世界の状態その1
バカ兄貴のせいでこの世界がゲームの様に造り直されてしまい、俺は大変な思いをする事になった。
優しいお前らならどんな事が起きたのか、聞いたりはしないよな。
もう皆が知ってるなんて気のせいさ。
どう造り直されたのかというとまず、街並みが以前と違う。
伝わりにくいと思うが、頑張って想像してみて欲しい。
建物の外見は煉瓦を使ったお寺や神社に変わっていて、元ビルだった建物は城みたいになっている。
しかし何故か近所のコンビニだけはそのままだった。
煉瓦の色は黒とか白がベースになっているから、異様な光景の筈なのに景観が崩れないという混沌な状況である。
木造でなくなった変わりなのか、建物の間に木々が青々と茂っている。もうちょっとした雑木林状態だ。
道はアスファルトから石畳になっているから、これで和装をすればいい時代劇が撮れるに違いない。
東京タワーやスカイツリーは巨大な桜の木になっていて、既に建物ではない。
ちなみに綺麗な桃色に咲き誇っている。
生い茂った木々や桜の木。
それらが、新年2日目だという現実を盛大に裏切っていた。
少しでも現実を忘れないよう、俺はマフラーをきつく巻き直したのである。