被害者は、ほとんどの場合なぜか部外者
「今日から、ついに正式サービスを開始だ。みんなは準備はいいか!?」
「「「「「はい」」」」」
「よし。サービス開始後に修正可能だとしても、確認を怠るな。それじゃ、宜しく」
「「「「「宜しくお願いします」」」」」
「ついに始まりですね」
「ああ。そうだ。これまでは、ばれていない。これならば大丈夫だろう」
「ああ。ただ、当たる確率が0に等しいから、わからないが」
「はい。しかし、それでも夢は広がります」
「ああ、そうだ。その通りだ」
「よし。開始時間になるぞ。どうだ?」
「問題ありません。エラーやミスやバグはありません。タイムラグも不通も問題なし」
「よし。ここからは、運営と開発に分かれて、開始する」
「「「「「「はい」」」」」」
「それで、室長。幼女ってなんですか?」
「「「「「「な!?」」」」」」
「なぜ!?」
「私たちが気付いていないとでも?」
「気付いていたのか」
「ええ。ただ、確率が0に等しかったので、当たることはないでしょうから今回は許しますが、消させて頂きます」
「主任! そんな男の夢を」
「知りません」
「室長、主任! あの、当たってしまったようなのですが」
「「「「「「…………へ?」」」」」」
「それも、どうやら彼女のお気に入りに」
「「「「「「な、な、なななな、なにぃぃぃぃ!!」」」」」」
「ヤバイ、ヤバイ、彼女の機嫌は大丈夫か!」
「だ、大丈夫そうです。なぜか凄い上機嫌です」
「「「「「「そ、そうか」」」」」」
「まさか、0%に当たるとは。しかも、お気に入りが。もしや、彼女が何かしたのか? しかし、そんな利点は。…………それで幼女はどんな感じなんだ」
「え~とですね。幼女でなく、美幼女って種族になってます」
「なん・・・だと・・・!」
「室長。何をしたんですか」
「い、いや。私は何もしていないぞ、主任。幼女は種族だから、大きく容姿を変更できない。そのため一応、素体の容姿をもとにするようにしたんだ。その過程で、素体が美人かつ愛くるしい容姿の場合は、種族が幼女でなく、美幼女になるようにしたのだ」
「っと、言うことは、そこまでの容姿ってこと?」
「ああ。そうだ」
「とりあえず、モニターに出します」
「「「「「「おおぉぉぉ!」」」」」」
「こ、これは。た、確かに美幼女だ。紛う方なき美幼女だ」
「そうね。確かに紛う方なき美人で愛くるしいわね」
「室長、主任。ちなみにこの方は男性です」
「「「「「「なんだと!!」」」」」」
「「「「「「こんなに可愛い子が男な訳がない!!!」」」」」」
「いえ。私も目を疑いましたが、本当ですよ」
「本当の姿はどんなだ」
「室長。さすがにそれは…………」
「私が許可するわ」
「主任まで!? …………分かりましたよ。リアルの画像を出します」
「「「「「「な!?」」」」」」
「「「「「「これは女性でしょ!」」」」」」
「いえ。戸籍上でも、生物学的にも男性です」
「「「「「「…………………………」」」」」」
「…………室長。すべて許しましょう」
「…………主任。ありがとう」
見詰め合ったあと、かたい握手が交わされた。
この時、男性職員と女性職員は、本当の意味で、同士・仲間になったのかもしれない。