プロローグ
その日も受付嬢のポニーちゃんは日が昇り始めた頃に目を覚ましました。
ポニーちゃんが住んでいるのはギルド支給の職員寮。一軒家を持つ余裕のない18歳の彼女にはうってつけの場所です。異性の連れ込み禁止などの規則はありますが、基本的に真面目なポニーちゃんはルールを疎ましく思ったことは余りありません。
ポニーちゃんは一度大きく伸びをして、はふぅ、とため息をつき、ベッドを降りて顔を洗い、身だしなみを整えます。毎日の仕事服であるギルド制服は数着をローテーションで洗いながら着ていますが、ポニーちゃんはそのデザインが結構可愛らしいところが気に入っています。
ただ、誰の要望なのかは不明ですが足や腰のラインを強調するデザインなので迂闊に太れないことが唯一の欠点でしょう。
栗色の長い髪を櫛でしっかり梳き、いつものようにポニーテールに纏めます。自分で思うのもなんですが、なかなかに綺麗な自慢の髪だと自負しているさらさらの髪です。才能でも美貌でも負ける姉に唯一勝っているかもしれないと自惚れる程度には大切です。
ギルドの仕事はなかなかのハードワーク。朝食を抜いて乗り切れるものではありません。ギルド支給の朝食プレートを取りに行ったポニーちゃんはそれを素早く咀嚼し、飲み込みます。早食いだと指摘されることもありますが、これはギルド全体の人が患った職業病のようなものです。
ギルド受付嬢たるもの身だしなみも大切。服と髪型だけでなくお化粧やちょっとした香水も、冒険者達と長時間接する上では大切になってきます。厚塗りしないナチュラルメイクは、貴方ならそっちの方がいいとアドバイスしてくれた化粧得意の先輩に教えてもらったものです。
もちろん、仕事に行くのに忘れ物など論外です。バッグの中身を確認します。お気に入りのペンに使い古した手帳、お財布、ハンカチ等々……ヨシ! と確認し終えたポニーちゃんはバッグを持って部屋を飛び出しました。
本日は快晴。絶好の冒険日和です。すなわち、冒険者をサポートする受付嬢にも同じことが言えます。
今日も冒険者たちがどんどん押し寄せるお仕事の始まりです。
※主人公の名前から分かる通り、名前はみんなこんな感じです。
※基本、ポニーちゃん視点の一人称で、ポニーちゃんの台詞は全部地の文に入れます。
※この小説には作者が別サイトで書いた小説の設定を流用しているので、もしかすれば見覚えのある人がいるかもしれません。
簡単な注意書きは以上です。