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運命の人  作者: 喜多蔵子
10/25

10 結婚しました。

今回も短いです。ごめんなさい。

 結婚式当日。


 式で着る白いドレスはクロエの母の形見のドレス。元々は母方の曾祖母のドレス。少しだけ手を加えているが、見る人が見れば一級品だと分かる。このドレスを着るのが子供の頃からの夢だった。

 バージンロードを父に手を引かれながら歩く。一回ドレスを踏んでしまったが、スカート部分は広がっているので、うまく誤魔化せた。

 歩きながら回りを見る。

 新郎側の席にはアナ側妃とその弟のフランクール伯爵、フランクール伯爵夫人、王の名代としてアナトール王子。

 新婦側の席には叔父、叔父の妻、パメラ、エヴァ。


 従兄のウィリアムは王立騎士団に所属しており、訓練のため4ヶ月ほど辺境に行くことになり、来年の1月か2月ぐらいまで戻って来ないので不参加。


 正面に立っているアレクシスを見る。

 王族特有のナチュラルブロンド、空色の瞳、何度見ても美形。

 もう一度瞬きをして見直して見る。やはり美形。


 これは夢ではないらしい。


 父から離れ、アレクシスの横に。

 アレクシスと視線が合う。砂糖菓子のような甘い視線。

 クロエの心臓は鼓動が速くなり、息が苦しくなる。


 そのまま誓いの言葉、指輪の結婚、そして・・・・・。



+++++



 式が終わり、カントリーハウスで披露宴。館の中庭を開放し、領民達も招いての大宴会が始まる。周辺の貴族達も披露宴に参加する。

 アレクシスとクロエは挨拶回り。

 挨拶回りが済むとクロエは直ぐに自室に戻った。


 ドレスを脱ぎ、風呂に入る。入念にマッサージ。薄い寝間着に着替え寝室にて待つ。


「今日は本当に来るのかしら。」

 寝台の上でアレクシスを待つのも恥ずかしいので、ソファーで待つ。

 開放している中庭からの騒ぎ声が窓から聞こえる。多分朝まで宴会は続くだろう。

「出来れば初夜は明日以降にならないかなぁ。今日は疲れた~。」

 部屋で一人でいるとついつい独り言を言っていまう。


「出来れば初夜は今日お願いしたいのですが。」

 後ろから声がする。驚いて後ろを振り向くとアレクシスが立っている。

 どうしてこの兄弟は黙って後ろから声をかけるのだろう。


「お疲れ様です。少し酔っていますか?」

 アレクシスは顔をほんのり赤くしていた。

「少しだけ。」

 よく見るとアレクシスも寝間着に着替えていた。どうしよう。

「クロエ、出来れば初夜は今日お願いしたいのですが・・・・無理強いはしたくないのです。・・・・・・無理・・・でしょうか?」

 微かなお酒の臭い。声は弱々しい。

「無理・・・・ではないのですが、まだ実感がなかったもので・・・。」

「でも、兄には子作りのため、次の社交シーズンは王都に行かないと言ったのでしょう?」

「ええ、面倒臭いことに巻き込まれたくないもので・・・・。」

 アレクシスは小さく吹き出す。


「面倒臭いかぁ。クロエらしい。

 エリザベートの件は申し訳ないです。一番上の兄であるアルフレッド兄様もアナトール兄様も心配してくれています。

 今となっては、何故エリザベートに恋をしていたのかわからないのです。

 確かにエリザベートは美しいです。

 でも、それだけでした。

 領地のことも、植物の話しも、なに一つ、話がかみ合ったことがなかった。

 彼女が話すのは流行のドレス、流行の宝石、そして、美しい自分にどれだけ賛辞をくれるか、贈り物をくれるか、それだけです。

 当時の僕は、嫌われないよう必死でした。」


 クロエはアレクシスに近付き、その両の手を握り締める。そして、アレクシスにの目をしっかり見ながら言う。

「美しくもないですし、流行を追いかける能力もありません。ふつつか者ですが、これからよろしくお願いいたします。」

 そして、にっこり微笑む。

 アレクシスは、その笑顔を見て、耳まで真っ赤になった。

「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」

 神々しい笑顔で答える。


 アレクシスはクロエを抱き上げ、仲良く一緒に寝台へ。


 二人の初夜はつつがなく無事に終了いたしました。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 初夜はつつがなく無事に終了いたしました。 なろうであって月ではないのが残念。興味あるある!
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