童話コメディシリーズ(4)『表島太郎の物語 (後編)』
太郎は、はっと目を覚ましました。それはたいそう長い間、夢をみていたかのような感覚でした。
「なんだ・・・夢か。変わった夢だったなあ。まるで映画の世界みたいだった。」
時計を見るともう7時半を過ぎていました。太郎は急いで身支度を済ませて、家を出ました。
太郎の部屋の机の上には、黒い漆塗りの箱が置いてあり、その中には“乾燥した草”が入っていました。
太郎が学校につき教室に入ると、自分の席に見知らぬ生徒が座っていました。
「あ・・・あれ?君はだれだい?そこは僕の席なんだけど・・・」
「あぁ?何いってんだお前?ここはずっと前から俺の席だろうが。まだ寝ぼけてんのか?」
「そ・・・そんな。昨日まで僕がその席に座っていたよ。」
太郎がそういうと、席座っていた生徒はばっと立ち上がりました。
その背丈は、ゆうに180センチを超えていました。
「おいてめぇ!!俺に口答えすんのか!!この桃田太郎様によぅ!!」
太郎がふと周りを見渡すとどの生徒も知らない顔ばかりでした。太郎はまさか本当にここは自分の席じゃないのかと思いました。
「おいてめぇ!!しかとこいてんじゃねぇよ!!びびって声もでねぇのか!!」
すると教室のドアが開き一人の教師が入ってきました。それは太郎の見覚えのある一学年下のクラスを受け持っている教師でした。
「あっ先生!!ここは3年B組の教室ですよね!?ぼ・・・僕の席はどこにいっちゃったんですか?」
教師は太郎の顔をみると驚いた表情を浮かべました。
「君は表島くんじゃないか!!やっとで学校へきたのかい!?」
太郎は状況が把握できなくてキョトンとしていました。そして、どういうことなのか教師にたずねました。
「どういうことかって?そりゃあ君、突然、不登校になってしまって卒業試験を受けてないから、君はもう一年ここに通ってもらわなきゃならんってことだよ。まあつまり留年だな。」
太郎はその言葉に愕然としました。ガクンと膝を床に落とし、留年という言葉が太郎の頭のなかで何度も繰り返されました。
そして後ろのほうでは、「てめぇ!!!しかとこいてんじゃねぇよ!!俺様を誰だと思ってんだよ!?」と桃太郎が怒鳴っていました。
めでたし、めでたし。
読んでいただきありがとうございます!
今回は、いままでのシリーズに登場したキャラを出してみました!!
今後もこういう形で話をまたいでキャラを登場させていこうと思っています!!
だからといってとくに前回までの話を読まないと内容がわからないというわけではないので是非ご安心ください!