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グラード物語 ~Grado's tale~  作者: 木の公
第1章
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彼について

初投稿です。

「少年」の世界は、とてつもなく狭かった。

目が覚めると父親とともに畑に向かい、畑を耕す。昼になれば母親の待つ家に帰り、家族三人で食卓を囲む。食事が終われば再び畑に向かい、作物を収穫する。そして、時折村に訪れる商人に作物を売る。家族とともに働くことも、畑での作業も「少年」決して嫌いではなかったが、退屈さを常に胸の内に抱えていた。


 退屈な日常の中でも、商人や村の魔導士から聞く、火の国の屈強な兵士の話や水の国の美しい街並み、土の国の雄大な山の数々の話などの外の世界の話は、「少年」とっては心地よい刺激で、「少年」は外の世界への憧れを強くしていた。


「強くなれば国の兵士になれる」


 10歳の頃、村の魔導士からその話を聞いて以来、「少年」の憧れは決意に、刺激は希望になった。それ以来、少年は村の魔導士に魔法の手ほどきを受け、我流ではあるが、武術の訓練を始めた。


 幸い、「少年」には才能があった。15歳の誕生日には、少年の剣の腕前は村で一番になり、魔法の腕前は、師匠である魔導士に次ぐ程になった。加えて、「少年」は皆に好かれていた。幼少の頃から、少々粗暴な面はあるが、困っている村人には手を差し伸べ、商人が村を訪れれば次の目的地までの護衛に参加していたため、村の周囲では名が通るようになっていた。


 16歳の誕生日、「少年」は「青年」となり、村を出る決意を固め、風の国の兵士となった。軍の実態は「青年」の想像とは違い、規則と訓練に塗れていた。「青年」はかつての憧れや希望を胸に秘め、新たな日常を過ごしていた。


 現在、「青年」はファスタ島に向かう船に揺られている。「青年」の名はナギ・グランツ、かつての「少年」は、初陣の場に向かっていた。


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