1 私の隣に誰かいるみたいです。
ちょっと慌てて完成させましたので、おかしいところがあるかもしれません。更に第1話は短めです。
主人公クロエの、のんびりとした日常や友人達との噂話を中心に進みます。
話自体はとくに山があっても高くなく、谷があっても深くありません。
全話完結予約投稿済みです(本編23話+番外編2話=全25話)
目を覚ますと見たことのない天井。
カーテンが開いていないので部屋は薄暗い。しかしやはり見覚えがない。クロエは、何故、自分が見覚えのない部屋の寝台で寝ているのか分からなかった。
「昨日・・・・舞踏会に出て・・・。」
昨日の行動を思い出してみる。
王宮舞踏会に行く。
エスコートしてくれた父と挨拶回りの後に別行動。
仲のいい友人達と楽しいお喋り。
ダンスフロアに従兄のウィリアムが、噂の恋人らしき人と一緒にいるのを見つける。
ウィリアムを追いかけてダンスフロアを出て、廊下を歩く。
そして、廊下の横の庭で二人がキスをしているのを見つける。
「確か・・・・結婚してくれ・・・・・って言っていた?」
クロエは考えることに集中していた。
集中しすぎて部屋の中に人がいること、正確には、クロエが寝ている同じ寝台に人がいることのに気付かなかった。
だから、突然、横から声をかけられてびっくりした。
「もちろん、責任をとる。結婚しよう。」
視線を部屋の天井から声がした左側へゆっくりと移す。
人がいる。声からして男の人。
「おはようございます。身体は大丈夫ですか?」
丁寧な話し方。いたわりと優しさを感じる声。
視線だけ左側を向いていたクロエは首ごと顔を左側へ。
部屋が薄暗い為、はっきりとした顔は分からない。しかし恥ずかしがっている雰囲気がする。
じっと見る。
暗闇に目が慣れてきたら、うっすらと頬を赤くした男の人がいることが分かった。
男の人が目を逸らす。クロエは男の人の視線の先を一緒に見る。
布団がある。
そこではじめてクロエは覚醒した。
布団を持ち上げて自分の身体を見る。
服は着ていない。
生まれたままの姿。
勢いよく布団を元に戻して身体を隠す。
慌てて、左側にいる男の人を見る。
布団から肩が出ている。鎖骨が見える。色っぽい。
クロエは声を発することなく再び布団に沈んで意識を手放した。
今回は登場人物紹介はありません。