幸運と言う名のモノは、想像を超え易い仕様です。
「ジャイアントボアを倒して、【ソラルル】への“道”を繋げましたよ」
「そうか。本当に早いな。やはり、βテスターのパーティか?」
「はい。そうです。“道”解放したのは、透き通った水という、女性パーティです」
「ほう。まあ、男女差はないからな。むしろ女性の方がセンスの良い人が多いかもしれんな」
「確かに。女性の方が、力任せでなくテクニックで戦っている方が多いようですね」
「だな」
「あ。あと、ドラゴン素材の武器がつくれたようです」
「そうなのか。やはり、できたか。今の設備だと、上手くできてStr+250くらいかな?」
「はい。それが……………」
「どうかしたのか?」
「実は確認したところ、クリティカルが発生していまして、Str+1186になっています」
「…………それは凄いな。確かクリティカルの発生確率は1/10000000未満のはずなんだが」
「私も目を疑いましたよ。βテスト時の最高がStr+286ですから、単純に4倍ですよ」
「今の段階でクリティカルがドラゴン素材で起こるのは、天文学的確率だな。本当に運が良すぎるだろう」
「確かに、そうですね。う~ん。かと言ってズルをしたり、不正をしたり、バグがあったりするわけじゃないですし」
「そうだな。Strが強いのはこちらが原因だが、敵との遭遇率や会心の一振りの発生確率は変動はないから、これもLuc補正だろうか」
「そうですね。それが一番ありそうですね。他には鍛冶師の腕でしょうか」
「うむ。さてと、それで他には?」
「その鍛冶師が称号を得ていますね」
「称号?」
「[会心の一振り]と[竜の鍛冶師]です。StrとDexに補正がかかる称号です」
「生産職、特に鍛冶師には嬉しい称号だな」
「はい。ただ、両方とも、あっちの世界で最高の鍛冶師でも得ることが難しい称号なんです」
「そうなのか? それはまた…………」
「どうしましょう」
「う~ん。あちらの住人での取れるということは、その称号は私たちがつくったのものではないよな?」
「はい。そうです。私たちがつくったものではないです」
「ならば、そのままで良いだろう。それもまた、神のみぞ知る。ってことでね」
「わかりました」
「他に問題なんてないよな」
「それと、今気付いたのですが、幼女ちゃんが神獣耳を手に入れています」
「あれをか。ネタと見せかけて、実はレアアイテムのアレをか。さすがだな。装備してるのか?」
「はい。こんな感じです」
「…………シャァァァー! 僕っ娘ケモミミ幼女ダッ! ヒャッホイ!! これで生きて逝ける!!!」
「落ち着いてください。可愛いのは認めますから。まずは落ち着いてください」
「ああ。すまん。取り乱した」
「いえ。それで、これはいいのですか?」
「まあ、不正して入手したわけではないのだろう」
「はい。契約者が倒したので、手に入ったようです。あちらの住人には、制限がないですから。まあ、同じ方法を使えば、プレイヤーでも辿り着けますが」
「ならば問題ない」
「わかりました。それと…………」
「他にまだあるのか?」
「はい。赤い竜との戦闘が開始してます」
「…………はぁ!? ちょっと待て! マジで!?」
「マジです!」
「だれが!?」
「幼女ちゃんの契約者です」
「マジかぁ…………」
「あ!」
「今度はどうした?」
「幼女ちゃんが、赤い竜を一撃で消し飛ばしました」
「「………………………」」
「そんなこともあるか。しかし、一撃って」
「巨神剣スキルの秘奥義ですね。これはどうしますか?」
「不正ではないからなぁ。まあ、いいでしょう」
「ちなみに今ので、幼女ちゃんの種族が美幼女神に進化しましたが」
「赤い竜は魔神であり、邪神だからな。それも裏ボスの中でも、フォースボスの最強で、無理ゲー設定のはずなんだけど。そりゃ、これだけ序盤で、尚且つ実質1人で倒したからな。そりゃ進化もするよ」
「ゲームバランスは大丈夫ですかね」
「大丈夫でしょう。幼女ちゃんは無双する気はないようだし。しかし、進化条件の達成が、不可能なはずの幼女を進化させるとはな。なんていうか、チートじゃないチートだな」
「凄まじいですね」
「ああ。まあ、あとは幼女ちゃんに任せよう。始めにつくったのはこちらだからな、文句はいえないな」
「ええ。本当に……………、あの室長」
「どうした?」
「赤い竜の財宝と秘宝なんですけど。本来は1000人以上で分配するのが、すべて一人のプレイヤーに入ってしまうのは、いいのでしょうか?」
「いいのではないか。幼女ちゃんなら問題ないだろう。素材にいたっては、今の段階で加工が不可能だしな」
「なるほど。確かに加工は不可能ですね」
「ん!?」
「どうかされましたか?」
「いや。何箇所かで手に入る[大樹に成り得る種子]って、あるだろう?」
「はい」
「幼女ちゃんが、その中で唯一ユニークの[失われし神樹の種子]を入手したんだよね」
「ホントにどんな幸運値してるんでしょうね」
「Luc1万overはだてじゃないな」
「それで、それはどうしますか?」
「普通に入手したものだから、どうこうするのは間違いだろう。それに、アイテムにユニークとつくものは、もともとあの世界にあったものだ。[失われし神樹の種子]も、どんなものなのか、私たちでも実は分かっていないからな」
「それは、本当に大丈夫なんですか?」
「ユニークアイテムについては、大丈夫かどうかは不明だな。ただ、あの世界から外れるものでないから、大丈夫だろう。むしろ、特殊と付く、私たちのつくったものの方が、あちらの世界から外れているものかもしれん」
「言われてみれば、そうですね。あれ? でも、幼女ちゃんの種族ってユニークですよね?」
「ああ。幼女は何故か、あちらの世界にユニーク認定されたんだ。その理由はわからないが、彼女に気に入られたからかもしれないな」
「なるほどですね」
「進化形態の美幼女神も、ユニークだからな」
「神様として、認められたんですね」
「神様として、認められたんだな」
「「………………………………」」
「そういえば、むこうの世界のアイテムって、レア度とかあるんですか? こちらでは、1級とか2級とか、数字で決めてますが」
「ん? ああ! あるよ。順番に[普通]→[希少]→[特別]→[異質]→[伝説]→[遺失]→[神話]→[御伽噺]→[未知]→[夢物語]だな」
「結構幅広いですね。どの様なかたちで、対応しているのですか?」
「そうだな。実は1~4級が[普通]、5~7級が[希少]、8~10級が[特別]だ。[異質]以上はすべてユニークになる。………う~ん。そう考えると味気ないな。………精霊祭と同時に行われる大規模リリースアップデートの時に、[異質]以降のレア度を、あちらの世界に合わせよう」
「わかりました」
「うむ。…………第三の町までがチュートリアル、そこからがその世界の本番だ。プレイヤーが何をし、何を目指すのか。そして、大規模リリースアップデートで、プレイヤー諸君がどんな反応をするか楽しみだな」
室長は不治の病を患っている可能性を残して、今日も開発は、大規模リリースアップデートの追加事項を考える。