カップリングの話は盛り上がる・・・けど、荒れがち
前回のあらすじ(簡略版)
レーネの姉を探すために町を出たユットたちは
レーネの予想に従って小山の辺りを探し始める
中々見つからず休憩するために入った洞窟の奥で音がするので進むと
そこには小さな祭壇と探していたレーネの姉がいた。
ステータス画面『ユーネスト』
総合魔術レベル22
チャームレベル20
ファレムレベル5
筋力レベル5
俊敏性レベル5
その他1
ステータス画面『レーネ』
レベル???
ステータス画面『エリー?』←パーティー仮加入
レベル???
「だいたいどうしてあんたが見つかるのよ! あんたゴースト族でしょ、それに――」
レーネのお姉さんは茶髪のお姉さんに向けて指を指しながらそう怒ってる、聞いてる感じだと5つ目の布石を打ったところを僕たちに見られたことに怒ってるみたいだ。
「ねぇ、レーネ。ゴースト族って?」
知らない単語が出てきたので隣にいるレーネに小さい声で聞いてみる。
「たしか魔族側の種族の一種だったと思います。ゴースト族は生まれながらにして元々隠蔽系統のスキルが高いので普通の種族には見つかりにくい特徴がありますから、それで見つけにくかったのだと思います」
「でも、僕には普通に見えてたけど?」
隠蔽スキルが高いならそれを看破するスキルレベルが高くないといけないはずなのに、僕のその手のスキルレベルはオール1なんだよね。
「そうですね、そこが引っ掛かっていたのですけど、ゴースト族と言うことならもしかすると、ユットのその体は1回死んでいますので幽霊であるゴースト族を感知することが出来たのかもしれませんね」
「えっ、そういうもんなの?」
「さぁ? 私は死んだことがありませんから、あくまで仮説です、ただ、他の可能性が無い以上は可能性としては高いかと」
「つまり、同族みたいなものだから隠蔽スキルが効かなかったってこと?」
「まぁ、そうなりますね。ユットの場合はゴーストと言うよりはどちらかと言うとゾンビですけど」
ゾンビって、正確に言えばゾンビともまた違うんだろうけど、そう言われるとなんか嫌だなぁ、腐臭とかしないよね。
そんなことを考えながら一応自分のニオイを確認してるとお姉さんの説教が一段落したのか『ごめんなさい、ごめんなさい』と茶髪のお姉さんはペコペコ頭を下げていた。
ここまで見ていると2人の関係性は先輩と後輩みたいなそんな関係性に見える。
「まったく、あんたにはそれぐらいしか特技がないんだから、しっかりウチの役に立ちなさいよね」
「はいぃ、ごめんなさいぃ」
「もう、そんな半泣きにならなくてもいいじゃない、別にそこまで怒ってないわよ」
「うぅぅ、本当に?」
「ええ、どうせ、もうすぐ終わりだもの。それに馬鹿な連中共は北西方面に向かってるみたいだからね。今更気づかれたところで間に合いはしないわ、その――」
「えっと、なんでしょう?」
「――い、今までご苦労だったわね、さっきは怒ったけど、あんたの――『スウィ』のお陰でここまで出来たんだから、ちょっとは感謝してる」
「リ、『リザ』ちゃぁぁん!」
「ちょ、くっつくな! あんた色々とデカいんだから暑苦しいのよ! あと『ちゃん』づけするな!」
さっきまでの重苦しい雰囲気はどこへやら、『スウィ』と呼ばれた茶髪のお姉さんが『リザ』と呼ばれるレーネのお姉さんに抱き付き、リザさんもまんざらではない表情をしてる。
「ねぇ、リザちゃん。ずっと気になってたんだけど、もし、この計画が全部成功したらわたくしって用済みなんだよね」
「……そんなわけないでしょ、そうなったらスウィはウチのメイドとして雇ってあげるわよ、今まで以上にじゃんじゃんこき使ってあげるから覚悟しなさいよね」
「リザちゃん――はい! わたくし、リザちゃんにこれからも仕えますね」
照れ隠しに顔を逸らすリザさんに満面の笑みを向けるスウィさん、この2人の会話を聞く限りすごく仲がいいことは伝わってくる。とてもじゃないけど、この辺り一帯を焼き尽くす計画を立ててる人たちには見えない、そのくらいの甘い空気感と言うか、ほんわかとした雰囲気が2人の周りに漂ってる感じがする。
「予想通り、あの2人が『黒き翼』を復活させて放火を強要してた今回の事件の黒幕で間違いなさそうですね」
「……そうだね」
「ん? どうかしましたか、ユット?」
「そのなんて言うか、僕たちにとってあの2人が敵なのはわかってるんだけど、なんかあの2人の関係性(主と従者)っていいなって思って」
なんて言うか、主と従者って言うより親友のようなお互いを信頼し合ってる感じって言うのかな? 少し憧れる。なにせ、うちのはレーネ(コレ)だからね。
「……なるほど、ユットは百合好きなのですね。しかし困りましたね、私は女子ですからいいとして、ユットは見た目こそ男の娘と言い張れなくもないですが一応付いちゃっていますからね、――取っちゃいます?」
「取らないよ! と言うか取れないの! そんな簡単取り外し機能は付いてないから、って言うか、僕が言いたいのはそう言うことじゃなくて――あれ? えっ、レーネのお姉さんって、その、そう言う人なの?」
「ガチガチってわけでもないですけどね、元々男嫌いというか一応父親的な存在が私たちにも居たのですが、その父親以外の男とまともにコミュニケーションを取っているところ見たことないですね。そのせいか、女子に対して意識している感じですね。わかりやすく言うと女子が好きと言うより男が嫌いだから女子に過剰な感情を抱く感じですかね」
「へぇ、そうなんだ。えっ、じゃあ、あの2人ってそう言う仲なの?」
「さすがにそこまではわかりませんけど、さっきも言ったように愚姉はガチガチってわけじゃないですからね、おそらくですけど、愚姉のほうが勝手に意識しているだけだと思いますよ。ゆる~い百合って感じですかね。……ちなみに私は『ひま×さく』がイチ推しです」
「いや、聞いてないんだけど」
僕らがそんなやり取りをしてる間も2人は楽しそうに会話を続けてたようで、気づけば雰囲気がより甘くなってる。
「リザちゃん、これが成功したらお祝いにパーティーやろうよ」
「『ちゃん』って言うなって言ってるでしょ、ちゃんとリザ様って言いなさい」
「ううぅ、わかりました。リザ様」
「うんうん、それでいいのよ。っで、パーティーよね。それに関してはナイスなアイディアね」
「ありがとうございます! ご食事のメニューはどうします?」
「う~ん、テキトーでいいわ」
「そう言わず、何か食べたいものとかないんですか? テキトーって言われるとなんとなくですが凹みます」
「そう言われてもねぇ、あんたの料理何食べても美味しいから、あっ」
「嬉しいです! リザちゃん!!」
「ち、違うわよ、美味しいって言っても普通に美味しいとかそんなレベルだからお惣菜よりはちょーーっとだけ美味しいって言ってるの、勘違いしないで――って、イチイチ抱き付くな!」
「だって嬉しいんですもん、いっつもお料理作っても『普通』とかしか言ってくれないから」
「だからってそうやって抱き付かれると変に意識しちゃうでしょ」
「意識ですか? それってリザちゃんは抱き付かれるのは嫌ってことですか?」
「嫌って、言うか、何って言うか、……とにかくあんまにベタベタするのは止めなさいってこと!」
「うぅぅ、わかりましたリザちゃん」
「だ・か・ら、『ちゃん』って言うなって言ってるでしょ!」
そんなやり取りを繰り広げてるわけだけど、たしかにリザさんのことを聞いた後だと単純に仲がいい親友と言うよりはイチャイチャしてる恋人のように見えなくもない――かな?
正直、僕にはその辺のことはよくわからないけど、1つだけ言えるのはそんな2人のやり取りを聞けば聞くだけレーネが不機嫌になってることだけは確かなようで。
「さて、これ以上身内の恥をさらすわけにもいきませんので、そろそろ終わらせますか」
いや、身内の恥をさらすことについてはレーネも負けてないと思うんだけど、思わず口に出そうになったそんな本音を押し殺す。さすがに今のレーネにそんなことは言えずに黙ってると、レーネは拳銃を取り出し、自分の姉にも関わらず躊躇なくその引き金を引いた。
銃声と共に飛び出した魔弾はリザさんのこめかみに――直撃してしまった。
威嚇射撃だろう、防御するんだろう、そう思ってた僕は魔弾が当たり倒れていくリザさんを見て驚いてしまう。
思わず『えっ』と言葉が漏れてしまう程に。
今回もここまで読んで頂きありがとうございます。
ブクマ、感想、高評価いただけると嬉しいです。
誤字脱字ありましたらご報告お願いいたします。




