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最低価格の俺が錬金で成金!~The Lowest price man Promote to Gold with Alchemy~  作者: 巣瀬間
第四章 夢指す羅針盤を目指して
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第8話 お姉ちゃんの錬金講座

「こうして実際に会って見るとこんなに嬉しいと思わなかったけどなぁ……」


 頭の中で妹や弟を想像したこともある、そんなのとは比べ物にならないぐらい妹と弟の衝撃は凄かった。こうして触れる話せる。夢幻とは違って想像してない事が返ってくる。

 赤ちゃんの弟なんてあんなにかわいくて温かいなんて知らなかった。わたしは力に自信はあったけどとても重かった。今まで持ったものの中で1番重かった。

 自然と2人共守ってあげたいと心の奥から湧いてきた。


「あの、そろそろ放してもらえると……」

「あっ、ごめんね! 可愛くてつい。それとお姉ちゃんに堅苦しい言葉なんて使わなくていいよ。もっと甘えても頼ってもいいんだよ?」

「……じゃあお姉ちゃんはどんな風に調合しているの? お爺様の言葉を参考にしても上手く行かなくて」

「そうだね、お姉ちゃんは……」


 ここが頼れる姉だって示す大事な時! 妹の1番知りたいことをハッキリと答える。そうすれば信頼の目でキラキラと見てくれるはず!

 でもどうやって言葉にすればいいんだろう……?

 落ち着け、今は戦闘中じゃない、あせらないでいつも注意していることを思い出して……。


「まずは、分量はしっかりと決めてるね。簡単な物だったら大体の割合で作れるんだけど、難しいものだったら1g、1mlでも誤差がないように注意してるよ」


 うん、これは普段から意識してる。ブロンズランクを合格するために作った『アブソーブジュエル』は特に分量が大事だった。ほんの少しでもバランスが崩れたら失敗する緊張感。あれは何度も経験はしたくないなぁ。


「私も分量には細心の注意を払っているよ。じゃあ錬金釜の温度変化は? 撹拌速度の緩急は? 素材の追加タイミングは? 魔力の投入量は? 失敗と成功の違いはどうやって判断するの?」

「え~とね、それらはね……」


 お姉ちゃんはサリーの頃そんなに基礎とか勉強してなかったよ……そこまでポンポン用語なんて出てこないよ。お姉ちゃんすぐに抜かれそうで今から震えてるよ。

 運動意外で汗をかくなんてアメノミカミ襲撃時に『ゼロゾーン』を作った時以来だよ。まさかこんなに頭が真っ白になるなんて思ってなかった。

 素材の量をしっかり決めた後はもう適当と何となくでかき混ぜてた。素材の声が聞こえた時はそれに従ってるけど答えとして正しいとは思えない、その声も魔力の放出をゼロにする技術『(そら)』をして何となく聞こえるようなものだし。


「ごめんね……お姉ちゃん、説明する言葉が思い浮かばないよ……」


 サリーの視線がすごく軽蔑染みてる。本当に情けないって感じる……。

 勉強は大事だってすごく身に染みる。錬金術以外の本も読んどけばよかった……。


「あの、本当にアンナお姉様なんですか?」

「お姉ちゃんと思われてない!?」


 姉から他人に格下げされそう!


「だってダンジョンで子供達を助けて、ミュージアムに作品が登録されて、アメノミカミを倒す道具を作った人。それに半オーガの珍しい人だって。だから、もっと知的で強そうで大人びた雰囲気のかっこいい人だと思ってたのに! それが……なんだかほにゃほにゃしてるし、想像通りだったのが力だけだった! 正直言ってガッカリです!」


 そこだけなの!? もっとこう……あるんじゃないの!? まさか妹にここまで言われるなんて……心がボコボコになりそうだよ……。

 今なら競売所でのテツの気持ちがよくわかるよ。

 期待されてたのは嬉しいけど、理想通りじゃないからって責められるのはちょっと違うと思う。これは妹のワガママとしてお姉ちゃんが受け止めるべきだけど……!


「ふ、ふふふ……! そこまで言われると中々こたえるね。でも、理想を壊すみたいでごめんねだけど。全部わたし1人でできた訳じゃないんだよ。テツオの力や友達の力があって初めてできたことなんだ。わたし1人じゃそこまで──」


 あっ、ソレイユさんが言っていたことはこういうことなんだ……。

 わたしは仲間や友達と協力する凄さを知っているはずなのに理解していなかった。今こんな状態で理解することじゃないけど。

 わたしは、何も考えずに甘えてもらえるような姉にならないといけない! セクリぐらいの甘やかし力は無いけど、テツみたいな無警戒でいい空気感もないけど、血が繋がってるのに他人みたいな扱いをされる姉にはなりたくないから!


「お姉様?」

「『お姉ちゃん』だよ! サリーにとって理想のお姉ちゃんじゃないかもしれないけど、お姉ちゃんとして甘えられるぐらい頼れる姿は見せてあげないとね!」

「大丈夫なんですか? 姉というのは認めますけど無理して格好つけることないですよ?」

「かっこうはつけない! いつもやってることをいっしょにやるだけだよ! それじゃあさっそく、『キュアクリーム』を作ろっか」

「いっしょに? どうやって?」


 わたしも最初から1人で全部やれた訳じゃない。最初の方は──


「まずサリーが調合棒を持って釜の前に立つ」

「はい」

「その後わたしが覆うように棒を持つ」

「え!?」


 こんな風にお父さんに手を引かれるように教えてもらった。


「これでゆっくり説明と感覚を言いながら調合していくからサリーはスポンジみたいに吸収することだけに集中して」

「本当にこれで上手く行くんですか?」

「だいじょうぶ。これで上手く行ったのがお姉ちゃんだから! それに多分これがサリーに1番必要なことだと思うからね!」


 知識は多分わたし以上に持ってる。だったら直接調合の成功を体験させれば全部が連鎖的に繋がっていくと思う。

本作を読んでいただきありがとうございます!

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