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受付嬢のテッソクっ! ~ポニテ真面目受付嬢の奮闘業務記録~  作者: 空戦型
十三章 受付業務休止中!?

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120.メガネさんと呼べ

『お待たせいたしました!! ショゴウス対策が算出終了しました!!』


 アトス中枢コンピュータだった存在との戦いに決定打を打てずにいた白狼女帝、遷音速流、紫術士の三人の下に、オペレータのメガネから吉報が齎された。


「おう、待っておったぞ!! 対策とやらを申してみぃ!!」

『はい! それは――!!』


 受付嬢随一のインテリ、メガネは説明、方法、結論の順に説明していく。本来は結論から入るべきなのだろうが、彼女はそれよりも聞く側の『納得』を優先したのだろう。結果としてそれは正しく、三人は自分たちがなんの役割を果たすべきかを正確に理解することが出来た。


「フム……二つ目はワガハイより紫術士向きだ。任せるよ」

「任されました。ご心配なく、あれから相応に鍛えましたので」

「さて、妾の役目はなかなか策の要ではないか。ヘイムダールとやらと戦うために残らなくてよかったのう?」


 今、会話している間にも間断なくショゴウスから数多の砲撃と妨害が繰り出されている。これほど長時間の砲撃に晒されたことで三人とも完全に無傷とはいかず、衣服や肌に攻撃が掠って負傷している部分もあった。


 元来自己治癒力の高い白狼女帝はまだしも、残り二人は厳しい状況だ。最低限治癒はしているが、このまま続ければ、最も身体的に劣る紫術士を始めに瓦解するのは明白だった。


 その作戦は何もかもがギリギリで、しかも万が一ここに神具所持者が二人おらず、白狼女帝もいなければ実現不可能という酷い有様だった。それでも、勝機は勝機。三人がこのまま力任せに戦っていれば決して届かなかった乾坤一擲の策だ。


 三人は示し合い、そして即座に行動に移す。


「そーらそらそら、玉突き遊びじゃ!!」


 白狼女帝はショゴウスを一切無視して巨大な氷の玉をギュウギュウに、大量に生産すると、本当に遊ぶかのように無邪気に密集した氷に己の作り出した氷玉を思いっきり投げつけた。衝突した運動エネルギーは密集していた玉にバラバラに分散し、氷玉が一斉に部屋中に弾け飛ぶ。


 氷は途中でショゴウスの集中砲火の流れ弾で砕けたり、ショゴウスに接近する物体として迎撃されて砕け散るが、砕けた瞬間に氷の中から更に細かな数多の氷玉が発射され、その氷玉が大きな氷玉を砕く。当然、大きな氷玉からは先ほどと同様に細かな氷玉が多数発射され、空間があっという間に氷玉のピンボールと化した。


 ショゴウスはそれに対して攻撃するのをやめる。

 氷に含有する神秘の量からして命中したところで今のショゴウスの行動を妨げるものではないことから、この氷はショゴウスの攻撃機能を分散させる狙いのデコイであると判断したからだ。


 しかし、その判断が命取りだ。


「アロディータの宝帯よ、その真価を私に……最終決戦仕様ファイナルステージ、解放ッ!!」


 紫術士の掲げたアロディータの宝帯が光に変換され、紫術士の全身を覆う。目もくらむ閃光の中から現れたのは、高貴な装飾を思わせる帯を肩部や腰部からはためかせ、戦の最中とは思えぬ雅な姿になった紫術士。

 今ならば紫術士は耐性のない人々にその姿を見せただけで虜にしてしまう程の術を行使できるだろう。


「この力――未来の為に惜しみなくッ!!」


 魅了の力は干渉力の高さ。紫術士が神秘術を発動させた瞬間、空間を乱れ飛ぶ氷玉に内包された神秘が周囲の氷玉と結びついた。白狼女帝と紫術士の合わせ技である。


「貴様がどれほどの火力と移動速度を持っていようが、この網にかからずにいられはしないッ!!」

「氷堕・絡新婦じょろうぐも絡糸らくし……触れなばたちまち絡みつくぞ?」


 空間全てを覆う程の特大出力の氷の網に加え、アロディータの宝帯を最終決戦仕様にすることで一個人が扱える神秘量を凌駕したエネルギーが氷全体に渦巻く。

 氷の檻はそのまま内側に閉じ、中心部にショゴウスを封じ込める。

 ショゴウスはそれに抗おうと全力で抵抗する。


「GYAAAAAAAAAAAAAAA!!」


 怪物が唸るような駆動音を響かせ、ショゴウスの全ての火器が火を噴き、あらゆる空間遮断で氷の破砕を試み、全身に超高熱のフィールドを形成する。だが、アロディータの宝帯による補助は一つではない。


 引力極所集中神秘術グラビトロ・スフィアでショゴウスを中心とした一種の重力場を形成したため、蒸発した水は全て再びショゴウスに向かう。最初こそ拮抗したショゴウスの攻めは、次の瞬間には突破される。


「GOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!?」


 ――ヘイムダールには超高熱のバリアを纏う機能が元々備わっていた。

 しかしショゴウスの母体となったコンピュータはむしろその逆、冷却が常に必要な部位。様々な機械を組み合わせてバリアを展開していたが、その機能には無理があった。

 更に、最新世代の機械群はそもそも熱の発生量を抑える方向に発展した技術だ。幾らハイ・アイテールがそれを真似しようとも、科学技術で生み出されるヘイムダールの超高熱バリアには機能が及ばない。


 次第に熱はプラスからフラット、フラットからマイナスへ、熱を上回る速度で氷結していく。しかし、温度が下がってもショゴウスの攻撃はむしろ激しさを増し、レーザーが氷を突き破って白狼女帝に掠る。


 元々至近距離を通っただけで蒸発する威力のレーザーだ。白狼女帝の皮膚は焼け爛れ、自慢の白い毛並みが焦げ付くが、彼女は眉一つ動かさない。

 何故なら、こちらにはもう一人いるからだ。


「まだまだぁッ!! 最終決戦仕様、解放ッ!!」


 遷音速流が叫ぶと同時に両足のルーメスの隠靴から発された光が彼の全身を覆う。彼の全身の、清らかさと荒々しさを兼ね備えた疾風を具現化させたような造形の鎧が覆い、目元に翡翠色のバイザーが纏われた。


 その腕に、可視化する程の莫大な神秘が渦巻く。


「一転突破、悪霊廃滅ッ!! スピーラルヴォントォォォォォォォッッ!!!」


 瞬間、超高濃度の神秘術によって凝縮された彼の周囲の空気が螺旋を纏い、突撃槍のような形の旋風となって発射される。風はショゴウスの攻撃を呆気なく弾き、氷の間隙を縫ってショゴウスの躯体に到達すると同時に爆発的な風を浴びせた。


 放たれる風は周囲を揺らさず、ショゴウスに命中した風は氷を一切邪魔せずショゴウスの周囲にのみ暴風となって荒れ狂う。風の一点集中、一点収束――間違いなく、セプテムという属性神秘術の極限だった。


 強烈な風圧と極所重力、更に氷の三重の枷の圧力にショゴウスの武器がひしゃげていく。もしもここにいるのがヘイムダールであれば今頃人型を保てず全身の駆動部がひしゃげて一つの塊に変貌しているだろう。


 だが、作戦は続いている。

 遷音速流は一点集中した風からありったけの浄化の力を注ぎ、ショゴウスを動かすハイ・アイテールの力を容赦なく奪う。


 体力が有限である遷音速流と無限に出力を出し続けられる雪兎の根競べでは、遷音速流は絶対に勝利できない。しかし、このまま浄化する必要はない。


「白狼女帝ぃぃぃぃぃぃッ!!」

「かまびすしく喚くでない。準備は出来ておる」


 白狼女帝の操る氷が遷音速流の放つ暴風と接触し、氷が神秘となって混ざっていく。膨大な氷は膨大な冷気となり、混ざる程に周囲の温度が吸い取られるように下がっていく。今ここに、自然環境では絶対に成立しない「ありえない寒さの風檻」が生まれる。


セプテム収束ドゥオ変形クァトルクィンクェ支配オクト……貴様一体に捧げるには余りにも豪奢なゆりかごよ。故にそのゆりかごの中で眠るがよいッ!! アブゾリュート・クレイドルッ!!」


 気温は低下し、低下し、低下し、生きとし生ける者が永遠の眠りに落ちる最後の温度――セルシウス度-273.15 ℃へと到達した。


 そして――。


「GU……GAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」


 ショゴウスは、そもそも生物ではなかった。

 全身を砕かれながら、ハイ・アイテールの支配範囲を減らして濃度を上げる事で邪魔なパーツを破棄し、より無駄のない機械部品の集合体となってこの有限のゆりかごを耐え抜こうと足掻く。


「はい、その時を待っていました」


 あらゆる術を維持することで肉体に反動が来て体のあちこちから出血しながら、それでも、紫術士は笑ってショゴウスに近づいた。


「貴方の最大の弱点は、その機械部品そのものだ。トーレスよ、力を解き放て!! エレクトロン・スレッドぉぉぉぉぉッ!!」


 限界を超えた処理能力を絞り出し、紫術士が放つのは雷の神秘術。

 糸のように細く収束された無数の雷は一斉にショゴウスに殺到し――直後、ショゴウスの全身から目を覆わんばかりの夥しい火花とスパークが飛散した。



 ――思い出されるのは、メガネの助言。




『皆さんが戦っているショゴウスはハイ・アイテールによって操作されている元コンピュータや部屋の設備の集合体です! ですが解析の結果、その機能の大部分がハイ・アイテールによって強制的に動かされていることが分かっています!』


 そこまでは、大方そうだろうと判明していたデータだった。

 だが、これはまだ前置きに過ぎない。


『対照的に現在、中枢ユニット部分だけは莫大な電力と機能が稼働しています。しかし――そもそも、あのユニットはバラバラに組み合わされ強引に繋げられた機械の塊。アイテールが動力であろうと基本は電力で動くものです。光学兵器、力場展開、電気浮上と思しき機能、攻撃に転用されているパーツの殆どが、理論上は稼働するけれど現実的には不可能な繋ぎ方をされています』

「それをハイ・アイテールでカバーすれば機械の機能をより効率的に使えるからか……」


 ありえないものを実現する力とは、聞いただけではどうしようもなく思える。しかし実際には本来成立しないものをたった一つの要素で補っているということ。利点であり脆弱性でもある。


『よって、ここに三つの主軸で干渉を加えます! 一つ、オリュペス十二神具によるハイ・アイテールの浄化! 一つ、トーレスの神秘術による機械への強制干渉! なお、干渉の為の数列は既にお二方の神具に送信しました。そして三つ、それが――よりトーレスの術による干渉を行いやすい環境、すなわち極低温きょくていおんを作り出すことです!』

「極低温……?」


 ロータ・ロバリーでは耳に馴染みのない単語だ。

 その意味と意義をメガネは説明する。


『別名は絶対零度。寒さの極致だと思ってください。実は雷や電気は周囲の温度が高ければ高いほど金属を通る際の伝導性――効率のようなものが落ちていきます。しかも機械は電気を回路に通すことで熱を発生させるので、冷却しなければどんどん効率が落ちていくんです。逆を言えば、金属は冷やせば冷やす程電気が通りやすくなり、効率も上がっていきます。幾らハイ・アイテールに覆われていても構造は根本的に機械のままなんですから、極低温の中ではトーレスの機能は最大効率を発揮するんです! しかも物質は低温脆性といって低温になればなるほど脆くなるので干渉した瞬間にショゴウスの全身で破損が起きるでしょう』

「そんな知識どこで……!」

『えへへ、アラミスのさーばーるーむって場所がやけに寒いので色々調べてたら、いつの間にか絶対零度の知識まで行き付いちゃいました!』


 彼女の知的好奇心とアラミスの解析能力が組み合わさったことで開かれた道――彼女は無邪気に照れているが、その好奇心が作戦の内容をコンピュータの導き出した作戦を完全理解するのに繋がったことに気付いているのだろうか。


 彼女が作戦の目的と干渉の目的、原理を説明したことで、三人の中でバラバラだった要素は一つに統合された作戦となり、その為に必要な行動と補助術を導き出すことが出来た。


『おほん。ハイ・アイテールの浄化による効率低下、機械部分干渉による効率低下、物質としての強度低下……この三つを同時に起こせば、敵の動きを停止させた上で中枢ユニットを確実に破壊出来ます!』


 ギルドの一受付嬢でしかないメガネの説明が、三人には賢者の導きのように聞こえた




 そして、現在。


「感謝するぞ、メガネ! いや、メガネさん……ッ!!」

「GAGAGAGAGAGGAGAHDNAN+ODAHDINV(#GJVSP`*QRJTW={TW#JPGK*WG!?」 


 全身のあらゆる機械に浄化の力が付与された電流が出鱈目に荒れ狂い、ショートし、破損し、意図しない方向に稼働し、ショゴウスという怪物は内から荒れ狂う雷の力に絶叫するような異音を響かせた。


 白狼女帝と遷音速流はバックアップに全力を注いでる為に動けない。紫術士は維持できる最後の力を振り絞って全身を何重にも防護し、電流、疾風、冷気の荒れ狂うショゴウスのフレームに接近する。


「おおおおおおおォォォォォォォォッ!!」


 手足の代わりのように神秘を纏ったアロディータの宝帯が手足か変幻自在の触手のように宙を浮き、恐ろしい速度でショゴウスを解体していく。ある時は力任せにフレームを引き千切り、ある時は邪魔なパーツを粉砕し、ある時は沸き上がるコードやパイプを切除し、中枢ユニットへとひたすらに突き進む。


 全身の防護、術の行使の反動で頭の血管が切れ、目元を血が覆うが、もはや全身の感覚は全てアロディータの宝帯に任せている。痛みも苦しみも体を伝う鮮血も、全てを後回しにして中枢ユニットへ肉薄する。


 ショゴウスも全身を電気で破壊されながら中枢ユニットを匿おうと自らの身体を捨てて中枢にのみ力を集中させる。

 全てを攻めに注いだ人間と、全てを守りに注いだ機械。しかし、守りを中心に注げば注ぐほどに機械のフレームは唯の鉄屑と化し、押し寄せる浄化の力は相対的に強まっていく。


 とうとう、紫術士は中枢ユニットに辿り着いた。


「終ッわッりッだァアァァァアアアアアアッッ!!!」


 もはや、最終決戦仕様を含めても紫術士は極限中の極限状態。一切の余裕など存在しない。勝負を決める為、使命を果たす為に何よりも鋭い刃のように変形したアロディータの宝帯で『それ』を細切れに破壊しようとした紫術士は、そこで中枢ユニットを初めて間近で目視し――。


 数秒後、ショゴウスという仮称を与えられた機械の攻性防御機構は微塵に引き裂かれてその役目を終えた。


 白狼女帝と遷音速流は、直後にメガネから届いた「ハイ・アイテールの反応は完全に消滅しました!」という言葉を聞き届けてから術を解除し、力なく落下してくる紫術士の受け止めに向かう。


 受け止めた遷音速流は、その有様に思わず閉口する。


 元々、二人の英傑の全力の術の中に飛び込むという無茶故に負傷は覚悟していたが、負傷は二人が想定していたより何倍も酷い。防御が間に合わなかったのか、裂傷や凍傷に加えて自らの雷に皮膚を焼かれた形跡まである。


 息はあるが、戦闘はとてもさせられない。

 と、白狼女帝はその姿にふと違和感を覚える。


「おぬし、アロディータの宝帯を纏っておらぬではないか!! 何故……?」

「あ……れ……」


 震える手で真上を指差した紫術士。

 その指の先には、アロディータの宝帯が丸まった形状でゆっくりと落下してきていた。宝帯は最初から術でセットされていたのか、白狼女帝が受け止めるとふわり、と重力を軽減したように優しく手に収まる。


 そのアロディータの宝帯の中には、何かが包まれていた。

 はらり、と帯の一部が剥がれ落ち、中から出てきたものに流石の白狼女帝と遷音速流も驚く。


「これは……人かね?」

「いや、恐らくは女神と同じ……」


 そこには、この世の存在とは思えないほどに美しい顔立ちと衣装を纏った銀髪の少年が、あどけない顔で眠っていた。その姿は、どことなくアイドルを思い起こさせるものがある。

 白狼女帝は、まさか二人も見ることになるとは、とごちる。


「アトスのバックアップユニット……ハイメレのバックアップユニットと同じ人型であったのか……」

「こど、も……こわし、たく、な……ぽ、ポニー……かなし……」

『紫術士さん……まだポニーちゃんの件で責任を……?』


 ろれつの回らない口で、涙を流して、紫術士はつぶやく。

 本当ならアロディータの宝帯で身を守れば、治癒で誤魔化して戦闘続行は可能だった。しかし、彼の姿を見たことで紫術士は非情に徹しきれなくなってしまった。或いはそれは、ポニーや今まで苦しめてしまった人への贖罪や自罰的な思いがあったのかもしれない。


 それでもなお、守るために体を張った男を、遷音速流は責められない。

 きっと彼以外のアイドル陣営の誰もが、彼を無責任だと責めはしない。


「分かってる。分かってるからもう休み給え……男を見せたな、紫術士。胸を張っていいぞ」


 遷音速流の言葉を聞き届けた紫術士は小さく微笑み、そのまま意識を失った。既に回復の術をかけているが、彼はこの戦いで無茶に無茶を重ねたせいで肉体の内側もボロボロだ。機を見計らったようにメガネから伝達がある。


『……二人とも聞こえますか、アイドルちゃんから通達です』

「……聞こう」

『アロディータの宝帯を遠隔操作してバックアップユニットと紫術士の二人を安全な場所に転送させるそうです。二人はそのまま任務を続行してください』

「了解。くれぐれも、任せたよ」

『はいっ! ……ポニーちゃんもそこの二人のことを心配してますしね』

「ふむ……戦を終えたら褒美の一つでも下賜かししてやるかの」


 こうして女神陣営は一人の貴重な戦力を失った。

 しかし、これによってアトス内部の情報処理負担は大きく偏ることになる。その反動は静かに雪兎へと圧し掛かる。

 プラスとマイナスの均衡がどちらに傾いたのか、まだ結果は出ない。

アイドルの捕捉情報:バックアップユニット

今になって思えば恐らく、わたしの躯体はアトス・ポルトス・アラミスのバックアップユニットを参考に作られたのかもしれませんね。バックアップユニットはスタンドアローンの機構になっている上に、絶対に外部から干渉されるわけにはいかない性質のものです。わたしも詳細は知らなかったくらいです。

高度な自己判断能力、自衛能力を有し、周囲に好意的な印象を与える外見にすることで現地文明でも無碍に扱われないようにする……そうすることで自分の内部にあるデータを守るというのが主たる設計思想だと思われます。


……えっ、今のは私自身が優れた能力を有し愛される姿をしているという自慢では、ですか? いえ、そのような意図は……イイコ、何故舌打ちをしたのですか? テンネンだから? そしてポニーは何故そのような生暖かいと形容される視線を私に?

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