真犯人捜索クエスト開始
前回のあらすじ(簡略版)
放火窃盗事件が発生したようでギルバーにも犯人捜しの依頼が来る
そのクエストを見た面々はざわつき始める
放火された場所の農場に関係があり、火属性魔術が使える人物
ユットが最も怪しいということで取り調べを受けるために
憲兵に連れていかれたのだったが・・・
ステータス画面『ユーネスト』
総合魔術レベル15
チャームレベル20
ファレムレベル3
筋力レベル5
俊敏性レベル5
その他1
ステータス画面『レーネ』
レベル???
答え合わせをする意味もないと思うけど、どうやら町のみんなは僕が火属性の魔術を使えるということだけ知ってたみたいで、レベルが上がってきてようやく手のひらサイズになった低火力の【ファレム】だとは知らなかったみたい。
憲兵たちにステータス画面を見てもらい、放火事件の現場と照らし合わせてみればこの程度の【ファレム】じゃ、あれだけの被害を出すのは現実的じゃないのがわかった(それだけの規模を焼き払おうとしたら一晩では絶対に無理、普通に魔力が尽きるから)そんなこんなでようやく僕は釈放され、この青空の下に出れたわけだけど……。
「ユットォォ、信じていましたよぉぉ」
映画とかであるみたいな、恋人の無実を数年間信じ続けようやく事実が明らかになり釈放された恋人に泣きながら抱き付く感動のシーンを演じたいんだと思うけど、普通に泣いてない(嘘泣き)だし、健気なヒロインとして見られたいのかもしれないけど僕が疑われた時真っ先に僕を犯人扱いしたし、僕との関係を断とうとしてたからね。忘れてないからね。
「もうその演技はいいでしょ、憲兵さんたちからは離れたし、誰も見てないよ」
「演技じゃないですよ。私がどれだけ心配していたと思っているのですか」
「どっちでもいいけど、そんな風にしてもレーネが僕を真っ先に疑ったことは忘れないからね、普通に今日からしばらくはご飯抜きだから」
「申し訳ありませんでした」
予想通り、僕を疑ってしまったので出てきてしまった今、復讐(ご飯を抜かれる)されるのを恐れてあんな掌ドリルを演じてたらしい。
「もう、最初から普通に謝ってくれれば僕だってそんな怒らないのに、そんな風に誤魔化そうとするからでしょ、土下座しても許さないから」
僕が許してくれなさそうなのを見てすぐさま土下座に切り替えようとしたから先に釘を刺したらワナワナと震え始める。
「ど、どうすれば許してくれるのですか?」
「そうだなぁ、それじゃあ今回の放火事件解決クエストに協力してくれたら許してあげる」
「つまり放火魔である真犯人を見つけると言うことですか? それぐらいなら私は構いませんけど、容疑が晴れた今、真犯人を見つける必要はないと思いますけど」
「容疑が晴れたとは言っても結局今のところ1番怪しいのは【ファレム】を使える僕であることは変わらないし、町の人たちもこの事件が解決しないと僕を見る目は容疑者を見る目なのは変わらないし、今回の釈放に関しても僕を一旦自由にさせて泳がせてるだけかもしれないからね、それに――」
「それになんですか?」
「真犯人を見つけないと腹の虫が治まらない」
容疑が晴れればいいってもんじゃない、疑われたこと、擁護してくれなかったこと、その他諸々、今回の件で相当僕は怒っている、この怒りを鎮めるには真犯人を僕の手で見つけて憂さを晴らすしかない。
「なるほど、つまりユットはお腹が空いていると」
「一応言っておくけど、それは腹の虫が『鳴る』ね」
ボケで言ったのか真面目に間違えたのかわからない顔でそんなしょうもないことを言うレーネと真犯人探しをするのかと思うと改めて不安になった。
真犯人探し1日目
まずやるべきことは情報収集だと思い現場に向かってみる。
あれだけ疑われていたにもかかわらず、何気に放火された後の農場を見るのはこれが初めてだったけど、レーネが言っていたみたいに派手に燃やされてる、これだけの規模の火災が自然に起こるなんて考えられないとすぐに思うぐらい。
まぁ、だからって言ってもすぐに僕を疑うのはどうかと思うし、疑いが晴れたのはよかったけど、【ファレム】のレベルが低いから容疑が晴れるなんて、改めて考えたらダサいよね。
「なにか見つかった?」
「特には何もないですね」
「そう簡単にはいかないかぁ」
「仕方ないですよ、ユットが捕まってから今日で3日目ですし、あらかた調べられてしまって証拠らしいものや手掛かりになりそうなものはすでに憲兵か他の冒険者に回収されていますよ」
憲兵は町の治安を守るのが仕事だからこの手の捜査をするのも当たり前なんだけど、今回の場合はクエストとして各ギルドに依頼されてるから他の冒険者たちも報酬目当てに参加してるだろうから今更手掛かりになるような物が落ちてるわけないか。
「そうだ、昨日面会に来たときこの現場のことをレーネ話してたよね。それって僕が捕まってる間にここへ来たってことでしょ? その時になにか変わったこととかなかった?」
「私が来たのは一昨日でしたけど、特に何もなかったと思いますよ。多分ですけど」
「なんで一昨日程度の記憶が曖昧なのさ」
「そんな人を馬鹿みたいな言い方しないでください、単純に一昨日呑み過ぎたせいで記憶が――」
「一昨日? 呑みに行ったのは4日前だったはずだけど」
「あー、えー、そうでしたか? すみません、どうやら勘違いをしてしまっていたようですね、気にしないでください」
「まさかとは思うけど、僕が捕まってる間自由だと思ってお酒を呑んだり大食いをしたりしてないよね?」
「勿論ですよ、この私がそんなことをすると思いますか」
「どう見てもするとしか思えないんだけど、まぁ、いいや。捕まった時に預けてたカードの使用履歴を見ればどこでなにを使ってたのかわかるし」
ジェニーカードを取り出して履歴を見るためにタップしようとしたらその手をレーネが掴んで止めてくる。
「待ってください、見られると困ります」
「それって、認めてることになるけど?」
「いいえ、違います。ユットに見られると困る物を買っただけですので」
「困る物ってなに?」
「えっと、下着とか?」
「いや、なんで疑問形なの、大体今まで下着が売ってるところに僕を平気で連れて行ってるし、何なら僕に選ばせようとしてたりしてるでしょ? 今更下着位で恥ずかしがる必要ないでしょ」
「あー、じゃあ、あれです。エッチな奴です。18禁の奴。ユットにはまだ早いと言うか、そういう趣味嗜好が知り合いにバレると恥ずかしいじゃないですか、だから見ないでください」
「それが本当だとしたらこんな簡単に僕に言ったりしないでしょ(この反応からして完全に黒だね)まぁ、いいけど、どうせ使う時に残高が表示されるし、僕はレーネに預けた時の残金を覚えてるからね。もし、無駄遣いしたならすぐにわかるし、何に使ったのか調べようと思えばいつでもできるからね、関係ない話だけど、僕が取り調べされてる時によく言われたなぁ、『自白すれば罪は軽くなるぞ』って、まぁレーネには関係のない話だけど」
ジェニーカードが僕の手元にある以上バレるのは時間の問題だと気づいたのか、掴んでいた手の力がスッと抜けて、流れのまま慣れたように土下座をし始めるのだった。
今回もここまで読んで頂きありがとうございます。
6月に入り少しではありますが投稿ペースを上げようと思っています。
これからもこの作品共々新野をよろしくお願いします。
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