前が見えません
任務完了という文字を見てホッとした瞬間に、目の前が真っ暗になりました。文字通りに……。
何故かとっさに目を瞑った俺。
直ぐに必要ないなと思い、瞼を開く。
「ってえ!」
しかし少し前の行動で正解だった。開くべきではなかった。
今物凄く変な声が出た気がしたが、内心は「目がっ、目があああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
という感じになっている。
驚きのあまり、うまく発声できなかったに違いない。
この心の声を聴けば大体分かってくれる。と思うが一応説明をすると、眩しかった。
目を開けた瞬間にフラッシュを焚かれた感じだ。
チカチカする。
今の発光で辺りが明るくなったみたいだが、俺の視界は悪くなった。
ああやだな、涙が出てきた。
「……オメデトウゴザイマス」
いったい誰? 人の不幸をそんな風に祝うのは。
というか、いつから居たんだろ。
***
「オメデトウゴザイマス」
と、勇気を出シテ話しかけてみまシタ。
コノ場所へやって来る人ハ特別ダ。沢山いる人の中カラ選ばれたのダと、マスターが言っていまシタ。
選ばれるのハ、凄いこと。エラいこと。嬉シイことダと教えてもらいまシタ。
ソれなのに私の目の前に居る彼ハ、どうシテうずくまっているのデショウ?
クエストでダメージを受ける事ハ無いハズ……。
手で顔ヲ覆っているので表情ハ見えマセン。
デモ喜んでいるト思いマス。
ダッテ、選ばれたんデスから!
嗚呼、喜んでイルそのお顔ヲ見せテホシイ。
「オメデトウゴザイマス」
返事ガなかッタので、もう一度言いマシタ。
今度ハ聞こえた様デス。
彼ハ私を指差シテ返事ヲシテくれマシタ。
「お前、一体何言ってるんだよ意味わかんねえよ!」