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あからさまな死亡フラグ

前回のあらすじ(簡略版)


レーネはエフィを疑うもとりあえずはエフィの証言を聞く

疑いは完全に晴れたわけではなくレーネはエフィを危険人物として

警戒するようにユットに言いつつも一旦は新たな容疑者

『黒き翼』と言う盗賊団のことを調べることになったのだが・・・




ステータス画面『ユーネスト』

総合魔術レベル15

チャームレベル20

ファレムレベル3

筋力レベル5

俊敏性レベル5

その他1

ステータス画面『レーネ』

レベル???


 とりあえず、あてのありそうな足取りのレーネについて行く内にギルバーに来ていた。

「なんでギルバーに?」

「あの女が言っていた『黒き翼』についての情報を得るためです。あんな姿をしていますがマスターは結構この街では顔が広いので何かかしら知っている可能性が高いと思いまして」

「1割の嘘って言ってたけど『黒き翼』については嘘じゃないってこと?」

「たぶんそうですね」

「なんでそう思うの?」

「女の勘です」

 そんないい女感を急に出されても反応に困るんだけど、とりあえず僕は『あっそ』と流してギルバーに入りマスターに話しを聞く。

「『黒き翼』って言ったらあれよ、義賊の事でしょ?」

 マスターはカウンターの向こうからグラスを拭きながら僕の質問に答えてくれる。

「義賊って悪い人からお金とかを盗んで貧乏な人に配る人のこと?」

「ええそうよ、ユットちゃんは物知りねぇ、少し前の話だけど10人ぐらいメンバーが居て、悪徳商人とか役人とか貴族を中心に金銭を巻き上げてたわぁ、最近じゃあまり話を聞かなくなったけど」

「結構有名だったんだ。じゃあなんで最近はそんなに話を聞かないかわかる?」

「噂だとね、ダークエルフのリーダーが捕まったとか逃げ出したとかで解散したらしいわぁ」

「(ダークエルフってよくファンタジーとかに出てくるアレだよね、その人がいなくなったから『黒き翼』は活動してないってこと? それじゃあ今回の件については無関係ってことになるけど、それだとエフィさんが嘘をついてたことになるよね?)レーネはどう思う?」

「へっ? 私ですか?」

 さっきまで本気モードはどこへやら、完全にオフ状態のままカウンターで焼きそばを食べてる姿を見て僕は肩を落とす。

「いやいいよ、(レーネは気にしないでおこう)マスターそれじゃあ最近何か変わったこととかないの?」

「変わったことねぇ、そう言えば街の周辺でいくつか火事があったわね、あとは窃盗の被害が多く出てるみたいねぇ、ここにも窃盗犯を捕まえてくれって依頼がいくつも来てるわ」

「窃盗?(そう言えばエフィさんもそんなこと言ってたなぁ)ってことは『黒き翼』が活動を再開したってことじゃ?」

「それはないわぁ。だって被害が出てるところは普通の商店だったり飲食店だったりで悪い噂は聞かないし、義賊の『黒き翼』が活動し始めたならそんな小さなところ狙わないわよ」

 ん~、とりあえず情報を整理すると放火犯は『黒き翼』だってエフィさんが言った。

 だけど『黒き翼』は最近活動してなく解散したと言う噂まで流れている。

 最近、放火や窃盗が増えているけど義賊である『黒き翼』とは無関係と思われる。

 こうやって整理するとそもそもこの件に『黒き翼』は無関係でエフィさんが嘘をついてるのかな? だとしたらエフィさんが嘘をつく理由って?

「ふぅ、ごちそうさまでした。ちなみにですけど、窃盗が増えたって言っていましたがそれはどの辺?」

「窃盗のほうは街の北部がほとんどよ、今回の放火だって農作物を盗んで行ってるし」

「なるほど、そう言うことですか」

「えっ、レーネなにか、わかったの?」

「ええ、おそらくですが」

「何がわかったの? 教えてよ」

「『今はまだその時ではありません』」

 どこぞの名探偵が言いそうな台詞をドヤ顔で言い切ったレーネを呆れ顔で見ながら、そう言う奴に限ってあの時言っていれば被害が防げたのにとか次のページで死んでたとか、ありがちなフラグを建てたなぁと思いつつも面倒なのでツッコミもいれず、とりあえず歩き出したレーネ後についていく。

 街の外へ出たから『黒き翼』のアジトでも見つけに行くのかと思ったけど、今まであまり行ったことがなかった南側へ向かっていた。

「こっちに行くの? アジトを見つけに行くなら事件がよく起こってる北側じゃないの?」

「アジトは南にありますよ」

「どうしてそんなことがわかるの? なんとなくとか止めてよね」

「もしユットが盗賊団だったら1番警戒することはなんですか?」

「警戒すること? そりゃ見つかることでしょ?」

「そうです、犯罪行為を行っている現場を見られることを警戒します。日本のことわざにも『バレなきゃ犯罪じゃない』と言うものがありますし」

「そんな物騒なことわざはないよ!」

「まぁ、そんなことを言っている昭和レトロな企業や政治家が痛い目にあっているところだけ見ると良い時代になったなぁと思わなくもないですね」

「昔はそう言うことを平気でやってもバレなかったってことだもんね――って、そんなことはどうでもよくて!」

「わかっていますよ、話を戻しましょう。現場を見られることを警戒すると同時に見られた際のことも警戒しないといけません。つまりはリスクマネジメントという奴です。犯罪行為を見られれば当然捕まえようとなる訳です。その際、最もバレてはいけないものはわかりますか?」

「う~ん、やっぱり居場所じゃない、身を隠せる場所とか?」

「その通りです、盗賊団の場合アジトということになります。さて、そうなるとアジトはどの辺に作るのがベストなのでしょう?」

「見つかりにくい場所じゃないの?」

「勿論そうなのですが、その見つかりにくい場所というところが問題なのです。条件としていくつかありますが、やはり1番大事なのは目立たないところです。人が来ることも少なく、目立つような建造物もない場所が良いですね」

「それはわかるけど、それがどうして町の南側なの? 北と東はモンスターが沢山いるからたしかによくクエスト対象地域になってることが多いけど、西側だってほとんど人が行き来しないよ」

「西側の可能性もなくはないですが、犯罪者の心理的に犯罪が起きた場所、つまりは現場周辺を調べられます。私たちもそうしたようにね。そして事件の多くは北側で起きているとなれば少しでも遠くにアジトを作りたいと思いませんか?」

「ああ、なるほど、北のほうで事件が多いのは逆に言えば自分たちのアジトが遠い場所、つまりは逆サイドにあるっていうことか」

「ええ、おそらくは、そして最初の条件である目立たない場所というと、比較的モンスターも少なく拾えるアイテムもショボい、あの『ナントカ城、跡地』がアジトに違いありません」

 レーネが指した先には生い茂る木々に隠れるように城跡らしくないボロ小屋のような建物が建っていた。

「おお! って、『ナントカ城』ってなに?」

「さぁ? 忘れました。城の名前とか長いし似たような名前ばかりで覚えづらいですよね」

「(せっかく数少ない格好つけられるところだったのに、締まらないなぁ)それで、どうするの? たしかにアジトっぽい物はあるけど、本当に盗賊団のアジトかどうか調べるには中を見てみないとわからないけど迂闊に近づくのは危険だし」

 こういうのは侵入者対策として罠とかが設置されてることが多いし。

「たしかにこれ以上近づくと危険ですがここは境界線の外側のようですから大丈夫ですよ、とりあえず私が様子を見てきますのでユットはここで待っていてください」

「えっ? 境界線ってなんのこと? いやいや、それより1人で行くのは危ないよ」

「私なら大丈夫です、きっと帰ってきますから、……この件が片付いたらまた居酒屋に連れてってくださいね。約束ですよ」

「や、やだなぁ、そんなあからさまなこと言わないでよ」

「そんな不安そうな顔しないでくださいよ。ああ、そうそう、ユットに渡しておかないといけない物があるのを忘れていました」

 レーネに手渡されたのは僕の両手ぐらいの大きさの小箱だった。

「これなに?」

「ユットに似合うと思ってこっそり買っておいたものです。やはり何事も形からが大事ですから今の内に身につけておいてください、――それでは行ってきます」

「あっ、ちょっとレーネ!?」

 ふざけることもなく面倒がることもなく、いつものレーネらしくない真剣な眼差しのレーネはそう言い残すと僕の言葉を聞き流し、僕を置いて小屋の方へ歩き出す。らしくないレーネの後ろ姿に不安を抱きながらも言われた通り小箱の中身を身につけようと思い、蓋を開ける。

「こ、これって――」

 小箱の中身に驚き、視線を奪われてると、体を震わせるほどの地響きと共に熱風と赤い光が僕を襲い掛かった。

 そして僕の目に飛び込んできたのは収まりつつある爆風の中にいるレーネの後ろ姿だった。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

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