混沌
「あー! もうなんかわけわからん!」
「確かに複雑になってきたな、やはり人数がいればそれだけ考えも違う」
「それも神の意思なのです」
ブレインが諭す。
「ん?待てよ?ブレインって第一分岐点のマシュランプだろ?」
「あー! もうなんかわけわからん!」
「確かに複雑になってきたな、やはり人数がいればそれだけ考えも違う」
「それも神の意思なのです」
ブレインが諭す。
「ん?待てよ?ブレインって第一分岐点のマシュランプだろ?」
「はい」
「で、アダム?」
「はい」
「え?じゃあ、ブレインの子供が俺達?」
「はい」
「それっておかしくね?だったらブレインがマシュランプ、俺らはマシュランプジュニアじゃん!」
確かにそうである。
「いえ、考えを統一するため言って起きます。ボクも他のマシュランプもボクと同じ状態で【発生した世界のバグのような存在】だと思ってくださいです」
「じゃあ、俺らは両親がいない?」
「……はい」
『え?』
全員が口を開けたまま機能が停止したアンドロイドみたいな顔をした。ただ一人ブレインを除いて。
「それでは、生命とは何か?フランケンシュタインでも見に行って見ないですか?」
「ちょっと待てよ! 俺達は何か?家族との思い出も作り物ってのか?」
「俺には友達がいた! その友達は家族と会っている! 家族がいないなんて有り得ない!」
もはや混沌。マシュランプが自我を押さえきれなくなってきた。
「ブレインの、アダムの子が俺達なら俺達はマシュランプじゃないじゃん!」
「あの思い出はなんだったのか?」
「はて?わしは小さい時どうだったかのう?」
などなどと。しかし、一人のマシュランプは仮説を立てる。
「もし、もしブレインの言うとおりならブレインが神なんじゃねえか?」
「えっ?」
「考えてみろよ。誰もいない大地にただ一人、しかも女性なくて子供、俺達を作る、伝説を築こうと言ったのも、伝説に他の奴等を巻き込まずマシュランプだけで遂行、こりゃ神だぜ」
「いや、タイムマシンは俺が作ったんだ、それがなきゃブレインだって……」
しばらくの沈黙の後で、ブレインが言った。
「じゃあ、人類より遥か昔、生物の誕生からタイムマシンで見てくださいです」
それは、ブレインが明らかに態度を変えた発言だった。
「だからよ、神が万能なわけないじゃん?」
「どういう事だ?」
「神って人間の間でしか生まれてないんだから人間の理想ばかり詰まってるんだと思うだろ?理想って何?」
この質問は意外だった。神は何でもありなのが理想なら災害や戦争は起こらないというものだ。
「やはり、神なんていないのではないだろうか?」
「まてよ……」
マシュランプが気付く。
「伝説を作らなかったらどうなるんだ?」
その瞬間、無限に分岐が生まれた。
「まてよ……」
マシュランプが気付く。
「伝説を作らなかったらどうなるんだ?」
その瞬間、無限に分岐が生まれた。




