだろうか?
…駄目だ楽しい未来しか今の所思いつかない。
『最後の最後で察しの悪い君に特別にわかりやすい一言で閉めさせていただきます。せっかくの企画なのですから面白くなるように我々も随時介入させていただきます。その介入の形が人間にとってどんな災害になるかは言えませんが…』
そう告げると目の前のきもかわ生物はパッと消えてしまった。
…やっぱりこれは夢なのだろうか?
頬を力いっぱいつねったがあまりの痛さに悲鳴をあげてしまうのだった。