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大学戦争  作者: 東雲八雲
2/2

大学戦争勉強会

翌日、夜弦(よづる)は律儀に戦争部の部室に訪れた。



逃げる意味がないと、内心諦めていたのだ。



というより、昨日に目撃したあの足運びからして、自身の逃げ足では到底敵わないと思っていた。



「遅いぞ夜弦。中間テストのためとは言え、予定の時間に遅れるのは褒めたものではない」



部室に入って開口一番、戦争部実行役部長の(こころ)から、そんな叱咤を浴びせられた。



「勉強は関係ありませんよ。というか、俺は無駄に勉強しないので、ガリ勉と一緒にしないでください」


「眼鏡をかけているのにか?」


「それも関係ないです」



全眼鏡着用者がそうとは限らない。大抵の人は、目が悪いからそうなっただけだ。



「まぁいい、今日来たのは他でもないのだ。貴様には昨日言った、大学戦争のことを詳細に説明する。貴様は我が戦争部の期待の星の一つなのだ」


「プレッシャー浴びせるような期待はやめてください」



仕切り直し、夜弦は部室にある黒板の前で正座し、黒板の傍らに快が立った。


手には白いチョークが握られている。



「では、『大学戦争』について詳しく説明する」



黒板にチョークを走らせながら、説明を始めた。



「『大学戦争』は、主に舞武器(マイブキ)を用いて戦う。舞武器以外でも、本人が戦えるというのなら、刀剣や拳銃を使用しても構わない。


「(知っている)」



夜弦、鹿留(ししどめ)夜弦は内心そうおもった。何故なら彼は、『大学戦争』を初めから知っているから知っていた。



しかし、それでも夜弦はそんな政策を受ける事を、心から拒んだ。



「夜弦、何か質問はあるか?」



ここで、快が夜弦に問いかけてきた。



ぼーっとしていたためか、夜弦は聞いていない。



「……え?あ、いや、特には……」


「そうか」



そうか。とは言うが、彼女が向けていた眼光は間違いなく『聞いているのか?』と言っているようにも見えた。



「ではこれより、舞武器について説明しよう。こっちに来てくれ」



黒板から移動して、部屋の隅にある扉を開ける。夜弦も快の後を追うように、部屋の中に入った。


部屋の中には、掃除道具、食器、調理器具、工具等、一歩間違えば凶器になりうる物ばかりである。



「ここは、舞武器となりうる物を収納している部屋、いわば武器庫だな」



壁にかけているバールを手に取る。



「舞武器は当人の腕によって違ってくる。例えばこのバールは、防御貫通に向いていて、使い方によってはフックにもなる。ちなみにわたしの場合、靴が舞武器だ」


「靴?」



そう言って、快の足元を見る。彼女が今履いているのは、運動に最適なバッシュだった(しかも夜弦が知っているメーカーだ)。



「……まぁ普段はこんな靴だが、本命は違うぞ?何のかは教えない」



何かともったいぶる快。


そうやって夜弦に興味を持たせようとしているのだろうか。


しかし当の本人は、そんな気は毛ほどに思っていなかった。

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