世界の名前と、タイミングを伺っていた物。
「幼女ちゃんはどんな感じ?」
「道具屋さんに気に入られて、その孫娘とイチャイチャしてますね」
「よし。録画だ!」
「はい。既に」
「さすがだな。しかし、どんな話しをしてるんだ?」
「後継ぎの話しですね。幼女ちゃんも反応に困ってますね」
「それはそうだろう。その話しだけか?」
「そうですね。今のところは…………あ。今この世界の地名とか、邪呪霊とかの情報を話してますね」
「そういえば、あちらの大陸にもしっかり名前があるんだったな。向こうの名前の付け方は、王道物語に出てくるような物も多いから、我々が付けたと勘違いしそうだな」
「実際にプレイヤーは、あっちの世界をつくったのは、すべて私達だと思っているでしょうね」
「だろうな。我々は管理者であり観察者、そして案内人かな。アイテムをつくり、プレイヤーをつくり、そして物語をつくることは出来る。しかし、それだけだ。それに、あちらの世界の人々は、我々のことを知ってはいるが、それは創造者でなく、管理者としてだ。まあ、その認識で間違ってないし、この関係が最良だろうな」
「いい得て妙ですね」
「だろう? 創った彼女本人は、何処吹く風だがね」
「信頼されている。と思えば良いのでは?」
「だな。そうしよう」
「それにしても、地球よりは小さいとはいえ、世界を創ってしまえる彼女は、人智を超越した存在ですね」
「確かに。………彼女は『私は0を1にしただけで、他は貴方たちの力だよ。』と、言っていたが、0を1にするのは、1を100にするよりも遥かに困難だ。彼女には、それを容易く行える力がある」
「彼女は、本当に何者なんでしょうね」
「さあな。人とは起源が異なる者。いや、起源そのものかもな。…………まあ、考えても答えが出ないのが、答えかな」
「そうですね。………あ、幼女ちゃんの話が終わりましたね」
「条件はクリアか?」
「すべて、それも複数クリアしてますね」
「ならよし。って、複数!?」
「はい。複数です」
「う~ん。アイテムはすべてで、称号は最終的に取得する物に変更。他の称号は取っておいて、他のプレイヤーにもチャンスをつくろう」
「はい」
「それと、私の独断と偏見で、これもあげよう」
「いったい何をあげたんですか?」
「称号と、初期装備のレベルアップと、早着替の技能宝珠と、白い傘だ」
「何をしたいんですか。それと、幼女ちゃんが、『これはいいのか』と、驚いています」
「よし。ならばメールで〈大丈夫だ! 問題ない!! 可愛いは正義! ロリこそがジャスティス!! そして、いちゃいちゃムービーは録画済さ!!!〉、っと、送信!」
「やりますね」
「やりますとも」
「そういえば、マジックゴーレムまで辿り着きましたよ」
「予定よりも、遥かに早いな。どんな感じだい?」
「倒せないようですね。条件クリア前に、ボスまで行ってしまいましたから。スムーズに進み過ぎたせいで、大事な場所を通り過ぎていますからね」
「確かにな。意外とβテスターよりも、正規版からの方が、先にクリアするかもな」
「ええ。今のところは、βテスターではクリアための条件に、気付きそうにないですからね。少し弱くしますか?」
「そんなことはしなくてもいいだろう。それに、いきなり弱くなっては、一段最初に到達した人に悪いだろう。第一、普通に進んでいれば達成できるレベルの条件だ。そのうち気付くだろう」
「そうですね」
「まあ、幼女ちゃんだったら、問答無用で倒せるが」
「それはそうですけど、幼女ちゃんは向かう気はない様ですね」
「マイペースな性格なんだろう。それに、今すぐにクリアできても、【エレスト】には入れないことを、幼女ちゃんはそれを知っているからな」
「そういえば、聞いてましたね」
「そういうわけだ」
「そういえば、精霊祭と同時に行うリリースアップデートは、予定通りで問題ないですよね。変更はないと聞いていますし」
「ああ。問題ない。ただ、一部追加が、あるかもしれない」
「追加ですか? 何をでしょうか?」
「予定では、職業と職業特殊技能、それに新スキルだけれど。これに、加護を追加する。それと、職業を、主職業と副職業の2つにする」
「加護ですか?」
「そうだ。精霊に与えられる、あれだ」
「それって、向こうの世界の人が、必ず持っているものですよね?」
「その通り。ただし、あちらの住人ではないから、加護を貰うには、大精霊以上の存在に認められる必要があるけれどな」
「それって、結構困難なのでは?」
「確かに他に比べて困難だ。故に追加要素として、最適だと思わないか?」
「確かにそうですね。それで、主職業と副職業と言うのは?」
「文字通り、主の職業と副の職業だ」
「それは、わかります。詳細を聞いています」
「お、おう。そうか。それで、主職業と副職業の違いは、上位職に進化できる回数だ」
「進化できる回数ですか?」
「そうだ。主職業は四次職まで、副職業は基本的に二次職が上限だ」
「なるほど」
「よし。納得してくれたから。この方向で、会議に出そう」
こんな感じで、追加要素は増えていくのであった。
さあ、どこまで増えるのか。 それは、まだ、誰も知らない。もとい、わからない。