第1話 報告書
990年6月25日
第二次アメノミカミ襲撃における戦果及び、調査対象『惨劇の斧』について報告致します。
襲撃による人的被害については死者は0人。負傷者も10名に満たないでしょう。尚アメノミカミによる負傷者はその半数以下に収まる可能性が高いです。
王都クラウディアの損壊については、現時点においてほぼ修復が完了しています。西門のみが完全に修復されていませんがこちらが届いた頃には完了するでしょう。
国民の殆どは普段の生活に戻っており襲撃など無かった光景が広がっています。
調査対象となっていた指定特級危険武具『惨劇の斧』ですが、『破魔斧レクス』と名を変え性能も形も大きく変化し1級危険武具へと警戒度を下げることも視野に入る可能性があります。
過去の書物では吸収と消滅の力を自在に操ったとありますが、現在では『魔力』の吸収を行い『破力』へ変換できなければ力を発揮できないようです。
記されている術式は危険の高い物が多いですが従来の刻印武具と基本は同じのようです。
現在の使い手の名前は『カミノテツオ』正式名称『神野鉄雄』。異世界人。漢字を有していることから『ニホン』からやってきた者の可能性が高いです。
黒髪の男性。身長170cm前後。体重不明。使い魔契約をしており半オーガの『アンナ・クリスティナ』の使い魔となっています。
彼の日常についてですが。特筆すべき事が見受けられませんでした。
騎士団の仕事が終わると真っ直ぐと帰宅。たまに街に繰り出すこともありますがおみやげのお菓子を買うためが殆どで、女遊びはまったく見られず、酒に溺れている様子もありません。寮内で何かをしている可能性がありますが不確定故に記しません。
街の人はアメノミカミを退けた英雄『カミノテツオ』と繋がっている様子は見られない。名前は知っているが顔や姿を認識していないと予想される。「斧を持っている」「魔力を持たない人間」という特徴は既知としている模様。
アメノミカミと対等に渡り合った強者であり、他者が植えた魔術刻印を消滅させることが可能のようです。
前述で警戒度を下げると記しましたが。彼は弱点を補うために魔力を貯め込める小型容器『マナ・ボトル』を所持しています。それにより、初動の遅さという弱点が無くなっているので策も無しに戦うことは推奨されません。
唯一の弱点とされるのがアンナ・クリスティナ。ただし、彼女に危害を加えようとすれば最悪の事態を引き起こしてもおかしくありません。逆に彼女を味方に引き入れれば自然と彼も味方となる可能性が高いです。
破魔斧の扱いについては不明な点が多い模様。
アンナ・クリスティナという鎖から解放された後、破魔斧はそのままカミノテツオの物となるのかライトニアで管理することになるのかも不明。
彼が亡くなった場合もまた不明。
会談の場を設けて直接聞くことが望ましいでしょう。
将来『破魔斧レクス』の扱いが不明瞭ではありますが、現在において安全に扱える唯一の存在であることは変わりありません。
ライトニアでは人間の使い魔は住民登録は行えないと決まっているようです。カミノテツオはアンナ・クリスティナの物として認識されている状況です。
契約を解除された後、彼はどこの国にも属していない浮浪者と堕ちてしまいます。自国で保護及び住民として受け入れる価値はあると考えます。
前述記した状況より、カミノテツオは妻帯者ではなく意中の相手もいないと想定されます。
憂いなく引き入れる方法として、自国の適当な者と縁談を結ぶのが確実かつ安全かと思います。
以上をもって今回の報告を終わりとします。
大きな問題が無ければ次回は8月1日を目途に送信致します。
追伸
破魔斧の危険性が薄れた今。斧の情報だけでなく彼と周囲にいる者の情報を集めることが対策に繋がると考えます。
溜まり次第報告致します。
今回より第4章が開始です!
物語が大きく前進する章となります。目的に向かって矢印が定まることとなるでしょう。
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