表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

プロローグ;一般生徒と特殊高校

遥か昔、神々は地球を創造した。

星ができ、海ができ、大地ができ、生命を生み出した。

単純だった命は次第に複雑化し、人が誕生した。

神は人に知恵を授け、人類は今もさらなる進歩を遂げている ― が、ここに間違いがある。

現在この星で暮らしているのは、人類だけではない。 神も、その内に入っている。

神であったものも、地球人として暮らしているのだ。

ただし、一つだけ違いがあるとすれば、神には、それぞれが持つ能力スキルが存在していた。火の神なら火の、医神なら医学の、という風にである。

この星で、人類と神は対等な立場で共存していた。

しかし、長い年月を経るにつれ、スキルを有する者は自らを「優等」という見方をし始め、スキル保有者を<ジーニアス>、非保有者を<ウィーク>と呼び、基本能力のない人類を下に見るようになっていた。


2065年、政府は体に着装しスキルを科学的に最大限強化、活用、制御可能にするサポートアタッチメント、通称”ギア”を開発。 これにより、人間とスキル保持者の立場の溝はより大きくなった。



スキルは15歳になったころ体に”診えて”くる。

人々は15の時に診断を受け、潜在能力の有無を確かめる。 ”見込みあり”と判断された場合、は見つかった才能を引き伸ばすため、特殊高校への入学となる。

名前を”アポカリプス”。「優等生」だらけの学校。毎年四月になると、新たな<期待の>人材が多く集まってくる。

そして今年も―




「ちぁ~す」


全く言葉になっていない「行ってきます」という意味のあいさつで、俺は家を出た。

自転車置き場へ行き、深呼吸。荷物を背負い直して自転車に乗る。

分かってる。家の敷地内でまでそんな緊張など”普通なら”しなくてもいいと。

それでも俺は、今日から始まる「普通じゃない」生活に緊張せずにはいられない。



俺― 夜盗やとう 創守つくもは今年16になる普通の人間だ。名前以外は。

人によって何を普通と定義するかなんて、誰しも違うだろう。しかし、そのことを考慮に入れたとしても、やはり俺は普通としか言い表せないだろう。名前以外は。

これと言って秀でた特技があるわけでも無く、ただ誰かに言われた通りに生きている。そのくせ愚痴なら一人前という有様だ。これを普通といわないなら、なにを普通といえばいいのか知ってたら是非連絡いただきたい。

今年の1月、能力の診断を受けた。 結果はまあ「見込み0」。 しかし、この結果の表現は酷過ぎやしないか?「0」ってなんだよ?変なところで人の心をえぐるような表記するなおい!


正直、少し期待していた。本当は自分にも何かきっとあるんじゃないかと。けれど、結果はこの現実だけだった。

残り2か月の中学生活は話したくもない。「あれは俺の黒歴史になる」で察してもらいたい。

そんなわけで、俺は今のままで生きていくつもりだった。はずなのだが―



海沿いの坂を駆け降りる。見えてきた。超弩級に巨大な敷地、その中にあるたくさんの施設、登校している生徒もちらほらおり、その体についている装置。 

2071年4月8日、今日は俺がこれから3年間過ごす学園―アポカリプスの入学式の日である。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ