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最低価格の俺が錬金で成金!~The Lowest price man Promote to Gold with Alchemy~  作者: 巣瀬間
第四章 夢指す羅針盤を目指して
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第12話 転ばぬ先の杖

 カミノ・テツオ。

 本来であればご主人様を侮辱した罪で骨の2、3本はへし折っていた所でしたが、クリスティナ家はあなた達に対して借りがあります。故に無礼な行いも見逃すことに致します。

 ニアート村のダンジョンであなたを殺すつもりでしたが、あなたは幸運ながらレイン・ローズを引き寄せていた。彼女がいなければ私は任務を達成できていた。


「やっぱり男の子だとセクリみたいにおっきいのが好きなのかな……」

「俺に振らないでくれ……」


 けれど、彼女が来たからこそクリスティナ家の評判が上昇することに繋がった。ニアート村の村民達が「アンナ・クリスティナに子供達を助けてもらった。クリスティナ家の娘は期待できる」という言葉を他の村やヴィント地区集会所にて口にしてくれたおかげで。

 貴族候補から席を明け渡すような嫌味ったらしい催促状も今では収まりつつあるのも恩恵の1つ。ライトニアには15の貴族しか存在しない、今か今かと空席を狙う候補が存在している。ハリー様が亡くなればクリスティナ家は領地を治めるだけの器を持った者がいなくなってしまう。

 奴らも次期貴族候補としての繋がりが欲しく最初は媚を売るように属してきたという話ですが今では継げる器を持たないクリスティナを席から下ろそうと躍起になっているときました。

 正統な後継者であるロドニー様は行方不明、弟のリドリー様は錬金術士でも無ければ優れた実績も無い。アンナ様は実績はあれど血縁証明が無い。

 サリー様に期待できるかどうかはここで見極められる。


「使う素材は、木材に軽い金属、後は滑りにくいゴムも使って……」

「あっ、それ! ゴムって本でしか見たことないけどどんななの?」

「触ってみて、ライトニアじゃ採れない素材だけど弾性靭性が優秀だから『ハーヴェスティア』で沢山輸入してるんだって。車輪だったり靴底にも使われるようになってから運送効率が上がった話もあるんだよ!」

「おお、ぜんぜん滑らない……そういえば制服の靴ってかなり歩きやすかった気がする……こういうことだったんだ」


 ただ今となれば焦る心配も薄れてきました。寝首を搔いてでも席から降ろそうとする動きも沈静化し始めています。

 アメノミカミを退け、王より勲章を授与された重要人物。カミノ・テツオ。その主がアンナ様。この実績は大きすぎました。態度を180度変える者も現れ、他の家に唆されたと口にする始末。全員首を撥ねたい思いましたが、ご主人様の温情により刃は納めています。ただやはり、それでも引きずり下ろす者が全て消えた訳ではないのが残念ですけれど。


「これを杖の先端に取り付ければ杖を突いても滑ることがなくなると思う」

「それなら先端は枝分かれした多点式するといい。より安定して歩くことができる杖になる」

「へぇ~……あ、なるほど。そういうことか。自立もできるから力を込めても安定するんだ」


 この方達が気付いているのか知りませんが、新聞にも記載され民衆にとっては英雄として祭り上げられている。新聞に姿が写されていないので人々は様々な英雄象が作られていると耳にしました。ダンジョンで見た時と比べれば顔つきは変わった気がしますが、膨れ上がった想像を超えるものではないので人々は落胆するでしょうね。


「ふぅ……素材も揃って形のイメージもできたじゃあ早速始めるから。え~と、あんまりジロジロ見ないでほしいんだけど……」

「だいじょーぶ! 何かあってもお姉ちゃんが何とかしたげるから! 集中して集中」


 思えば、あの時の幸運が無ければアメノミカミ襲撃において被害は想像を絶するものになっていたでしょう。

 10年前以上の被害が起きていてもおかしくありませんでした。あなたの言う通り貴族階級など無意味な物に帰していたかもしれませんね。

 あなたは恐らくどんな無礼を働いても殺せないでしょう。

 ロドニー様捜索に大変意欲的な点とアンナ様を絶対守護する信念がある。それにアンナ様が大事と想う存在も守るつもりでしょう。サリー様とテリー様を見る目が私達使用人と似ているのがいい証拠。

 そして、こちらの味方でいるだけで領民の評価が得られる。姿形を知らずとも名前だけでどんな人物か彼等は知っている。


「おしゃぶりみたいに小さいものじゃないから……気を付けないと……」

「あー、むー!」

「応援してくれてるのかな? すごい興味津々だね」

「もぉ~! 集中切れるって! 失敗したら大変なことになるかもしれないのに!」

「だいじょーぶ! 火薬系使ってないから酷いことならないって! なにかあってもお姉ちゃんがサリーを助けるし、テリーはテツが盾になってでも守ってくれるから!」

「否定はしないが口に出されると複雑だな!?」


 しかしまあ、ここまでこの部屋が賑やかな空気に満たされるのは何時振りでしょうか?

 ロドニー様が釜の前に立っていた時が最後、この釜を使わなくなってから今日になるまで重苦しい空間でしかなかったのに。

 新しい風、この部屋だけじゃじゃない。クリスティナ家も変わっていく。そんな予感を感じさせますね。

本作を読んでいただきありがとうございます!

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