事象反転天罰ゲーム;霰
『俺なら、どうにか盾くらいにはなれますから。姉さん、約束ですよ』
友人Aは笑う。儚げな笑顔、ほろ苦さに歪んだ様に唇をぎこちなく緩ませた表情に寂しさが込み上げてきた。胸の奥に宿る苦しみ、その少しだけを垣間見た気がして。
そんな、思うところ有りそうな友人Aへと未来さんは反論する。だが、次第に声が大きくなっていく気がした。
『要らない、そんな約束私が拒否する。お前は……いや、誰ひとり命を投げ出す意味など無いぞ』
そんな強い言葉、力強い否定を受けても友人Aは苦々しい笑みを浮かべていた。見ていて苦しい、空気中で窒息しそうな息苦しさだった。
『どうでしょうね』
『お前……』
それ以上は何も言えない僕。引き止める事も、背中を押す事も出来ない僕がそこには居た。相変わらず情けない奴だ、そう僕は自身を笑っていた。
『俺にはあったんですよ……確かな理由が』
友人Aが扉の前へと移動する。未来さんが、しゃがんだまま手を伸ばすも届かない。奴の袖先は、未来さんの細い指先をひらりとかわして前に出た。
「そんなっ!」
『俺は、やはり貴女を守らなければならない。今も未来も、そうする事でしか生きていけないのさ』
友人Aが扉に手をかけ、ガッとそれを脇へと叩き付けた! 棚ががしゃりと揺れる音、それでも未来さんは何も言わない。
カーテンで覗えなかった室内――そこは変わり様もなく、えげつないカオス空間を展開するのだろうか――とフィギュア達や発明品を思い浮かべた。そうあって欲しい、そうだったら良いのにと旧理科室であって欲しいと僕らは願っていたのだろう。
――そう、思っていたのに――
「うおおおりゃ――――っ!!」
勢い良く友人Aが飛び込む、その向こう、そこには未来さんの声に気付いたのか過去さんが銃口を向けていた。
瞳を閉じて、彼女は呟く。
「さようなら、過去の私よ……!!」
引き絞られた引き金、バキンと鋼鉄の弾ける音。
黒い狂気の銃弾は、友人Aへと直進していた。
おはようございます、作者です!! 元気ですか、私は多分元気です!
取り敢えず、後書きなんかや修正は後程。昨日修正できなくて悪かったね、許してください!
ではまた次回、それまでは……元気にしててね!! また逢いましょう、ねっ♪
P.S.オニオンスープとグラタンが食べたい。




