このヤバイのがウチのヒロインです(絶望)
前回のあらすじ(簡略版)
レーネの戦闘力を見るためにクエストを受注したが
ユットだけでなんとかなってしまい消化不良の中
モンスターを使役し戦っている天人族、魔人族を発見
こっそり見ていると流れ弾がレーネに直撃
ユットの前で倒れてしまうレーネだった・・・
ステータス画面『ユーネスト』
総合魔術レベル15
チャームレベル20
ファレムレベル3
筋力レベル5
俊敏性レベル5
その他1
ステータス画面『レーネ』
レベル???
『レーネのこめかみから液状のものが弾けて飛び散る。
目の前で起きた最悪の状況を僕は一瞬理解できなかった』
なんてことを言ってしまうとまるで普段善行らしいことを全然しないレーネが善行をしてしまったため、それが死亡フラグになってしまい僕の目の前に血だらけのレーネの死体が転がっているような捉え方になってしまうかもしれないけど、実際はこっちを見ていたレーネの横顔にモンスター方面から茶色の柔らかな塊が飛んできて、パシャという音と共にレーネの顔にスパーキングした状況だ。
「レ、レーネだいじょ――ってクッサ! なにこれ! めちゃくちゃ臭いよ!?」
なにこれと言ってはみたけど、茶色で臭い塊と言えば簡単に予想がつくだろう、僕も予想はついたけど、嘘であってほしい勘違いであってほしいと願望を込めてそう言った。
だって、もし、僕の予想通りならウチのヒロインの顔面がモンスターのフンまみれになっていることになってしまう。
さすがにそんなヒロインは嫌というかさすがに可哀想なんだけど、なんだろう、冷静になってみればみるほど普段の行いのせいか、今のこの状況、めちゃくちゃ面白いんだけど、いまにも吹き出しそうになるのを我慢してるんだけど。
「……フフッ、少し待っていてください」
あっ、これ完全にキレてる。
まぁ、この状況でキレない人いないだろうけどマジギレしてる。
僕は笑わなくてよかったぁ、我慢して正解だったって思いながら立ち上がりモンスターたちの方へ歩いて行くレーネの背中を見送った。
突然現れたレーネの姿に最初2人と2体は驚いた様子だったけど、顔面についたフンを見て全てを察したようで指を指して笑っていた。
悪戯猿は大きなフンを手に持っていたので、どうやらあれを投げて攻撃するのが悪戯猿の攻撃方法なんだろうけど、その流れ弾が当たったという訳らしい。
レーネを怒らせたらヤバイことはわかっているけど、さすがに心配だよ。あんな強そうなモンスター相手に大丈夫なのかな。
「おいおい、あの糞女こっち来るぜ」
「勘弁してほしいな、高貴な僕にそんな汚物を付けて近寄らないでほしいのだが、仕方ない、魔人族よ、この決闘を邪魔するその女を先に排除しようではないか」
「はっ、てめえに指図されるのは気に食わねえが、しょうがねえな。ただ条件がある。こいつは俺が頂く」
「ふんっ、こんな汚物にまみれた女が欲しいとはさすが魔人族だな、いいだろう好きにしろ」
「顔面にクソつけてようが洗えば喰えるだろ、使えなきゃ奴隷として売り飛ばすだけさ」
そんな下種な会話をしながらもレーネを見下して笑う2人、ああ、これなら大丈夫だね、この流れからしてレーネの聖剣がめっちゃ強くてコテンパンになるパターンの……。
そんなことを思っている間にパンッと鈍い破裂音のような音が2発したかと思うと、2体の悪戯猿は倒れていた。
レーネの右手には手のひらより少し大きい拳銃のような物が握られていて、よくよく見ると2体とも額に風穴のような穴が開いている。
うん、状況から見てもわかるようにレーネは懐から取り出した拳銃を使って2体の額に発砲して仕留めたわけだけど、一言良いかな。
いや、そこは聖剣使うところぉ!!
「な、なにが、はっ、俺の、俺の悪戯猿がぁ!」
「そんな僕のモンスターがこんな簡単に倒される訳が」
何が起きたのかわからなかったのか一瞬呆けていた2人もようやく状況を理解したのか、あっさりと自分のモンスターがやられたことに驚きを隠せない様子だ。
「信じられませんか? だったらその身に受けてみます?」
ようやく口を開いたレーネは銃口を天人族の額に向ける。
「ま、待つんだ。僕は由緒ある家柄で、こんな事すればどうなるか、わかっているのか?」
「どうなるかわからないので、やってみてもいいですか?」
完全に目が据わっているであろうレーネの姿に天人族の男は今にも泡を吹いて倒れそうな状態で、その隙に自分だけは逃げようとする魔人族だったけど、勿論マジギレ中のレーネがそんなことを許すはずがない。
1発の銃声が響いたかと思えば、魔人族の男の悲鳴のような声が聞こえ、右足を押さえながら倒れ込む。
「何逃げようとしているのですか? これ以上私を怒らせないでくださいよ」
笑顔でそう言った。まるで地獄から現れた天使のような笑顔で。
「わ、わかった、もう逃げねえ逃げねえからこっちに来ないでくれ、そ、そうだ、そのクソのことで怒ってるんだろ、だったらそれを投げたのはあっちの悪戯猿だ。俺は関係ない、俺は悪くねえぇ」
「ふ、ふざけるな! 僕のせいにして助かろうとしているだけだ! あいつが――」
「ざけんな! てめえのザコ悪戯猿がミスって投げたん――」
「どっちでもいいのですよ、そんなことは」
その一言に男たちの言い争いは遮られる。それほどまでにレーネの威圧感が半端ない。
そうして、2人はレーネに呼ばれ並んで正座させられる。
「それじゃあ、あなたたちには罪を償ってもらいます。口を開けてもらっていいですか?」
レーネは顔に付いたフンを手で拭いながらそう言ったので男たちは察してしまい頑なに口を開けようとしない。
「開けないならこれで穴を開けるしかないのですが? どっちがいいですか?」
顔を拭った逆の手に持っている拳銃を魔人族の男の口に向けると男は恐怖に震えながら口を開けた。
「フフッ、味わってくださいね」
レーネは容赦なく魔人族の男の口の中にフンを叩き付ける。
あまりの悪臭と食感に吐き出そうとした瞬間『吐き出したら、どうなるか、わかりますよね』そう言われ、両手で咄嗟に自分の口を塞ぐ。
「さて、次はあなたですね」
同じように残ったフンを拭い、口を開けるように仕草で催促する。
「ま、待ってくれ、それだけは勘弁してくれ、金ならある。1万か? 5万か? なんなら10万でも――」
そんな男の言葉に耳を貸さないと言わんばかりに『も』のタイミングでフンを投げつけ、口へとねじ込んだ。
「ああ、すみません。あまりに口臭が臭かったので思わずフンで蓋をしてしまいました。まぁ、あまり食べず嫌いは止めた方がいいですよ。臭いもの同士ですし、飲み込んでみたら案外いけるかもしれませんよ」
そんな言葉も天人族の男には届いては無いだろうあまりのことに気絶しているようだった。
「さてと、お金くれるって言っていましたよね? だったら代わりにこれクリーニング代として貰っていきますね?」
レーネはそう言うと天人族の男が身につけていた3つ指輪を奪い懐に入れる。もう、やっていることは野盗と何ら変わらない。
「ああ、あと、この2体のモンスターもらってもいいですか?」
「こんな、死体、どうする気だ?」
辛うじて意識のある魔人族の男にレーネが尋ねると、そんな風に返してきたのでレーネは笑顔で答える。
「心配しなくても死体で欲求不満を解消したり奴隷として売ったりしませんよ。解体して食べるだけですよ。余ったら売ればいいだけですから」
そう言って2人の前で聖剣をようやく使い(絶対使いかた間違えてるよ)モンスターの解体を始めた。
やることがエグイ、2人はたしかに下種だけど、あのモンスターたちは2人にとってはペット見たいなものなのにその2人の目の前(1人は気を失ってるけど)で解体するなんて容赦なさ過ぎる。
「さすがにここで解体しなくてもいいんじゃない?」
見かねた僕はレーネに近寄りそう言ったのだけど、レーネは首を僅かに傾げる。
「何を言っているのですか? ここで解体しないとここで食べられないですし、町まで持って行けないじゃないですか、あっ、肉を焼くとき【ファレム】お願いしますね」
曇りのないキラキラと輝いているようにさえ見える目でレーネはそう言った。
改めて思った。
このヒロイン、マジでヤバイ。
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